第67ゲーム『3カギとブラックボックス』
「これはカギだ……。」
手袋の中には確かな手ごたえがありその中に鍵が入っていた。
鍵の形状はロールプレイングゲームでよく見るような古風な鍵だ……。
大きさはそんなにない。
だが鍵の形状はほぼ同じだ。
「なんでこんなものが……。」
「恐らく、リュフォーかメルカのことだ。すり替えたんだ。」
「すり替えってなんだよ……。」
「相手は鍵がどんな形状か知らなかったんじゃあないかな?
そこで何らかのどさくさに紛れてロッカーの上に手袋の中に入れて放り投げる。
そして自分の手の中に家の鍵か何かを握っておけば、鍵をすり替えて相手に誤認させることができるはずなんだ。」
「これ、ブラックボックスのカギだったりして……。」
僕は手元のブラックボックスがある。
それのカギ穴をよくよく見てみるとこの鍵の先とほぼ同じだ。
「行けるかもしれない……が……。」
まだあと鍵は2つ必要だ。
電子キーと4ケタの暗証番号。
この2つがまだ残っている限り、ブラックボックスは開かない。
だがこれで最初のカギをゲットだ。
さて……部屋を出る前にだ……。
残るメルカが遺した謎についてある確認をしなければ……。
今のうちにやっておきたい……。
タクロー曰くこの部屋に何者が侵入し窓からバリケードを取っ払って出ていったそうだが……。
実は、僕はこれはもう容疑者なんて絞り込めている。
タクローからメルカの推理を聞いたときものすごい重要かつ単純な『抜け』があることに気が付いたのだ。
リュフォーを襲ったのもそいつらだ。
だが動機が分からない。
なぜこの部屋で襲撃を受けたのか。
僕の絞り込んだ容疑者ならいつでもチャンスはあったはずなのに……。
そして当時のゲーム内の音声から侵入者は2人以上。師匠も2人以上裏切り者がいると言っていた。
だが、問題の容疑者は1人しかわからない。
当時のあの感じ、『あなたがここにいるの?』とメルカが言っていた。
つまり『予想外』『似つかわしくない人物』『ここにいるべきではない人物』がここにいたってことだ。
あり得るのは『学校外の部外者』だ。
他に何か可能性はないかな……。
「……なぁタクロー、ナミカ。メルカが消える前に『あなたがここにいるの?』っていたよな……。」
「ああ、豪快に言っていたが……?」
「この部屋に入ってきたとして学校関係者以外でこのセリフを吐く場合どんなのがあり得ると思う?」
「そりゃ似つかわしくない人だろ……?
だが口調からして知り合いだ。」
「イトさんじゃない?」
「……イトォ~~?
それはァ光菜を襲った犯人だろォ?だとしたらあるィえないなァ。」
先生がナミカの言葉に割って入る。
「私はしっているゾォ。イトという男に始末書を個人的に書かせるために動向を追っていた。
貴様るァがここで遊んでいる間、イトはずっと病院手前で立ち尽くしていることがァ監視カメラによって証明されている。
警察に自身の出世を盾に無理を言ってみせてもらったからなァ!」
先生が強引に得た情報が正しければそうらしい。
「え~~でもソレ、仮にホーリーが豪快に嘘と捏造をしてイトさんと一緒にこの部屋に入ったらもみ消せるんじゃないのか?」
「まだ疑うかァ!
……まぁ元文科省高官の言うことを素直に信じルォってのも無理な話か……。」
「……いや、ちょっと妙なんだよな…………。」
さっきのホーリーのアリバイと食い違う。
確かにアリバイがありすぎて推理ものゲームなら逆に怪しいけど、これは現実だ。
「親か……?兄弟姉妹……?誰なんだ……?」
「なぁ光菜ァ?貴様らは当時襲われた状況をその……よくわからないゲームでみていたんだなァ?」
「はい……。」
「質問だァ。ほかに何か言っていたか?」
「『仲間』『裏切り者』がどうとか……。」
「………………………裏切り者……??
………………………………………………………………………………………………」
先生は眉をピクリと動かす。
少し、かかとで靴を鳴らした後。
「…………………………少し、思い当たる人物がいるゥ。
問い合わせて明日にでも引き合わせてやるゥ……。
私はァ今から職員室で貴様らを動きやすくするゥために関係各所に電話をしてくる。
貴様のその箱の中身がわかったら教えてくれェ!」
「わかりました!先生!」
「そしてあからさまにやばそうなブラックボックスはここで開けるなァよ。
ここは一応学び舎で事件現場だ。万が一を考え広い場所で開けろォ!いいな!!」
そう言って、先生は速足で職員室を出ていった。
開けるって言ってもこれには3つも鍵がついて……。
…………ん?3つの鍵……‥…。
もしかしてあの鍵とあの鍵って……。
「タクローナミカ……少しついてきてくれ。
公園で調査しているであろう警察と少し合流する。」
「オーキードーキ!」
「おう。」
こうして僕らは学校を後にした。
▽ ▽ ▽
――近所の公園。
僕と師匠はいつもそこで話し合うことが多かった。
確か町に帰ってきたときもここで話したっけなぁ……。
ただし公園にはいつもと雰囲気が違い、この前の刑事さんを含む数名がベンチ周りを掘ったりして捜索していた。
「刑事さーん。」
僕が呼ぶと刑事さんは勢いよく振り返る。
「うお!?やめとけやめとけ!
どこかに行こうぜっていても来なくていいのに!?
大丈夫か?無理はしてないか?」
流石に昨日まで寝たきりだった男が歩いていたら、報告があったとしても驚くのは無理もないだろう。
「ま、まぁいい……。これをお前らに持っていくところだったんだ。
さっき掘り出したばかりのイトが遺した手がかりだ。
缶コーヒーの蓋が不自然に地面に埋まっていて目印になった。」
刑事さんが抱えているのは、ビニール袋に詰められた茶封筒……要は袋が二重構造になったものだ。
「さすがに掘り出したばかりで何が入っているのか我らも不明だ……。
だが手に持つ感じこれすごく軽いんだ。」
「……少し、貸してください。」
僕はベンチに座り茶封筒を広げる。
中には師匠の手紙にあった『カードキー』らしきものあった。
たしかこいつが研究所裏口のカギなんだよな……。
「研究所裏口の電子キーか‥…。」
……やっぱりこれを入れてくれるよな……。
……………師匠ありがとう。おかげで…………。
「これで全部のカギが揃ったと言っていいんだからな。」
「は?」
「え……今なんて……。」
僕、ナミカ、タクロー、刑事さんの4人は取り囲むようにベンチに座る。
ベンチにはブラックボックスも置く。
「まず1つ目のカギ、アナログのカギ。
これはリュフォー達が学校の探偵団アジトにあったものだ。
リュフォーたちから託された手がかりだ。」
そう言って僕は鍵をブラックボックスにカチっと指しまわす。
僕は次のカギを指さす。
「2つ目のカギ、師匠から託された鍵。電子キーだ。」
「でもそれって研究所裏口のカギじゃないの?」
「じゃあ少し考えてみるが、あのゲーム盤はどこで見つかった?」
「…………ゲーム盤は研究所に……。」
「あのゲームに関係した電子キーはこれだけだ。
駄目で元々!」
「おい、待て!ナオト!無理して開こうとしたら中の物は……。」
タクローの静止を聞いたときにはすでに僕はカードを勢いよくスラッシュしていた。
だがエラー音など出ず、煙もない。
成功のようだ。
「ほらな。」
「お、おまえ……ちょっと肝を冷やしたぜ……。豪快にな……。」
慎重になりすぎて、テロ事件の様に手をこまねいたりはしたくない。
さて最後のカギは……。
「4ケタの暗証番号……。
でもそんなの私達どこにも手に入れてないよ!」
「警察もそこまでは知らん。」
「俺様も豪快に心当たりは0だ!」
「そんなの簡単だよ。
これは全部ゲームに関係している。
僕らも最近手に入れたでしょ?4ケタの番号。」
「……は?」
「……え?まさかそれって。」
こういうのは脱出ゲーム、ADVゲームとかでありがちな展開を想定してほしい。
ありえそうな数字は一つだけ。
「2・0・1・1っと……。」
カチッ!っという音がベンチに響き渡る。
これが僕らがテストエリアで手に入れた情報2011号のこと。
これで全部そろった。
――――僕らは今まで封じられてきた黒い箱を開ける。
患者達に託され、僕らに受け継がれた箱。
クリエイターが遺した最重要の遺品。
それが今、開かれたのだ。
▽ ▽ ▽
「え…………なんで……こいつがここに……。」
ブラックボックスの中にあったのはノートが3、4冊。
そして…………。
「これゲーム盤のボードゲームの奴だよな……。」
ボードゲームで使った予言カードを排出し行動する時に使用するカードを扱う時などに使う。
『ターンカウンター』だ。
カウンターの表示はこう書いている
『ノコリ 9 ターン。
現在 赤 ノ国ノ手番デス。』
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この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。
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~FrG豆知識のコーナー~
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ナミカ「兄ちゃんは最後までナオトのことを気がかりにしていたってヒバナちゃん言ってた。」
ナオト「必ず取り返そう。すべてをな。」




