第60ゲーム『1時間前と襲撃者』
一体どういうことなんだ……。
いや、それよりもッ!!
「……タクローッ!警察に連絡をしろ!!
そして警察にメルカとリュフォーの確認を!!
ロウスの親ならすぐに事情を察してきてくれる可能性がある!!」
「お前たちはどうするんだ!?」
「僕は鍵を受け取ったら、王達の元へ行く!」
「…………待って、ナオト。」
ミカ……いや、ナミカが耳を抑えている。
恐らく王からの通信だ。
「……もう、遅い……かも。」
「……??」
「……王?バイグス王??
聞こえて、ますか?」
「ナミカ!王はどうなったんだ……?」
「言い争っている……。
三人の王が、言い争っている。
いや……ただ事じゃない……まるでだれかが『凶器』……
『ナイフ』を向けているようなそういう緊迫感がある……。
私の声なんか届いてない……。」
……え?どういうことだ??
この二人は知らないけど、あそこは病室だぞ……。
ナイフなんて凶器どこから……。
……果物ナイフとかか?
いや、それよりもなんで三王が争いあっているんだ!?
「……きゃ!?なに!?この音!?」
「どうした!?」
妹は身震いしている……。
「…………ナオト。
王達がやばい……。
これ……これ……!!
明らかに駄目な感じ、する!!」
声を震わして妹は僕を見る。
顔はゲーム越しからでもわかる顔面蒼白の『恐怖一色』だ。
「わかった……。
ナミカ、お前はハナビさんと一緒にいてくれ。
何者かが僕らの仲間を襲っている。
家には、兄ちゃんもいる警察も来るだろう。
僕は王達の元に行く。」
「ナオト……やめて……さすがに危険だよ!」
「……大丈夫。僕だけは大丈夫。」
「大丈夫なの……?」
僕には【アバウトミラクル】がある。
絶対に大丈夫だ。
どんな危険なことが起ころうと相手は僕の攻勢防壁からは逃れることはない。
僕の能力を打ち破る人間なんていない。
大丈夫。大丈夫だ。
「うん、絶対大丈夫だよ。」
僕がそう言った瞬間、手元にラストフロントへのカギが落ちてくる。
「すまない、ビクトリア。僕らはもう行く。」
「了解イタシマシタ。
最後ニ補足説明イタシマス。予言書ニ追加機能ヲ『アップデート』イタシマシタ。
事態ガ終ワリ次第、ツカッテクダサイマセ。」
アップデート……?まぁいい。
「ああ、わかったじゃあまた!」
「ジャ。ガンバ、ユーザーオト。」
ビクトリアは鍵を渡すと消える。
さて……。
「みんな、自分の命第一に!ログアウト!」
「おう!」「……うん。」
■ ■ ■
フロントライゲーム・オンライン[ログアウト]
■ ■ ■
ゴーグルを外すと、ハナビさんの顔があった。
「ナオト君!何か危険なことがあったのね?」
「……はい。それよりも今説明している時間はないんですが……。」
ハナビさんは僕の目を見る。
「……説明はなくていい。やり取りの感じからなんとなく察せる。
それよりもさっきナミカちゃんを私に預けるって言っていってたけど、もっといい手があるわ。」
「?」
「ナミカちゃんとお兄さんを私の家にかくまうのよ。
私の姉妹の戦闘力ならナミカちゃんは無事なはず。
そして私とナオト君で、何らかのピンチを解決する。」
ハナビさんの家にかくまう……。
確かに先生やヒバナさんがいるなら安全だろうけど……。
ハナビさんが僕についてくる……これがまずい……。
「……ハナビさん、僕の能力は周りに人がいると巻き込んでしまいますよ?
それに僕なら大丈夫です。」
「過信しちゃダメ。私は能力を持つ二人と旅したからわかる。
あなたのアバウトミラクルは恐らく『私達が知らない弱点』がある。
昔、それでボロ負けたことがある。
それにあなたの能力が発動するときに射程範囲外に行けばいい。」
……信じていいのだろうか。
ハナビさんは剣道をやっているけど……。
「私を信じて、戦闘の『経験』『逆境』なら戦闘用より強いから。
誰かが襲ってきてもあなたをサポートできる。」
ハナビさんの目は真剣に僕を見つめる。
……そこまで言うのなら。
「……わかりました。」
「よし……ちょっとナミカちゃん呼んでくる。」
「呼ばなくて結構!
所々話の内容はわからなかった部分もあるけど、私と兄ちゃんはお隣さんに行けばいいのね!」
ナミカが僕の部屋を勢いよく入ってくる。
廊下で聞いてみたみたいだ。
能力のことはなんだかわからなかったみたいだけど。
話の流れはわかったのか、はたまたどこから出したのかすでに荷物まで準備していて異様に手際がいい。
どこから会話を聞いていたんだ……こいつ……。
だが頼りになる!
「私は兄ちゃんを説得してお隣に行くから、2人は病院へ!」
さすが頼りになる妹だ。
「わかった!行きましょうハナビさん。」
「病院ね。わかったわ。」
時刻は23時。
七人の消滅まであと1時間。
メルカの現実からの直接襲撃。
何かが動き始めている。
ハナビさんと僕は急ぎ足で家を飛び出し、夜の街を駆ける。
▽ ▽ ▽
夜風が冷たく、暗くてほとんどが見えない。
車もほとんど走っていないし、お店や家の明かりもほとんどついていない。
だが方向はこっちであっているはずだ。
信号機が点滅するわずかな光を頼りにその中を僕らは走る。
「暗いですね。」
「……私には見えているから、昔の目でしっかり見えているから。」
ハナビさんの顔は夜でわかりづらいけど、フードをかぶり顔にゴーグルのようなものを付けている。
襟が変形しているのかガスマスクのようなものが飛び出し完全に顔が隠れている。
背中には竹刀を背負っており、戦闘準備万端って感じだ。
「明らかにやばい事態なんでしょ?
今のところ異常はないから、軽く状況の説明をよろしく。」
「はい。実は……。」
▽ ▽ ▽
僕はテストエリアでの出来事。
そしてメルカと王のことを話した。
「……なるほどね。
裏切り者…………っぽい音声。
刺された人達。状況は切迫しているってわけね……!」
「……はい!……ッ!」
流石に全力疾走で街を走るのはつらい。
そして説明してますます気が気でなくなる!
焦る気持ちが素早く前進を伝ってくる。
だが息も絶え絶えだ……!
病院まであともうちょっと……!
次の角を通り過ぎれば、目と鼻の先にある!
「止まって!」
「……ッ!?」
ハナビさんの手が遮り、僕は急ブレーキをかける。
ハナビさんは顔は見えないが明らかに戦闘モードだ。
「前方に数十m先に人。だけど普通の人じゃない。
体温が妹の平常時より異常に高い。」
ハナビさんの妹ヒバナさんは太陽のエネルギーを蓄積する、だから体温が高いって聞いた。
平熱で40°それより高温の人物が目の前にいる。
「暗くて見ずらいけど、背丈からして男性。
人数は1名。ゆっくりだけど近づいてきている。」
…………高温の男性。
ヒバナさんでさえ蓄積しているから体温が高い。
でもそれ以上の体温……。
もし学校から移動してきたなら相当に速い。
そんな体質、そんな速度を出せる人間。
…………裏切り者ってまさか!!
「そんな人物、1人しかいない。」
「ええ、顔が見えたわ。」
僕らの目の前までその男は来る猫背でしわだらけのスーツ。
だがそのシャツには明らかに赤黒い血がついている。
無精ひげに前髪の三房だけオレンジ色髪の特徴的な髪の毛。
気だるげな眼の下には隈がある。
僕らの小中学頃の家庭教師で、僕と同様に能力を持つ知り合い。
ただかなり気分の上がり下がりが大きく『ロー』と『ハイ』の二つの顔を持つ。
「信じてたのに。
なんで
なんで
なんで裏切ったんですか!!」
人は彼を『黄昏を呼ぶ哀愁の男』と呼ぶ。
「答えてください!!イト師匠ッ!!」
「……………………はぁ……。」
電灯に照らされた彼は髪を片手でかき分け、僕をにらみ聞きなれたため息を漏らす。
※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!
この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。
■ ■ ■ ■
~FrG豆知識のコーナー~
■ ■ ■ ■
ハナビ(お姉ちゃんたちは肝心な時に喧嘩していて頼れない!
ここには何でも叶えてくれるあの創造主なんていない。
私が何とかしなくっちゃ……竹刀でどこまでやれるだろうか……?)




