第41ゲーム『七名への確定通達』
「王よ、どういうことですか?」
バイグス王が突入を禁止する……どういう訳があって止めるんだ……?
今日かったアイテムは使わないのか……??
「実は事前に何人か『先行部隊』が突入していった……が……。」
「が……?まさか、消失してしまったってことなの!?」
「いや、もっと厄介なものだ。」
メノの推理を王は否定し、壁に資料を表示する。
「お前たちは『コピーガード』っていうものを知っているか?」
「コピーガード……?なんすかその豪快な障壁みたいなのは?防御スキルっすか?」
……コピーガード。
「………………いや、クロス。違うよ。
僕の記憶が正しければ、『コピーガード』ってのはゲームの海賊版を製作されないように、施された複製防止用の対策のことだよ。」
「そうだ。」
コピーガードは昔のゲームからよくあった海賊版を廃止するための仕様だ。
ゲームを複製しようとすると、ゲームキャラに犯罪者呼ばわりされる。
あるいは登場人物の好感度が下がる、アイテムがなくなりステータスが0になる。
等の現象が引き起りゲーム自体が進行しなくなることもある。
「我々が行ったこの部屋をデバックして、封鎖されたテストエリアに入ることをゲームから『不正行為』と判断されてコピーガードに阻まれてしまったのだ。
さらに厄介なことに、このコピーガードは特殊なテストエリア用の仕様になっており運営でも解除できない。
そして『先行部隊』から送られてきたスクショがこれだ。」
僕らは『先行部隊』のスクショを見てみると、思わずドン引きするような画面が出てきた。
そこにはゲーム画面一面に『犯罪者、犯罪者、犯罪者、犯罪者、犯罪者、犯罪者…………』と赤い文字で永遠と書かれており、ステータス画面の名前欄も同じく置き換わり、HPや攻撃、防御、全て1に変わり、スキル欄も『私はゲームを複製をしました。』など、コンプラ的にもなかなかに過激なことが書かれている。
ゲーマーとして気分がいいものではない……。
「先行隊がサブアカウントで突入しなければやばかった……。
だが、途中までは進めたらしい。
中にはHPが減るような罠とかがあり、エリア自体はある程度育ったキャラじゃないと難しくレベリングが足りてないサブアカウントじゃあ進めないような個所も多かったらしい。」
「どういうところまで進めたんですか?」
「わからないそうだ……。
沼みたいな感触があったとか、普通の床だと思ったとか、見えない壁にぶつかったような気がしたとか……。
四人ほど送り込んだが、それぞれが別々の場所まで進んでコピーガードに引っかかったらしい。
最後の一人なんかはオペレーターで三人目が引っかかったと同時に、この画面になったそうだ。」
「たぶんチームとして、ほかの全員が引っかかったからこういう画面になっちゃったんだね……。
いやだなぁ……私うまくできるか不安だよ~。」
「たしかにこのアカウントでこういう画面になったら、僕当分このゲームに触れないと思う……。」
皆でうなずき合う。
そりゃ、捜査も大事だが自分の育て上げたオトというアバターが、この画面になったらショックで捜査も進展しないだろう……。
オペレーターに至っては仲間頼りの一蓮托生だ。
「どうやってここの対策を……。」
「はぁ……。
解決策、あるよ……。
はぁ……。」
このため息は……!
「師匠!?」「お、おっさん!?」
いつからこの資料室にいたのだろうか?
イト師匠の……アバターらしき……。
いや、ていうよりすごく精巧につくられすぎていて本人とさして変わらない姿で、部屋の隅でうずくまっていた。
違う箇所がネクタイと前髪の色だけって……身バレ怖くないのかよ……。
っていうか手紙で事前に知っていたけど、アバター名が『おじさん』って……自分が老け顔だからって卑屈すぎるだろ……。
「あなたは……?」
「はぁ……。
こんにちは、青の王。赤の女帝の使いで来ました。
薄明の書『アストレアの予言書』の持ち主。
赤の予言者のおじさんです。
はぁ……。
このエリアへの許可はすでに赤の女帝からもらっているのでご安心ください。」
「あ、ああ話は聞いているよ。よろしく……。
それで話は戻すが、解決策とは……?」
「……はぁ……。」
おじさんは少し顔をあげ、部屋の天井をうつろ気な目でじっと見つめる。
「……。」
「……。」
「……はぁ……。」
「……師匠ーー?」
「おっさん!!しゃっきり答えて!!」
知り合いである僕ら双子はイト師匠をせかす、下手すれば永遠に沈黙が続きそうだ。
「はぁ……五日前、赤の予言書に妙なことが書かれた。
記された内容は三つ。
【バグセンサーが九日後午前十二時、青の市場で売り出される。】
【スローンズマップが九日後午後十四時、緑の市場で売り出される。】
【ガード承認キーが九日後午後十八時、赤の市場で売り出される。】」
「ガード承認キー……。まさか……コピーガードの解除キーか!?」
「それにバグセンサーって……、ナオトにぴったりなアイテムじゃない!!」
スローンズマップってのがよくわからないが、これらのアイテムは確実に僕らにとって大切な武器になる!
「…………運がいい、いやあまりにもできすぎているな……。」
王がそう言った瞬間、少し冷静になる。
なんだか罠のにおいがするような気もする。
「はぁ……だが、かけてみる価値はあるだろう?
何もせず手をこまねくよりも……。」
「……うん。」
確かに……だが問題は予言書に【売り出される。】と書いてあって【入手できる。】とは書いてない。
僕らが動かなければいけないということだ。
偶然なのか、運命なのかはわからないが、これらのアイテムを入手しなければ、テストエリアの調査が進みそうにない。
予言を受け取ったのが五日前、つまりあと四日後だ。
▽ ▽ ▽
あれ、そういえば……。
「気になったんですが、師匠の赤の予言書って『ゲームの内での予言』も反映されるんですか?」
「……そうだが?」
僕の予言書と違う……。
青の予言書は現実世界での予言のみ、反映される。
赤の予言書はゲーム内の出来事も反映されるのか……。
「はぁ……まぁ内容は敵の戦略とか、そういうのが主だ。
現実世界での出来事は『知人の死の勧告』や『青の予言者と出会えない』くらいだな。」
「な、なるほど……。」
つまりゲーム主体の予言書か……。
「正直、現実主体の予言書の方が欲しかったけどね……ハハハ……はぁ……。」
――……ん?ということは…………。
青と赤……それぞれ別々の世界での内容が記された予言書が手元にあるっていうことだよな……。
それはそれで、なかなかいいことなんだけど……。
――じゃあ緑には何が記されているんだ?
「はぁ……さて……少年……?
……こっちではオトって名前か……。
テストエリアに入る前に
君に少し協力してほしいことがある。
予言書について、気になることがあるんだ。」
「なんですか?」
師匠は僕のとは色違いの書物…………赤の予言書を手元に出現させる。
師匠はゆっくりと書物の今日の予言のページを僕らへとむける。
「予言に背くのを手伝ってほしいんだ。」
赤の予言書に書かれていたページにはこう書かれていた。
【明後日、赴く研究所で模造品が手に入る。】
【鈍角30°の三角豆腐】
【確定通達:日暮 伊徒、弥生 芽流華、蒲公英 煙、蒲公英 煌、蒲公英 灯、蒲公英 煉瓦、光菜 波乱の七名は四日後の終了と同時に消滅する。】
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~FrG豆知識のコーナー~
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オト「まれにデバックモードを出現させてしまって『このメッセージは表示されないはずだよ。』とか似たようなの色々とあるよね。」
クロス「割と怖えな……。」




