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第19ゲーム『三十五秒間の戦闘』



 下の階へ僕らは転がり落ちる、ミカからの通信の情報によると屋上にある僕らのフラッグ、クリスタルは無事らしい。

 カルビのスキルの効果が切れたのか、今では天井が塞がり僕らはこの場に敵含めて六人全員が総集結している。

 位置的にはちょうど3:3で敵味方にきれいに分かれている。



 クロスの爆弾の影響で僕のHPは2割減っている。

「クロス、カルビ状況報告!」

「落ちながら豪快に撃ってきた!HP9割!」

「こっちはまだ全快状態だ!」

 仲間の状況はまだいける。

 敵は僕の『防御スキル:パラライズ&ガード』で与えた麻痺をすでに回復している。

 あれで稼げる時間はわずか数秒!



 相手は中~遠距離武器、僕らは中~近距離。

 場所は平たい、建設中のなんのテナントも入ってないだだっ広い鉄筋コンクリートのフロア。

 相手はカルビのトラップに警戒し、十中八九距離を取って攻撃してくるはずだ。

 あの高速戦闘と電撃作戦もある。明らかに戦況は不利だ。







 ――さてと、ここまでが大体、()()()()()に行っている。




 相手は有名人、当然『テスラレッド対策用の掲示板スレッド』も当然存在する。

 構成員の性格から使ってきた手法などすごく詳しく書いてあった。

 その中にいきなりフラッグに高速で接近され瞬く間に負けていたという電撃作戦について書いてあったのが少なくなかった。

 そこで昨日、電撃作戦が行われたときの対策を考えた。

 今回の予言が運よく国語のテストのことだったから、妹に勉強の対策をさせて僕がこっちの対策をしておくという分業を行ったおかげで、僕は妹に要所を抑えてもらいかなり楽なを張り、僕はこの作戦を立てることができた。







「カルビ!手筈通りに!」

防御ディフェンススキル:大毒沼」

 僕らの足元が毒沼に覆われていく、キャラクターの行動がやや泥にとらわれゆっくりになっていく。

 カルビが放ったこれは広範囲に小ダメージを与え続ける毒沼を精製するスキルだ。

 沼は20秒しか発生せず、独沼のダメージがしょぼく滅多にとる奴なんていない、外れスキルって話題なんだがこの場で一番生きるはずだ。

 肝心なのはここが『沼』だということ。

 僕の持つアイスのスキルは基本『水』が含まれている物質を凍らせることができる。

 そして行動が制限されている相手。氷が使える僕、爆破の専門家クロス、地面には凍らせることができる沼。

 すでにご存じの通り氷はだ。もう状況打開までの道は整った。

攻撃アタックスキル:アイスボール。」

 僕はスキルを発動し目の前に中型の自動車くらいの球体状の氷塊が出現する。

 出現した氷塊は周りの沼を凍らせていき、僕ら同様に沼にはまっている敵達の足元を凍らせ動きを封じる!

「こんなもの我らのマグマで!」

「クロス!」





 僕が声をかけるまでもなく準備をしていたクロスはすでにスキル用の巨大な緑色の爆弾を両手に抱えている。

攻撃アタックスキル:大風!ボンバー!!」

 振り子の要領で巨大な爆弾を僕の背中へと投げる!

 この爆弾は風を発生させることができる爆弾だ。



 クロスのスキルによって発生した爆弾が僕の後方で爆発させると同時に風が発生し、僕らの足を覆っていた氷が捲りあがりながら眼前の敵三人へと発射される!

「「攻撃アタックスキル:マグマスピア!」」

 ゲンジョーの後方へといた敵が氷を溶かそうとマグマの槍を手元に形成し氷を振り払おうとする。







 ――これを待っていた!敵が氷を振り払おうとマグマを使うのを!







 このゲームが忠実にできている面で案外、科学現象を忠実に再現してくれている点だ。

 何が言いたいかっていうと氷が超高温にさらされるとどうなる?

 そりゃ気体、水蒸気になる。そして後方から爆弾により吹いてくる風。

 そして僕にはこれがある。



 そう、もしこんな状況でパラシュートを使用したらどうなるでしょう?

 答えは単純だ。僕は素早く操作しパラシュートを装備する!

 そして勢いよく風と水蒸気の力で前方へとぶっ飛び!

 ゲンジョーをチェーンソーで殴りながら窓へタックルし!





 高層階から風の力を加えた僕とゲンジョーは窓を突き破り空へと投げ出される……!







 ナイスだクロス、カルビ、ミカ。

 サムズアップしながら無茶な使い方をしたパラシュートで僕は落下を開始する……。



 ▽ ▽ ▽ 



 昨日はいろんな戦場を想定していた。

 だが一番敵を確実にダメージを与える方法がどうしてもつしか思いつかなかった。



 ――それは『落下ダメージ』だ。



 これはほとんどの防具において軽減できないっていう特徴があったからだ。

 僕らの浅知恵だと思いついたのがこれが最適だと判断せざる終えなかった。

 海や湖系ステージは何があっても大丈夫だと自信があった。

 だがやばいのは陸、最悪が平原だった。

 その時のことを考え、そして敵がマグマ系統のスキルを多く持つと知り思いついたのがこの作戦。

 上昇気流を発生させパラシュートで捕まえて空中へ行き落下させるこのコンボだった。



 そしてこのステージになってよりこれが確実なものになると踏んだ。

 だからわざわざ電撃作戦を迎え入れたのだ。

 相手の連携を引っ掻き回すため、ゲンジョーを討ち取るためにッ!

「ミカ!二人を頼んだ!」

『了解!オトーーッ!いっけーーー!』

 空中で回転しながら下方にいるゲンジョーを睨みつける。

 これから数秒後、約30階もある高層ビルの落下ダメージが来るというのに、赤い鎧にくくりつけたマントをなびかせながらゲンジョーは腕を組み、余裕そうだ。

 地面が迫ってくる……。



「やるじゃねぇか。中堅。攻勢に出てわずか、十八秒で俺を討ち取ろうとするとはな。」

「あんたこそ!」

 どうやら僕らが攻勢に出て十八秒らしい。

 よく正確な数字がわかるなこの人!?





 だが後約二、三秒!その落下ダメージでこいつは倒れる!

 あんな重そうな鎧をつけているんだ!その自重からくるダメージででフロントから退場だ!

 僕はボロボロだがパラシュートがある!落下ダメージを食らっても二割程度だ!

「いいことを教えてやろう。俺のステータスでした割り振りは……。」

「?」





「――HPヒットポイントだ。」



 その言葉を聞くや否やゲンジョーはツインタワーの合間の広場。

 コンクリートブロックで出来たそこへ土煙を上げながらめり込むように落下する。

 衝撃を立てながら落下し、僕もそれに続きつつ少しダメージはあったもののパラシュートのおかげかうまく着地できる。





 現在HP約五割……。

 毒沼、爆風、落下ダメージと少しずつ削れてきている。

 回復はギリギリ、まだいい……。



 HPにステータスを振っているといってもさすがに相手は……。



「どっこいせッ!!っと!」

「ハァ!?」

 土埃の中らから瓦礫を押しのけて広場の中央から赤き鎧の巨漢が姿を現す。

「嘘だろ……。」

 こいつさえ討ち取れば、クロス達が上方で押さえつけている間に僕が敵フラッグを破壊しに行く予定なのに……。

 素早い僕なら敵の砲弾を潜り抜け壁をよじ登れると判断したのに…。

「さすがに削れたぜ、ざっと現在HPは二.五割ってとこだな。

いやーきつかったぜ。ショットガンもぶっ壊れてしまったしな。」

「な、なんで……三十階分の高さで叩きのめされたらさすがのお前も……。」

「お前らのフラッグを取る前にHP上昇のバフアイテムで、強化しておくくらい基本だよなぁ!?」

 バフアイテムかよ!?

「さてと、ここから一対一の決闘をしよう。」

 ゲンジョーはアイテム欄から片手斧を取り出す。

 どうやら二つしかない消費アイテム枠を一つ使用して、こいつを用意していたのか……。

 見たことのないアイテムだがおそらく回数制限がある『消費武器アイテム』の一種だろう。



 ここで時間を稼がれたらクロス達がやられて僕らのフラッグが取られる。

 僕がゲンジョーに勝利したら僕がフラッグを取りに行ける。

 そして相手のHPの差で言えばまだ僕の方が有意だ。

 カルビとクロスは全力で時間を稼いでくれているはずだ。

 力量差から考えてこれで五分と五分。







「実にいい高速戦闘だ。

それに免じて俺が帰ってくるまで仲間は所定時間まで本気は出さないと命令しておいた。」

「なぜだ?なぜ本気を出さない!僕らを舐めているのか!?」

 ゲンジョーは兜を取り、そのあごひげでおおわれたいかつい顔をあらわにする。

 その顔は歪み、獰猛な笑いと敵意をむき出しにした目で僕をにらむ。

「……決闘を楽しみたいからだよ。

お前をここで叩きのめす!赤の誇りにかけてな。」

 どうやら相手のこの感じは僕らを完全に屈服させるという意思表示らしい。

 あくまで御前試合、ここで僕らが結果を残さなければ青の柱国の情勢まで左右しかねない。







 だがそれ以上にこの試合にゲーマーとしての何かをかけていると、彼から感じられる。







 ――なら僕が言う返答は一つだ。





「受けて立つ!来い!ゲンジョー!!」




※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。



■ ■ ■ ■

~FrG豆知識のコーナー~

■ ■ ■ ■

クロス「こっちは任せろ!豪快に暴れてこい!オト!!」

カルビ「アタシらが抑えている間に頼んだぞ!」

ミカ「いっけー!オト!!二人は私に任せてよ!」

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