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お母さんと弟妹の大号泣に、畑仕事から昼飯に戻ってきたお父さんと二番目の弟が加わった。
抱き合う四人を見て、お父さんは立ったまま涙を流し、年頃男子の弟は声を殺して泣いている。
そんな姿に、更に俺ももらい泣き。
しばらくして、やっと落ち着いたマックスの家族から礼を言われた。
みんな、目がパンパンだ。俺もそうだろうけど。
盛大に感謝されて、ちと恥ずかしい。
それから昼飯を囲んで、家族はあれからの事を話してくれた。
マックスのおかげで誰一人死なずにやり過ごせた事、去年成人したマックスのすぐ下の弟が冒険者になって出稼ぎに行ってる事、その下の弟が(目の前にいる)畑仕事なんか力仕事を頑張ってくれてる事、末っ子の双子もよく手伝っている事、家の状態は安定した事。
「よかった…」
マックスが心から安堵した声で言う。
よかったな。
家族が健康で生きていてくれたなら、マックスが苦労した甲斐があったってもんだよな。
や、偉そうな事思ったわ。奴隷がどれほど辛いかなんて全然知らないんだ、勝手な事思うなってな。
「村の、みんなは?」
マックスの問いに、家族が親しい村の人たちの話をする。
マックスがストレートに聞かないから、一番聞きたい幼馴染の事が話されないじゃないか!
俺の方がヤキヤキしながら待っていると、やっとその子の名前が出た。
「おまえと仲が良かったアメリアだけどな、おまえの二年後に売られていってしまったよ」
「なんで!」
「ダネル(アメリアの父親)が死んじまってなぁ…。飢饉の後だったし、村のもんもまだ助けてやれる余裕がなかったんだ。
おまえと同じ、家族のために長女のあの子が自分から言ったんだよ」
「……」
なんてこった!
マックスは家族もだけど、その子を生きる励みにして頑張ってきたっていうのに。それなのにその子が売られていたなんて。
マックス…。
俺はかける言葉がなかった。
獣人は基本他人の家に泊まる事がないんだそうだ。という訳で客布団なんてもんはない。
マックスの家は客が泊まれる用意がなかったので、毎度村の外に、ではなく、マックスの家の隣に家を出す。
驚く事に、獣人の住宅事情は、お隣さんと目視できないほど離れているのだ。
家を出すと言うと、双子が興味津々でついてきた。まぁ不思議な表現だもんな。
二番目の弟も、双子の見張りとかいいながらついてくる。自分も興味津々なのはバレバレだけど。
初めて入る豪邸に、三人は大興奮!テンション高く、泊まる事になった。
これはもうお父さんとお母さんも泊まればいいんじゃない?離れ離れだったんだし、積もる話もあるだろ?
マックスとご両親はものすごく恐縮していたけど、まぁまぁいいじゃないですかとご招待する。
一家は、大風呂にも(女風呂と男風呂、交代で入る)飯にも(食べたみんなから美味いと言われた異世界料理)ふかふかなベッドにも(さすが金持ち仕様の高級ベッド)驚いていた。
まぁね、気持ちはわかるよ!
そうして、マックスの部屋に別の部屋からベッドを運んで、その夜は家族水入らずで過ごしてもらった。
部屋の明かりは、遅くまでついていたようだ。
翌朝、食事がすむと一家は帰っていった。
畑仕事その他があるからな。
「……少し、手伝ってきていいですか?」
マックスは遠慮がちに言った。
「俺に許可なんていらないよ!好きなだけ手伝ってこいよ!考える時間が必要だろ?」
「……ありがとうございます」
俺も一緒に行く。
戦う事はできないけど、畑仕事ならできるだろう!
……十一歳の双子より働きが悪かった。
そういや畑仕事なんてやった事なかったわ。
半日で筋肉痛!
その日のうちに出るって若いかも、とか喜べない痛さ。
もうちょっと日頃から運動しようと思った。
それから数日、畑仕事を手伝っている。
筋肉痛はマシになってきた。さすが若い身体!
マックスの弟妹は、初日からずっとうちに泊まっている。
さすがにお父さんとお母さんは遠慮したけどな。マックスがまた出ていく事がわかっているからか、弟妹が泊まる事は許してくれたようだ。
マックスは畑仕事をしながらや、弟妹と接しながら、時々考え込んでいる。
なんかね〜、マックスの心の内がわかるようだよね。
マックスは遠慮しいだから言わないんだろうな。しょうがない。
「マックス、アメリアを探しに行こう!」
「ヨシトさん!」
「全大陸を制覇しようっていったじゃん。アメリアを探して歩くのにちょうどいいと思わないか?」
ニヤリとする。
「ヨシトさん…。手がかりも何もわかりませんが…、ありがとうございます」
大丈夫!広い世界だけどいけるって!
だって俺、神様の加護がついてるし!
という訳で、新しい冒険が始まる。
数多ある物語の中から、目を止め読んでくださってありがとうございました。
良人とマックスのお話は、ここでいったん区切らせていただきます^^
頭の中には、アメリアを探しに行く話や、南大陸で一仕事する話があります。
魔大陸や龍大陸にも行ってみたいなぁ。
そっちも読んでみたいと思っていただけたら嬉しいです!
でもその前に前々作でお約束した、そちらの続きをお届けしたいと思います。
待ってたよと思ってくださった方、興味を持っていただけた方、少しお待ちくださいませ。
なるはやでがんばります!
長くなりました。ではいつものご挨拶を^^
ブックマークがついた時は、いつも!とてもとても嬉しいです!
誤字報告もありがとうございます!
もしも気に入ってくださったなら、次回作でまたお会いしましょう。




