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多世界転生物語〜偽りの姫の居場所〜  作者: 星実月 希蝶
3章 エレ編 過去のおいてきもの
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エピローグ 花の双子の兄弟日記


【忙しいフィルへ

 今日は、僕の番だから、そういう趣旨にしてみる。


 エレが見つかったよ。毎回、あの子だけ生きる術ないのどうにかしてほしい。エレって、生活力皆無で、僕らが世話してやらないと何もできないから。迷子になるし、すぐ泣くし、言葉覚える事すら一苦労。


 エレは、本家で預かる事にした。ゼロとセットで。


 それは良いんだ。むしろありがたい。問題は、エレの迷子癖。

 本家は、広いから。エレが迷子になった。


 長い木の板のような模様の床。白い壁。その中を走るエレ。僕が見つけると、エレは泣き出した。


 楽しそうに走ってたでしょ。流石に、その言葉は出なかった。そういう事で、僕らの新生活。次の僕の回をお楽しみに。


 ——


 エレの世話、大変そう。おれは、今日はミドゥに頼まれた。勉強会。ミドゥが、魔法具技師の免許取るって。何も教える事なかった。だから、試験の日程だけ教えて帰った。


「ありがと。また、わかんないところあったらお願い」


 って言われたけど、何も教えてない。これ、どう反応すればよかった?


 ——


 ミドゥ相手なら、わかんないとこあるの? とか、全部自己解決してたじゃん。くらい言って良いと思うよ。相手がエレなら、わかったとかだけど。


 僕の方は、ちょっと問題が起きてる。なんか、エレが御巫の娘だとか言い出してきて。外見も何もかも違うのに。なのに、御巫の素質がないとか。

 それで、今は本家で匿っているけど、いつどうなるか。


 一応、年齢的に、一部の特殊族の教育を受けないといかないから、常に一緒はむりなんだ。ゼロも、ロストの事で忙しい時があって。


 エレは大丈夫って言うけど、心配なんだ。


 ——


 それは心配だね。何か解決方法があれば良いけど。


 おれは、今日は試験管の頼りがきた。ちょうどミドゥも受けるから、最難関試験にでもしようかな。おれとエレは、最難関試験をするで有名らしいし。


 それと、ゼロから連絡きた。


『魔法具技師試験受けたい』


 って言われたから


「もう受付終わってる」


 って素直に言っといた。ちょうど一分前に終わった。ある意味タイミング良すぎる。ゼロに、次回頑張れって言っといて。


 ——


 だから、あんなに落ち込んでいたんだ。言っといたよ。エレと一緒に免許見せつけて。


 僕は今日、勝負ふっかけられた。おんなじくらいに教育受け始めた黄金蝶から。勝負は数秒だったけど。

 もう、僕には関わらないんだろうね。陰で、僕が本家の黄金蝶だからとか言ってるかも。みんな、そうだから。


 それとエレが、また迷子になったんだ。今度は、オルと一緒にいた。オルが先に見つけてくれていたらしい。オルに感謝しようと思ったんだけど


「エレ、オルにぃと一緒がいい」


 ってエレが言うから。エレを持ち帰った。


 オルは、エレのために、自室の家具を変えてたんだ。ふかふかのベッド、可愛らしい猫のぬいぐるみ。桃色のソファ。オルに似合わないものばかり。


 絶対、エレはオルの部屋に入り浸ってる。僕が授業受けてる間に。


 ——


 それは、そうだと思う。エレ奪われてる。


 おれは、今日から試験準備。職人街は、相変わらず居心地がいい。

 どれだけ歩いても、疲れない地面。職人達が築いてきたもの。今度は、どの免許を取ろうか。そんな事ばかり考えてた。目の前の試験準備を忘れて。


 宿舎は、一人部屋。静かだった。魔法具製作も捗った。

 また、エレの設計図で魔法具を作りたい。


 ——


 エレも、フィルに魔法具作ってもらいたいって言ってるよ。


 この前の話なんだけど、また、あの黄金蝶が勝負をふっかけてきた。連日で。


 毎回負けるのに。


 今日は、また、僕の陰口を言っている現場を見た。僕が本家の血筋だから、特別なんだ。自分達と違って、なんの努力もしてないんだ。本家だからって言い気になるな。そんな感じの事言ってた。


 そこに、あの黄金蝶が来たんだ。あの黄金蝶は、一緒になって陰口を言うのも、素通りするのもしなかった。


「貴様らは、目に見えるものしか信じないんだな。確かに、あの男は、貴様らとは違う。それがわからんようでは、永遠にそうしているだけだろうな」


 そう言っていたんだ。


 それで、また、勝負をふっかけられた。だから、快く引き受けて、負かせてあげたよ。でも、いつもとは違う。


「僕はフォル。君は? 」


「イールグだ。本家の、負けず嫌い」


「……まさか、あれ見てたの? 」


 オルに、魔法も神聖術も使わない。そのために、一人だけ特別訓練とか言ってね。魔法をずっと避け続ける。意味わからない事させられてたんだ。


 エレの前で、負けるのがいやで、意地張ってた。それを、見られてたんだと思う。


「どうだろうな? 一人で抜け駆けとは、さすが本家様。いつもご苦労な事で。などと思っているのかもしれないな」


「そっか。なら、一緒にどう? 」


 嘘が下手。能力なんて使わなくても、すぐに気づけたよ。


「貴様に勝つかもしれないのにいいのか? 」


「別にいいよ。僕、そんな事気にした事ないから。それに、競う相手がいた方が、面白そう。じゃない? 」


「面白そう? フッ、そうだな。個でいるより、その方が面白そうだ」


 本家の敷地内。授業が、本家の敷地内に建てられた建物だから。いつでも、本家のみんなは、通りたい放題。だというのに、何も気にせずにそんな話をしてたんだ。


 ちょっと、悪かったかなって思ってる。


「ほうほう。それはいい事を知った。フォル、貴公がよく口にする面白い。それを、体現して見せてもらいたい」


 オルが全部聞いてたんだ。ほんっと、性格悪いよね。周囲から見れば、いい話のように映るだろうこれを、最悪のオチにされた気分。


 監視用の魔法具がある、本家の所有地の魔の森。あそこへ連れてかれた。連絡魔法具は持たせてくれたよ。じゃないと、これ書いてないから。でも、武器は木剣。魔法と神聖術を使わないように、封印魔法具つけられた。


 あの、もう二度とやりたくない。僕ら全員が言っていたあれ。あの表情変わらない、オルが珍しく楽しそうにしてた。僕らを残して、オルは一人で本家に戻ってる。


「エレの面倒は心配しなくていい」


 という言葉を残して。


 唯一の救いといえば、あの時の場所よりも優しい場所という事。あそこは、どうして生きて帰れたのか。いまだに理解できてないから。


 暗い森の中で、僕らが無事に帰れるように、祈ってて。


 ——


 えっと、その、今日、オルから連絡がきた。一緒に見ないかって。それで、今本家います。


 その、頑張って。エレは、元気だから。見ていると、心配する。そういう理由で、ゼロと一緒に遊んでる。


 イールグと仲良くなれるといいね。見てるだけでもわかる。彼、本当にフォルを一人の人として見てるって。本家の黄金蝶でも、神聖でもない。フォルを見てくれている。


 フォルに、いい縁があってよかった。


 神聖術使わなくていい。それでも、油断しないで。無茶しないで。


 それと、日数なんだけど、三十日だって。オルが隣で言っていた。あの時ほど長くないけど、帰ったら、いっぱい、甘えていい。


 ——


 ありがと、フィル。今はルーと甘えあってるよ。と言っても、寒くて暖をとっているだけなんだけど。


 緑に白が落ちてきている。これ何かわかる? 緑に白が落ちて、白が緑の上に乗ってるんだ。


 緑を覆い隠さんとしているんだ。


「……ルー、ここから出たらさ、一緒に本家の長男に一言文句言ってやろうよ」


「それはいいな。ついでに、自分もやってみろと、ここへ連れてくるのはどうだ? 」


「それいいね」


 ここでずっと一緒にいて、いろいろ話していたんだ。そうしたら、想像以上に気が合うみたいで。

 こんなの、神魔聖以外で初めて。


 少しくらい、多めに見て。世界で生きるんだ。なら、少しくらい交友関係を持っといた方がいいと思うんだ】

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