10 未知の恐怖
(まあ、想定の範囲内だな)
彼女は制服から察するに同じ学校のようだ。潜入のための変装かもしれないがな。
そして相手は魔法使い(仮)だ。窃盗犯ぐらい追い詰められるだろう。俺としてはもらったんじゃなくて、預かっているつもりだが。
彼女は屋上に上がってから辺りを見回し、何かを探しているようだ。おそれく、対象は俺。
そして彼女はタンクの上を見据える。死角があることに気がついたのだろう。
タンクに近づき、備え付けのはしごを登る。その足取りは、少し重い。未知の恐怖に挑もうとしているように見える。
そしてはしごを上り終え、タンクの上に勢いよく顔を出す。
「見つけました・・・・!」
────だがそこに俺はいない。
「あ、あれ・・・?」
彼女は首をかしげる。自信満々だったもんなあプププ。
屋上で隠れられそうな場所がひとつなのに、素直にそこに隠れるわけないじゃん。即効見つかるわ。
俺は屋上のフェンスを超え、屋上のふちに懸垂のようにぶら下がっていた。手を離したら死ぬ。もちろん彼女の様子を見るために肘を曲げてるから疲れる。そろそろしんどいかも。
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他の作家さんにとっては誤差の範囲かもしれませんが、自分を卑下することが特技の私には有り難すぎる数字です。
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