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トシは客間を少しだけ開けて、中の様子をうかがった。客間にはウォルフがいるはずだが、ベッドの上に姿はない。あわてて扉を全開にすると、部屋の隅で丸くなって眠っているウォルフの姿を見つけた。
よほど疲れていたのだろう。トシの気配に全く気付くことなく、ぐっすり眠っていた。トシはベッドの上から毛布を取ると、ウォルフの身体にそっと掛けた。
不思議な男だ、とトシは思った。不死身の身体を持ち、もう何百年も生きてきたのに、寝顔は子供のようにあどけなく、無垢だった。
トシは音を立てないようにそっと客間を出て、自分の部屋に向かった。
ついさっきユアンから、ハクトとシュウと共に聖剣の使い手と闇の炎を探すように言われたトシだった。
真っ先に頭に浮かんだのはサラのことだ。ユアンに呼ばれる前にサラと話していたトシは、行商を辞めるのであれば、村で子供たちに学問を教えないかと誘われたところだった。
サラがこのことを知ったら……息子たちが揃って、二度と国には戻れないかもしれない旅に出ることを知ったら、どう思うだろうか。
サラの心情を思うと、トシの心は張り裂けそうになるのだった。




