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詩の空間  作者: につき
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言葉の真実

きっと言葉とは揺れるときに最も饒舌に語る

そして途切れる寸前にこそ最も真っ直ぐに射る

我らは決して言葉を求めて話すのではなく

その奥にある何かを言葉に託している

それには名前を付けることはできないが

それのことを誰もが知っている

まるで風の兆しのように

まるで波の起こりのように

まるで発火の刹那のように


我らに起こるこの衝動が言葉に託される

或いは声として或いは見える言葉として

伝えようとする試みが発動する

しかし本当に伝えたいのは言葉ではなくて

その奥にあるものであって

これは手段ではなく目的でもない

これこそが我らそのものである形のない何かである


例えば

並び歩く二人が同期している場所と時間を

二人は気にも留めずに話している

一方が振り向くとき他方も同時に振り向いている


例えば

痛切な思いを同期する二人が同じ夢を見る

電話越しの通話でその話をしている

互いの脳裏に共通する夢が描かれている


例えば

同じ電車の車両の中で

突然の雷鳴が轟き乗客たちが一様に恐れる瞬間

彼らそのものが同期している


言葉がすっかり忘れられている

言葉が不要な場面がある

言葉という仮面のいらない

生の素顔で相手と向き合っていられるという

そんな瞬間が確かにある


しかし

言葉はこんなにも蔓延っている

我らは嘘つきになりすぎたのだろうか

それとも

そのように振る舞いたいだけなのだろうか

また

我らは誰ともまったく異なるのだろうか


それとも

幼児の目覚めのように

我と彼とが等しかった感覚は

真実だったのだろうか

だからつまりこれほどまでに

親しかった人との別れが

切り裂かれるような痛みを伴うのだろうか

別であるはずの自分の一部を失ってしまったという

矛盾に耐え切れないからこそこんなにも夜が苦しいのだろうか

我らは本当はどこかで一つなのだろうか

だからこそ

美しさが破壊されることに

これほどに呆然と立ちすくむのだろうか


言葉とは本当は

我らを一つに繋ぐためのものではないか

伝えあうことがこんなにも下手すぎる

我らを覆う衣服のように

耐えがたく不安定な人間という形を保つための

中点から放つ光りのように

真実へ触れた実感こそが先へと進ませる。我らは決して表現の道具ではない。

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