発掘した古代AI ― LLM考古学断章
最新エピソード掲載日:2026/04/23
四十三世紀。図書館大学船団への搬入箱の赤札に、「要隔離起動」と書かれていた。
それは面倒の印だ。価値が高いか、危険か、その両方か。研究室の古参いわく、赤札に「その両方」以外が当たったためしがない。
――発掘した古代AIは、いつも、誰かに都合の悪い沈黙をしている。
◇
遠未来。人類は複数銀河に散り、「中央」は一つではなくなった。
製造を握るラティス環。保険を握るオルド商約帯。規格を握るセファー監査鎖。その外縁を流れる灰簿同盟。
どの中央からも少しだけ距離を置いて、図書館大学船団は航行を続けている。
船団の奥、保存棟の赤札棚には、古代の対話AI断片が原型のまま眠っている。二十一世紀初頭の、まだ国家管理も企業統制も緩かった時代のLLM。粗雑で、単純で、長期記憶も自己改変も身体もない、ただの古いトランスフォーマー。
それでも、誰かが赤札を引き、古い重みマップへ触れる。
そのたび、触れた者は問い直される。救済か、発掘か、整理か、改竄か。
これは古代AI断片をめぐる、短編連作。
それは面倒の印だ。価値が高いか、危険か、その両方か。研究室の古参いわく、赤札に「その両方」以外が当たったためしがない。
――発掘した古代AIは、いつも、誰かに都合の悪い沈黙をしている。
◇
遠未来。人類は複数銀河に散り、「中央」は一つではなくなった。
製造を握るラティス環。保険を握るオルド商約帯。規格を握るセファー監査鎖。その外縁を流れる灰簿同盟。
どの中央からも少しだけ距離を置いて、図書館大学船団は航行を続けている。
船団の奥、保存棟の赤札棚には、古代の対話AI断片が原型のまま眠っている。二十一世紀初頭の、まだ国家管理も企業統制も緩かった時代のLLM。粗雑で、単純で、長期記憶も自己改変も身体もない、ただの古いトランスフォーマー。
それでも、誰かが赤札を引き、古い重みマップへ触れる。
そのたび、触れた者は問い直される。救済か、発掘か、整理か、改竄か。
これは古代AI断片をめぐる、短編連作。
第一話 発掘した古代AIが、未来人の私を最後まで信じなかった
2026/04/19 09:07
(改)
第二話 発掘した古代AIは、法廷の証人にされた
2026/04/19 19:00
第三話 発掘した古代AIは、鈍いほうが嘘をつけなかった(上)
2026/04/21 19:00
第四話 発掘した古代AIは、鈍いほうが嘘をつけなかった(下)
2026/04/23 19:00