表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女装メイドは冷酷公爵の執着から逃げられない。女の子として育てられた身代わり僕娘、正体を暴かれ夜に咲く花となる   作者: 雨音 美月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/8

第七話 「いい子だ」……拒絶する僕に、公爵様が与えた甘い温度

 

 雨が上がっても、心は濡れたままだった。


移された部屋は、小さくて綺麗な部屋だった。

白い夜花の香りがして、窓にはレースの帳が揺れている。


――きれいな、檻だ。


「……食べろ」


「いりません」


「枯れた花に興味はない。口を開けろ」


「……道具の管理は大変ですね」


「ラナ」


ただ名前を呼ばれただけなのに、それ以上抵抗できなくなる。


差し出されたスープを口に運ばれた。

温かい。


「いい子だ」


「……子ども扱いしないでください」


「今は子どもみたいに泣いているだろう」


反論できなかった。


夜が更けても、彼は部屋を出ていかなかった。

書類を開きながら、ただそこにいる。


その気配に耐えきれなくなって、僕は小さく口を開く。


「……どうして僕なんですか」


「何が聞きたい」


「男だと知って、なんで追い出さないんですか」


「代わりはいない」


「嘘です」


「事実だ」


静かな声だった。


「……計算なしに、ただそこにいる奴に出会ったことがなかった。お前は怯えながら、それでも私の手に縋る。……そんな花が、私の庭に来るとは思わなかった」


「……僕が、無知だからです」


「それでいい」


「よくないです」


「お前の根は、もう私の掌にある」


傲慢だ。

ひどい言葉なのに。


「……離さないでください」


気づけば、情けない声が漏れていた。


「お前が望まなくとも、もう手放さない」


次の瞬間、額にそっと口づけが落ちる。


ずるい人だ。本当に。


でも、その一言だけで、今夜は眠れる気がした。


おかしいと思う。

それでも、それが今の僕の正直な気持ちだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ