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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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98 鳥の国から  クビワキンクロ さぎどまりのはじまり

鳥の国から すずがも通信96 1996年2月号


 あれっ?あいつ、なんだろう?

 みなと新池のキンクロハジロとホシハジロの中になんだか変なのが一羽。頭がおむすびのような形です。きらきらする水に浮かぶシルエット、よく見ると、目のまわりが白い。ただのキンクロハジロじゃない……クビワキンクロではありませんか。上野の不忍池には毎年来ているので、このごろは話題にもならないけれど、保護区ではこれまでまだ記録がありません。雄のエクリプス。順光でよーく見ると、頭が緑色光沢、胸が紫色光沢なので、えらく奇妙な色に見えます。文句なし!やったね。1月9日のことでした。 

 大満足で帰ってきたのはいいけれど、翌日は見られなかったとのこと。一日おいて行ってみたらちゃんといる。ところがその次の日も見られず。1月13日現在、要するに、まだ私ひとりしか見ていないのです。でもクビキンくん、きっとまだいますよ。きれいな繁殖羽に衣がえするまで残ってくれるといいなあ。

 さて、それはともかく、目下観察舎から見える鳥は餌づけしているカモメ類を別にすれば皆無に近い!毎年、カモが少ないと嘆き続けているけれど、少ないんじゃなくて、いない!カンムリカイツブリも、ハマシギも、カワウすらいなかったりするのです。どうして?

 いろいろやってはみたのですよ。まず、何年か前までよくサギがならんでいたのに、岸の一部がくずれて端までアシにおおわれてしまったため、鳥が上がらなくなったウラギク湿地のはしっこ。風よけ用のアシをちゃんと残して、水際だけ刈りました。これが後の「さぎどまり」です。大正解。アオサギをはじめ、サギがずらりとならび、時にはカモも上がるようになりました。

 次。だいぶ大まわりにはなるけれど、ちょうど観察舎の正面にあたる干潟まで道をつけ、ストックしてある古米をまきました。1週間というもの、何もこなくてがっかりしていた上、1週間目には潮がひいた干潟にカラスが何羽も下りて米を拾っていて、げんなり。ところがその日の午後からオナガガモが餌づくようになりました。

 だったら鳥がいるはずでしょう?それが、いないのです。お米はちゃんとなくなるのに。なんとオナガガモたちは夕方暗くなるころにやってきて、朝早くには食べ尽くしていなくなってしまうのです。サギがこのごろいない理由はよくわからないのですが、もしかすると、カモもサギも、ちょいちょい様子を見に来るチュウヒ(水鳥を捕ることもある中型のタカ)がこわいのかもしれない。観察舎正面の鈴が浦はたいへん浅いので、もぐって逃げるのがむずかしいとか、北風がまともにあたるのがいやなのだろうとか、江戸川区で立てているでっかい煙突がこわいのだろう、とか、諸説さまざま。

 ま、また何か考えます。ともかく、観察舎から鳥が見えるようにしなくてはね。でも、どうしたらいいんだろうか。よくわかんない‥‥‥さしあたっては、餌場に集まるセグロカモメ、ゴイサギ、アオサギ、バン、オナガガモ等々にいっしょうけんめいサービスをします。シロカモメも来ていることですし。

 新年そうそう、いささか意気消沈している鳥の国でした。次回はがんばるぞーっ。うらぎく湿地沿いに新しい観察ルートも作ったことだしね。きっとまた、何かいいことがあるでしょう。



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