フェリクス包囲網。
色々自体が動きます。
<<エルフ城・アルテミシアの私室>>
「到着は昼前よね、ようちゃん!(嬉」
「アルテミシアは切り替えが早いな〜」
昨晩、シクシクと泣いていたアルテミシアに洋介は「全て任せろ俺が何とかしてやる」と明言するとベッドを飛び降り、各所に根回しを行いクーンに行く事が決まる。そして翌朝目覚めるとそのことを伝えた途端、上機嫌に変わり今に至る。
「だって洋介が決めたのだから私は付き従うわ」
クーン王国に出向くために準備をしているアルテミシアは凄く上機嫌だ。お気に入りの洋服をニコニコ笑顔で選び、まるで新婚旅行にでも行く様な雰囲気を醸し出していた。
<<エルフ城・大広間>>
準備が整い部屋を出た2人はレイモンを先頭に正門に向かっていると、伝言を伝えようとオルガが小走りで駆け込んできた。
「アルテミシア様、お客様が参ります」
「アポは入ってない筈だけど・・嫌な感じ通さないで」
アポ無しでは友人すら城には入れ無い、思い付くのはフェリクスの極限られた手下くらいだ。なので拒否しようとするが既にヒタヒタと静かな足音を響かせ目の前に現れた。
「アルテミシア女王様、お久しぶりになります」
現れたのはやさぐれた風体の目付きの悪いダークエルフの男で、見た目からすると悪人と表現するのがぴったりだろう。アルテミシアは一瞥すると知り合いなのかピクリと頬が動く。
「あら珍しいわねスネイプ、何用かしら」
このスネイプと言う男はフェリクスが重用する手下で、表の顔は貴族籍なる地位を持ち生活が困らない程度の食い扶持を与えられ好き勝手に生きている奴だ。もちろん戦争が始まっても当然のように従軍すること無く、事が収まるまでビット村で息を潜めていた。
「最近、城に人間の男が出入りしていると聞いて見に来たんだよ」
スネイプは村で洋介の事が噂になり、念のため様子を見に来たのだろう。一応フェリクスの耳を担っていたりする。
「アイツの”犬”に態々教える必要は無いですわ」
「犬とは酷いなアンタがもし浮気していたら一大事だからね。ところでそいつは誰だ」
目の前に探していた人間を見つければ、やったコイツが浮気相手だろうと内心で喜びつつ出方を伺うのが一般的だろう。ねっとりと嫌らしい疑心に満ちた目が洋介に向けられる。
「お前に名乗る名ど持ち合わせて無いな」
余裕の表情を浮かべつつズボンのポッケに手を突っ込み、斜めに立つ洋介は全く相手にしない態度を取り、いきなり強気の発言でスネイプは目を細め腰を屈める。
「お前を調べに来たんだよ坊や」
睨み返すスネイプは右手を隠す様に腰に手を回す。間違いなく隠しているナイフで脅すつもりだろう。しかし洋介は堂々としたまま姿勢を変える事は無い。
「おっさん殺気だすなよ、マジキモいな、キモ過ぎるわ」
「煩い!黙れ」
瞬間湯沸かし器並みに激高したスネイプは殺意全開で洋介を殺すつもりだ。アルテミシアに纏わりつく男は全て排除する命令でも受けているのだろう。
「キャ!危ない」
「遅いよおっさん」
スナイプは低い姿勢から横切りの構えで下からナイフを振り上げ首を狙ってくる。しかし洋介は予知能力を使い軽く身を捩り刃先を紙一重で交わしニヤリと笑う。
「クッソ!」
「バインド!」
富豪の洋介は狙われることが多々あるので自身の特殊能力を悟られないようにしなければならず。ナイフを紙一重で避け拘束するバインドも魔法は発動せずワイヤーを使う。
「うわっ、何だこの強い線は!」
因みに上半身と足首を縛られたスネイプはバランスを取ろうと、間抜けなロックフラワーのようにモゾモゾと動いていたよ。
「レイモン悪いがコイツを、そうだな6日程でいい離れで飼ってくれ」
「承知しました」
洋介は何か考えが有るのか指を折りながら日数を数え指示を出し、スネイプはレイモンを呼び捨てにすることに驚いていた。
「お前は誰なんだ、教えくれ」
「オルガ、悪いが奴隷の首輪をコイツに頼む」
洋介は女王の前で刃を見せた事で実は沸々と内心では怒っている。オルガもレイモンも鋭くなった目つきで心情を理解したのか口角が上がり、もちろんアルテミシアも頼りになる男だと感じニヤけていたけど当人は知らんぷりです。
「畏まりました」
レイモンもオルガも”洋介の名”を呼ぶことは無く深く頭を下げ、命令を忠実に守るその従順な姿を見たスネイプは驚愕の表情を浮かべる。それはそうだろう. この2人は王と女王の為だけに仕事をするのが天職であり他者の命令などには絶対に従わないのだから。
「さぁアルテミシア行こうか」
「はい《《あなた》》!」
「エッ、なんだと」
今聞いた”あなた”の言葉が何かの間違いかと思ったスネイプは信じられず唖然としてしまい、目の前にいる奴が新しい王様かと一瞬考えたがフェリクス以外は考えられないので反射的に洋介を睨む。
「おいスネ夫、土下座して俺の靴にキスするなら許してやるよ」
「名乗れ貴様はだれだ!何故レイモンを呼び捨てに出来る」
スネイプの問いに答える事無く洋介は不敵な笑みを浮かべ、アルテミシアの手を引くと城の正面玄関に足を向けるのだった。
ーー
<<昨晩のクーン城・アーレイの私室>>
「アーレイ様、洋介様の予定が確定し明日の昼前にお見えになるそうです」
夜の帳が降りる頃、タイラーとベッドの上でゴロゴロしながら談笑していた所にペニーが報告に現れる。普段ならこの時間に部屋に入ってくることは滅多に無いが、急ぎなのだろう秘密回線で送られた極秘情報が詰まったチップを手渡してくれた。
「ありがとうペニー、洋介はなにか話していたか」
「先に見て頂いた方が話が早く進むと申されていました(恥」
バスローブ姿の2人を改めて見直すと少し顔を赤らめ、長居は無用とばかりに踵を返し部屋を後にする。そして渡されたチップをプロジェクターに入れ映し出すと、傍らで甘えていたタイラーはベッドの上で寝っ転がりながら操作し始めた。
「ふむふむ、あの村に住むフェリクス達の事が殆どですね」
「アルテミシアの問題解決と言えばこれしかないだろう。後はI・F・G王国の法令に関する資料か」
悩んでいたアルテミシアの問題を解決すべくベッドを飛び降りた洋介はアーレイに連絡を取り、フェリクスを追放するので協力してくれと頼む。作戦案はあるのかと問うと当たり前だと言われ今に至る。そして最後に明記された資料を開くとアーレイはニヤリと笑った。
「ふむふむ、という事はデルタ魔法部隊の出番ですね」
「頼めるかなタイラー、選りすぐりの隊員50名も送り込めば事足りるだろう」
作戦内容を軽く一瞥したタイラーは自分達なら活躍出来ると瞬時に判断したらしく、パッドを開き明日以降の予定確認を始めると同時に隊員を動かすための作戦指示書を作り始めた。
「根回し用にインテンスの報告書を朝イチ、ジェフ陛下に送りますね。これなら動かさざる得ないでしょうね、うふふ」
アーレイの考えを先読みして魔法部隊を”無料”で動かす方法を思いつくタイラーは流石だ。上手く立ち回れば古ダヌキジェフの悔しい顔が見れそうだ。
「なんなら作戦にエルナも参加させれば楽しいぞ(笑」
エルナは2人の動向に関する報告書をクーンに上げていてアーレイも目を通し、フェリクスに関してはある程度は掌握済みだったりする。情報源がロズリーヌなので精度としては100%信じられるだろう。しかしタイラーは口をとがらせ、どうやら彼女の事が不満らしい。
「あー、あのおばちゃんダークね。結構図々しくて嫌いなんだよね~」
「こらこら、一応アデールの親友でもあるんだぞ失礼な事をするなよ」
タイラーは修行中に近くに住むエルナとは何度か顔を合わせた事があるらしく、魔道具の事に関して教えてもらいたいことがあり頭を下げるも、アデールの配下なら良いけどフィリーサの配下なら頼みは聞かないとか言って我儘だったので嫌いになったと話してくれる。
「エルナ抜きでもどうにかなるっしょ、それより早くしよ♡」
「相変わらずのエロフですね~(棒」
最近のタイラーさんは息子のショーンがデルタにある全寮制の士官学校に入ったのでぶっちゃげ夜は暇らしく、新婚当時と何ら変わらないペースを維持して夜日程を心待ちにしている。なので全く遠慮などしないのだ。
「いっくよ~じゃ〜んぷ」
「うわっぷ」
ベッドの反発力を生かしたジャンピングアタックをビヨ〜ンとかますタイラーはアーレイの顔面に巨大双丘を押し付けるのだった・・。
>
「この幸せ者!」
「俺は美乳が好きだ!だが落ちろ!」
「・・・(落」
>
相変わらずのタイミングで突っ込みを入れて来る阿保なAiの電源を速攻で落とすアーレイは、実はタイラーの爆乳の谷間で窒息しそうだったのは内緒よ・・。
<<昼前・クーン城客間>>
アーレイ「うわぁ!話に聞いていたけど慎ましいどころの騒ぎじゃ無いわ」
フィリーサ「女って男でああも変わるのよね~」
昨日の宣言通りクーン城の駐機場に移動用シャトルが降り立ち勝手知ったる洋介はそのまま客間へと入り、2歩後ろを慎ましい表情を浮かべたアルテミシアが続くとその余りの変わりようにフィリーサは午後にでも雨が降るんじゃないかと思ったのは秘密です。
宜しければブクマ評価感想などお待ちしています。




