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勃発!

またまた紛争地域に行きます。

 「ガルガル!やってやるのだガルゥ!」


 後日、途中編入試験を受ける事になった気合十分のコロンは作戦本部に出向き、筆記と実技試験を3日間かけて行う事になる。


 <<特別入隊試験・結果発表当日>>


「筆記試験87点、健康状態良好、中々優秀だな」

「当たり前なのだ!」


 筆記試験は強制学習なので高得点は当たり前だ。しかし実技は意外な結果に終わりアーレイはジト目に変わる・・。


「通常射撃60点、遠隔射撃89点、偵察任務能力65点、暗殺任務適正40点、近接戦闘80点、追跡任務95点、視野角、動体視力100点、耐G適正98点だ」

「なんじゃこりゃアーレイ、脳筋ワンコだな」


 結果を見たアーレイは即座に思いついたのがスナイパーだったが、とある数値(耐G)を見て艦隊勤務、それも業火級に適していると考えていた。


「キース、筋力がまだ子供レベルで陸軍じゃ死ぬな」

「まあ確かにユニットを降りたら即死レベルだわ」


 コロンはまだ幼く作戦本部の技官にすら腕相撲に勝てないだろう。となれば小さい体を生かしたアサシンと思われるが暗殺が不得意なので、パイロットにしか選択肢が無かった。


「あははアーレイ、取り敢えず本人の希望は?」

「闘えればどこでもいいらしいよ」


 途中からクリスが割り込んできて成績表を見て笑いながら配属先を決めろと言ってくる。アーレイ的に俺は飼い主じゃないぞと思いながら取り敢えず航空課に送り込もうと考えた。


「コロン、これ持って航空課に行け」

「ガウ?戦闘機乗りなの?」

「そうだよ」


 入隊許可が下りたので儀礼服と戦闘服を充てがわれ、その姿を見てマジ少女兵だろと思わず半笑いをしてしまう。本人は緊張していたのかアーレイのニヤケには気が付かず、合格通知書を渡すとニンマリしていた。


「うが、頑張るのだ」

「パン屋の件はチャラね」

「ふん、そういうことにしとくのだ」


 以前よりは少しだけ敵意を見せなくなっていたコロンは一応犬なので恩義を感じているのだろうと思い、立ち去る後ろ姿を生暖かい目で見送る。だが「勅命がきた」と言ってクリスがいつもの敬礼をしていたよ・・。


 ーー


 <<数時間後・デルタ宇宙港>>


「クリス司令官、出港します!!」


 定期点検を終えた第9艦隊旗艦エルフォードは、とある任務に向け今まさに出航しようとしていた。その雄姿を例えるならシンプルになった「アル〇ディア号」と表現するのが一番ピンとくるだろう。カルネの戦艦もそうだが大型素粒子砲を可動式の砲台に搭載するので、多少の違いはあるもののデザインは似たり寄ったりだ。


「アーレイ、休暇は返上だな」

「あー、ブラックデルタ軍だわ〜」

「けど陛下の前で笑わせるなよ、怒られたじゃねーか」


 ジェフとの謁見後、急遽紛争地域に向かう事になりアーレイは不機嫌そのものだ。何せ帰国後、休暇を貰えるだろうと入念に船釣りの準備を済ませ予約まで入れていたので当然だ・・。


 <<数時間前・王宮謁見の間>>


「失礼しますジェフ陛下」


 真面目なクリスは一礼をして謁見室に入る。しかしアーレイはいつもの様にスタスタと陛下の前までくると「出頭しましたご用は何でしょう」と挨拶を済ませ、いつもの掛け合いが始まろうとしていた。


「アーレイ、惑星ヴァルで紛争が発生した。第9艦隊の初陣にちょうど良いから行って来い」

「陛下休暇!」

「大規模海戦じゃ無いから軽くあしらってこい」

「全然聞いてないし」

「行って来い」

「・・・(横」


 人の話を聞かないのでとなれば態度で示せばいいと考え、横を向き明後日の方向を向いてみた。


「こら、聞いているのか」

「休暇!」

「勅命!」

「・・・・」

「もう一回言うぞ?ちょ・く・め・い!」

「はーい」

「・・・」

「相手はもしかしてディスティアですか」

「そうだ」

「行ってきまーす」

「相変わらずだな」

「そうですねー、初陣だガンバガンバ!(棒」

「プッ!」

「こらクリス」

「失礼しました陛下(笑」

「では散開(笑」


 一応、敬語は使うが余りにも軽すぎてクリスは我慢の限界を超えて噴き出してしまい、普通なら不敬になり怒られる。けどジェフは遠慮しないアーレイが面白くて笑っていた。ちなみの本日、後ろに控えているのはフローレンスではなくアニーという第3王女で、やり取りをポカンとした表情で眺めていた。きっと呆れているに違いない。そう思いたいアーレイだったとさ・・。


 ーー


 <<クロウ星団・惑星ヴァル>>


 惑星ヴァルは地球に例えると白亜紀に近く、哺乳類はまだ進化の途中で昆虫類を常食としているネズミのような生き物が多く、赤道近くには大型の首長竜などが生息している。そんな原始的な惑星は地下資源、それも天然ガスと希少金属が豊富で星団法に基づき発掘量が決められ公平に採掘されていた。


 <<惑星ヴァル・恒星圏内>>


 デルタ第9艦隊はディスティア軍を刺激しないよう少し離れた場所にジャンプアウトする。そして広域探査を行いながらゆっくりと惑星ヴァルに向けて舵を切っていた。


「事の発端は採掘量が多すぎると、ディスティアがクーンに文句を言ってきたのが始まりらしい」

「どうせ自分たちが多く採掘して推測されないように、いちゃもんを付けたんだろ」

「まぁそんなところだろうな」


 クーン精霊王国は星団法に従い採掘量を順守していたが、量を偽装しているとディスティアが抗議してくる。同時に拿捕すると宣言したため当初は警備艇同士の小競り合いだったが、増援部隊が姿を現し一気に緊張感が高まり救援要請が出された。


「クリス艦長、ディスティアの戦力が判明しました」

「これは本隊の増援待ちで間違いないな、数に物を言わせて力技で押してくる可能性がある」


 モニターに映し出される敵の戦力は第5艦隊所属の駆逐艦6隻と、警備艇15隻、しかしなぜか第1艦隊所属の巡洋艦4隻が混じっていた。混成部隊と分かりクリスは少し緊張した面持ちに変わる。


「うわぁ~陣形も本隊を待つために放射陣形を組んでいるわ」


 この艦船数なら巡洋艦を中心に隊列を組むのが普通だ。しかしモニターに映る陣形は旗艦や大型戦艦を待つように後方を大きく開いた形で放射状に広がり、それを見たクリスは増援を視野に入れ直ぐに動けるデルタ艦隊を探し始める。


「惑星の陰に入り様子を伺った方が良いな、偵察用シーカ射出」

「睨み合いで様子見するのか、まあ戦わない方がいいわな」


 惑星を挟んで膠着状態になればいつものパターンになり、数十時間待ってお互いに戦う意思が無い事を確認すれば撤退するのが常だったりする。しかしクリスは逆に焦っていた・・。


「アーレイ増援は期待できない。ヒャンドとカラミティ星団外で同時に睨み合いが起きている」


 実は商業連合との小競り合いで莫大な補償金を払ったコンドラトがディスティアに赴いた際、小型戦艦にコテンパンにされたと話したことが発端だったりする。要は業火級を確認したいがためにヴァルで輸送船を襲い、第9艦隊が出港を確認した後、多方面で小競り合いを起こしていた。


「多重作戦の可能性があるな、となれば戦力的に薄いここに集中させるんじゃないのか」

「それは聞きたくなかったなぁ~」


 ディスティアが業火級を追っているとアーレイは知らないが、指摘はあながち間違いでは無く、実はすでに大艦隊がジャンプしてこちらに向かっていた・・。


「艦長、破損した輸送船が映し出されました」

「これ見ろアーレイ、輸送船がボロボロだぞ」


 偵察用シーカーが映し出したのは拿捕という名目で攻撃された輸送艦だ。大きさ的には100万トンクラスで砲撃を喰らっても早々に沈みはしないその船は、機関部が完全消失したボロボロの状態で間違いなく対艦ミサイルを数十発は撃ち込まれていた。今はサルベージ船に曳航され宇宙ステーションに戻ろうとしている。


「これは対艦ミサイルによる飽和攻撃だよ」

「酷いな、輸送船にミサイル攻撃かよ」


 機関部が喪失した輸送船の艦長は律儀に報告書を送って来た。それによるとジャンプアウト直後にミサイルが発射され今の現状に陥ったとのことだ。民間船に攻撃などあってはならないしクリスは「乗組員が獣人だから見下して攻撃した筈だ」と怒っていた。


 Ai「大艦隊を感知、間も無くジャンプアウトします」

 「げっまさか!あれディスティアの旗艦フロストだぞ」


 Aiの通告後、30隻ほどの戦艦が次々にジャンプアウトするとこの戦場に場違いな船が現れ、それは100万トン級旗艦フロストだ。見た目を例えるなら大型の砲台を多数搭載しているヴェネター級・スター〇ストロイヤーと表現するのがぴったりだろう。


「まじで、何を考えているの、それにしても大艦隊だわ(汗」

「小競り合いじゃない、もうこれ大海戦だよアーレイ・・・」

「警備艦がいなくなったが、44隻はいるぞ、何を考えているのやら」


 姿を現したのはディスティア本星防衛隊として知られている第1艦隊で、100万トン級旗艦を中心に50万トン級戦艦2隻、20万トン級戦艦2隻、重巡5隻 巡洋艦10隻 駆逐艦10隻、輸送艦4隻と約7割の戦力とはいえ大艦隊だ。


「クリスあの変な箱は何だ?」

「戦艦にしちゃ平べったいしおかしいよな、効率重視のディスティアはあんな物は作らない」


 輸送艦4隻に曳航されている大きな長方形の箱?は排水量で例えれば約40万トンはあるだろう。間違いなく何かを運んではいるものの登録は倉庫になっていて謎が深まるばかりだ。


「艦長、電波遮断され詳細は不明ですがエンジンは搭載していません」

「ますます分からんな、何かしらの武器には間違いないだろう」

「これ、星団法の抜け穴狙いじゃね?」


 それは新兵器の艦隊用広域攻撃システム「懺悔の雨」だ。倉庫とは名ばかりに内部には195㎜超高速滑空砲400門、250㎜無反動砲400門、50㎜対戦車速射砲300門、88㎜高射砲200門がずらりと並んでいる。エンジンが無く倉庫なので武器としては認められず、これは星団法の穴を突いた兵器だった。


 ーー


 <<旗艦フロスト>>


 ディスティアの旗艦フロストは10年ほど前に就航した総排水量100万トンを誇る巨大戦艦だ。新型750㎜素粒子砲は上部に15門、船底に6門装備されシールドジェネレーターを通常の3倍近く搭載しており、強力な攻撃力、鉄壁な防御の両方兼ね備え、ディスティア建国史上最高傑作と呼ばれている。初陣はヒャンド攻防戦の際、デルタの旗艦デウォルトとの砲撃戦を繰り広げ、勝敗こそつかなかったが手痛いダメージを与えていた。唯一の欠点はスラスターの容量を削りシールドを強化した事で回頭性が悪い。まあ旗艦なのでデンと構えれば良いと判断したのだろう・・。


 <<フロスト・艦橋内>>


「なんて素晴らしい日なんだろう新型兵器の初陣には最高のステージだ。演目、デルタ新艦隊(第9)殲滅!だな」

「良いですね~噂の小型戦艦(業火級)を蹴散らしましょう」


 総司令官アロイスは50過ぎとは思えない精悍な顔立ちで赤茶色の髪色を持ち、キース程では無いが強面な親父だ。ディスティア帝国を束ねるセオドール総統閣下のお気に入りにして歴戦の勇者と言われている。そんな彼らが狙う獲物は詳細が明らかになっていない新型戦艦”業火”で間違いないだろう。


「作戦参謀、どのように攻撃するのだ」


 余裕のアロイスはキャプテンシートに座りのんびりと構えている。お分かりと思うが戦力が圧倒的で且つ多方面で小競り合いを行い、増援の余裕が無いことを知っているためだ。そして参謀は「敵は直接戦闘を避けるので、新型兵器の前まで追い込めば楽勝でしょう」と語る。


「そう簡単に上手くいくのかレーダーで探知されるぞ」

「提督それは承知の上です。Aiが考え出した成功率は95%ですので心配ないかと」


 参謀は至近距離までレーダーに映らないように「懺悔の雨」の攻撃方法はあるかとAiに尋ね「引力を使い砲撃すれば直前まで探知されない」と答えが出たのでそれをそのまま採用していた。


「準備は任せる、適当に指示していいぞ」

「あっ、ですが輸送艦だと少し不安です」


 Aiが指示した高度を再確認した参謀は、余りの近さに輸送艦だと引力に負けてしまうと不安がよぎり、つい弱気な発言をしてしまう。しかしアロイスは自慢げに「強力なフロストが曳航して一斉砲撃すれば良いではないか」と一蹴する。


「艦長、敵の艦隊の詳細がきました。デルタ第9艦隊で間違いありません」

「がはは、狙い通りに現れたな」


 第9艦隊の旗艦は20万トン級なので貧弱にみえるのかアロイスは高笑いを決め、もう勝ったも同然だと自慢げに語り「できれば小型戦艦を拿捕したいな」と夢まで語る始末だった・・。


 ーー


 <<エルフォード・艦橋内>>


「アーレイ、君ならどうする?」


 現れたディスティア第1艦隊に対し、少ない戦力でどう対抗するのかと考えていたクリスは顔色が優れない。しかしアーレイは配置を見て意外に冷静だったりする。


「アレは対艦ミサイルより固定砲台と考えている、星団法は素粒子砲を規制しているだろ、となれば挟み撃ちにする筈だ」


 アーレイは追加で「追い込みの為に艦隊を割るから、挟まれなければ勝機が見える」と追加で語る。クリスは「レーダーに映る実包を使う意味が分からない」と腕を組んで考え込んでしまう。


「取り敢えず、輸送船団を戦闘区域外に逃がして、憤怒と強烈を援軍として向かわせよう」

「追加は良いが、数的に全然足りて無いぞ」

「あの2隻はジョーカーとして使うのが一番だな、俺に考えがある」


 ディスティアは間違いなく艦隊を二分して追い込んで来ると考え、敵を引き付けている間に憤怒と強烈を使い、狙いは勿論フロスト一択だ。考えが及ばないクリスは「それで大丈夫かと」不安になる。


「敵は数で判断して勝てると慢心している。隙をついて4隻で攻撃すればアレは沈むぞ」

「そうだった、あの砲は桁違いだったな」


 今までの戦い方に囚われていたクリスは業火の強力な主砲を思い出したのか、いつの間にか不安な陰が消え去っていた。


「アーレイ一つ問題があるぞ、惑星の陰に入ればフロストの正確な位置が分からない」

「クーンの作業船を使えばいいんじゃね?連絡を密に連携すればいいよ」


 目を潰されると分かっていたアーレイは既に対抗策を考えていたらしく、ドヤ顔を決め「あいつらはやられて血が上ってヤル気があるはずだ」と返すと「やっぱお前は飼い主だな」と言い返されてしまう。


 <<10分後>>


「黒!」

「はっ?」


 そしてクーン採掘場の責任者と話しをすることなるものの、アーレイを一目みて画面から馬族の所長の姿が消え何も言っていないのに「仰せのままに」と言われてしまう・・。


「俺の事は誰にも喋るなよ、フロストを見張ってもらいたい」

「全力で努力する次第であります」


 馬族の男に話を聞くとアーレイが加護を受けた直後、報告のためにクーン城を訪れていたらしく大広間でひれ伏していた1人と判明した。なので頼み事をすると全力で監視すると鼻息がフゴーと荒くなっていたよ・・。

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