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8話、葵と団長さん



私が泣き出したら、ちょっとだけ団長さんが慌ててた。

すみません。

スノーは頭を擦り寄せて慰めてくれてた。

でもね、一回出た涙は簡単には止まらんのよ。

創造神様と話してた時は止まったけど、あれはいきなりの魔法にびっくりしたからだからね!

泣き止まないって察したスノーが

「我の名はスノー。主の名はアオイだ」

って私の代わりに返事してくれました。ありがと。

「そうか。フェンリルがスノーで君がアオイ。私はアティス第三騎士団団長 アレックスだ」

団長さんは鎧の頭の部分を外しながら自己紹介してくださいました。黒髪に碧い瞳のイケメンさん。背高っ!190以上あるくないかな?

てか頭のとこ自然に取るもんだから普通の事かと思ったら違った。

後ろに居る兵士さん達からの「団長ぉっ!」って悲鳴っぽい声がね…。あっちこっちから聞こえるの。

「従魔であると確認した。フェンリルとドラゴンは従魔契約すると人語を話し意思疎通が出来ると何かで読んだ」

「それにこれだけ近づいても何もしてこないしな。普通、魔物はここまで近づけさないだろう?」

だって。本でちょっと読んだだけなのにエグいことやってる種族に近寄るってすごいっす!


涙がやっと止まったから自分でも挨拶しとこう。

「お見苦しいところを見せて失礼しました。

改めてアオイです。よろしくお願いします。」

ってお辞儀したら、勢い良すぎて転びそうになった。

スノーが頭差し込んでくれて免れたけど…恥ずっ!!

顔あげれない。

間近にあるスノーの目と目が合って、呆れてるー!

「ふっ!ふふふ……っ!」って頭上から聞こえる。

顔あげたくない。でもスノーの視線も痛い。

「ふふッ。すまない。顔を上げてくれ。アティスに来た理由を聞いてもいいだろうか?」

そう言われたらあげるしかない。

絶対顔赤いだろうなぁ。

理由かぁ……本当の事は流石に言えないから、でっち上げで行こう!

「まだ赤ちゃんの頃捨てられて居た所を極度の人間嫌いの父に拾われ、今まで山の奥誰も来ない場所で暮らしていました。大人になるにつれ街に興味を持ったのですが山を降りることを父が許さず…スノーはだいぶ大人になった頃に怪我をしている所を見つけてそれからは最近その父が亡くなるまで2人と1匹では自給自足で生活して居ました。山には色々食べ物がありましたし、父がある程度の魔物を解体出来ていたので…父は「見ても解体するところなど見ても気持ちの良いもんじゃない」と解体しているところを一度も見せてくれず私は解体が出来ませんし、何より寂しくって……。ならば心機一転興味を持っていた街に降りて人と交流しながら生きてみようと残してくれたお金だけを持ってここまで来ました」

出来るだけ悲しんでる風に見せるために俯いてっと。

長々と語ってみたけど矛盾してない?

これで信じてくれるかなぁ?チラッ


うぇっ!!!???泣いてるぅ!!!???

「グスッ!赤ん坊を魔物が出る山に捨てるなんて、なんで親なんだっ!エグっ!人間嫌いでも優しいお父上に育てられたのだなっ!」

ってめちゃくちゃ泣くやん。えぇー。

そんな泣かれたら嘘ついてる罪悪感がやばいから、早く泣き止んでください!!!

てかイケメン台無しの泣きっぷりでちょっと引くわ〜。

え?私もさっき泣いてただろ!って?

あれだよ。あれ。女の涙は武器!そう武器なんだよ!



グスングスン!エグエグ!ズビィッ!

かれこれ30分くらい泣き続けてるけど

マジでそろそろ泣き止んで話進めてくれませんかね?

なんなら団長さんじゃなくても良いんで。

って思ってたら軽快な足音立てながら一羽のヒッポグリフが近づいてきて、ガチャガチャ言わせながら青い鎧(肩の部分だけ黒)の方が降りてきて団長さんに

「俺らに何も相談せず黙って近づいてって話し込んでると思ったら、なぁに号泣してんすかぁ〜団長ぉ〜」

ってちょっとノリが軽い感じで話しかけて来た。

「ジルかっ!グズっ!彼女の身の上話を聞いてだなぁ!

うぅぅぅ。アオイ、彼は私の部下でヒッポグリフ隊、隊長のジルと言う者だ!グスンッ!」

「身の上話だぁ?そんなの街の警備やってんだからしょっちゅう聞いてんでしょうが。号泣する事っすかぁ??」

第三騎士団が街の警備を担当する部署なのかな?それとも持ち回りだったりする??

職務上よく聞くなら何故ここまで泣く。また話さなきゃなのかな。自分で作ったでっち上げだけどめんどくさーい。

「それがなぁ!グスンっ!彼女は〜……………とこの街まで来たそうだ。グズっ!」

団長さんが全部喋ってくれた。ラッキー!

あとは悲しい感じの表情をっと。出来てる??

「はぁ〜。団長が涙脆くて面倒だから、この手の話あんまり聞かせてないんだった。報告書見ても泣くし。」

ってすっごい上司にする顔じゃなくない?くらい呆れた顔して呟いてら。

「このフェンリル、スノーだったか?ずいぶん大人しいなぁ。小説やらお伽噺で書かれてるのはすっげー獰猛でヤバい奴ばっかなのに」

「我は主の為にならん事はせん。」

スノーさん久しぶりに喋ったぁー。てゆうかいつの間に伏せの状態になってたの?欠伸してるし。

「うぉっ!喋った。って事は従魔契約してるって事?あの話本当だったんだなぁ。あ、団長はそのまんま泣いてて良いんでちょっと離れてください。」

はいはあーい。って2メートルくらい引き離して、ヒッポグリフの首のにつけてある鞄?から書類を持って来た。




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