80話、葵と御一行 トラウマとパン屋さん
ギルドを出た瞬間
「さっさとダンジョン潜ってここを離れよう!ここのギルドマスター、自分に靡かない男はいないって感じスッゲー苦手!!」
って大声で言ったジル。
大声に小鳥がパタパタ飛び立ってった。そして
近くに居た冒険者達に思いっきり睨まれた!ヒョエッ!
周りが怖いから、ジルの背中押しながら
「自分に自信ありそうではあったし、実際ナイスバディの美人さんでしたけど、ジルと私の反応で遊んでただけじゃないですか??」
倉庫では普通だったし?てか笑われてたし?
って思った事言ったら
「遊んでた…?んー?でもやっぱ初対面で抱きついてくる人とかほんと無理!!」
この人また大声で言った!!てか、なんで否定の言葉だけ大声で言うのさ!
「ギルマスに抱きつかれただと!?」
「見たことねぇ奴だな?しめるか?」
「俺は抱きつかれた事ねぇぞ!?」
「ちょっと顔がいいからって調子乗ってんじゃん?」
とかめっちゃ聞こえてくる。羨ましそうな声の中にちょいちょい文句入ってんじゃん!!
あぁん??見ないな睨み効かせてこないでください。
ヒィーッ!!!!
嫌がらせかってくらいの自分で歩いてくれないジルをグイグイ押しながらギルドを早々に離れる。
お肉と買取代金の受け取りの時どうしよう。
ジル置いて行けば良いのかな??怖いよー。
先輩冒険者の睨みが怖過ぎて、ジルを押しながら街の中を歩く事30分。
「ふぅー。ここまで来ればとりあえず安心でしょ!」
額の汗を拭いながら一息。
「何でそんなに慌ててんの??」
って全っ然気にしてない呑気な声でジルが言うから、イラッと来た。
あんたが大声で言うからだよ!!!って言いたいのをグッと我慢して、すぅーはぁー。ジルの目を見て
「苦手だし、嫌なのもわかりましたけど、あんな大声で言わないでください!外に居た先輩冒険者の睨みが怖くて、私の寿命が縮みました!」
出来るだけ冷静に言ってみる。イラッと感は出てないはず。
「先輩冒険者?あぁー、ごめん。ガキの頃あの雰囲気の人に声かけられて、馬車に無理やり詰め込まれそうになった事あって、マジで生理的に無理なんだよな」
おっふ!カウンターパンチで犯罪臭ぷんぷんのハードな過去話来た。押しながら考えてた押しの強いお姉様に〜とかじゃなかったぞぉー。
イラッとしたまま言い返さなくて良かったぁ。
待ってなんて返すのが正解!?うーあーうー!!
「あ、いや、あの。えぇー、そう言うトラウマあるならしょうがないですね!お肉とかの受け取りはジルはお留守番?別行動?にしましょう!!それが良い!!」
なかなか言葉出てこなかったのは許せ!
から元気みたいなテンションになったけどそれも許せ!
私にはまだこれが精一杯だ!!
ね?スノー!って感じでスノーに視線移したら
「そう?んじゃここのギルド対応は全部任せるわ!ダンジョン潜りはやるけど、ギルドは出来れば遠慮したい」
普通に言うジルに、ふと普通すぎない?って感じで目を見たら不安そうに揺れてた。
その目見たら使命感湧いて来たから
「どんと大船に乗ったつもりで任せてください!」
って言ったら、残念な子を見る目になった。何故?
街をブラつこうって事になって、香ばしい匂いに釣られて目についたのはパン屋さん。
アティスで一回入った…かな??入ったよね??
え?入ってない???
スーパーで食パンばっかり買ってたような。
覚えてないからまぁ、いいや。
「ジル、パン屋さんに入りましょう!どんな種類のパンがあるのか気になります!」
「ん?あのパン屋??良い匂いさせてんね!」
スノーとノアにはお店の外で待っててもらって、ドアを開ける。良い匂いだなぁー。
窓の外からチラッと見えたんだ!フランスパン!!
カウンターの側でフランスパンが刺さってた!違う。カゴにたくさん入れられてた。
面白くないって?自分でも思いました。
近くまで行って商品名を確認。
普通に"バケット"だった。
「普通にバケットじゃん。一目散に見に行くくらいそんなに珍しい?」
ジルに言われてポカンとする。
パッと他の見たら、ファンタジー定番の黒パン、それから割高だけど白パンが売ってあった。何かの肉を挟んだ惣菜パンもある。
この世界惣菜パンもうあるやん。
食べようと思えば誰でも食べれるやん。
じーって惣菜パン見てたら
「今度は肉パン?塩振った肉を挟んだだけだよ?」
え?肉パン言いました?近くに目を走らせて商品名を見たら、"肉パン"って本当に書いてあった。
他になんか名前ないの??私は思いつかないけど。
空っぽの空間あったから何かと思ったら、"ベーグル"って商品名が……。
私作らんでも売ってたんかい!!
「アティスでこんなの見てない!!」
思わず叫んだよね!だって黒パンしか私、覚えてないもん!
「アティスでも売ってたぞ?時間帯的に無くなってたとかじゃない限り売ってたはずだし…」
マジか………。




