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討魔戦鬼ブランク〜手名芽市神魔討伐譚〜  作者: 九頭龍
第六話 戦慄! 獣将戦鬼ブライの脅威
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6-12


 幾度目かの交差、躱し続けていた戦鬼ブライの拳が、ついにブランクの肩装甲を掠めた。


「ぐっ!?」


 ただそれだけで、ブランクの身体は回転しながら浮かび上がり倒れ込む。続けて踏みつけようとするブライの脚を、転がる事でギリギリ回避すると、追撃に備えて跳び起きた。

 しかし、当のブライは、その場に立ったまま、黒い金属装甲で覆われた頭を掻く。


「なんだかな……おい、ブランク。テメェ、俺の事を舐めてるのか?」


「……何の事だ?」


「あぁ? お前がさっき変わった白い光の姿だよ! アレは、今のテメェの……あ〜、その青いだけのより随分マシだった。何故あの姿にならねぇ!」


「さてな……お前が、使うに値しないくらい、弱いからじゃないか?」


「……なんだと?」


 低く響くような声がブライから漏れる。それに合わせるように、ブライの全身から放たれる威圧感も、一気に増大したように感じた。

 その時、ブランクの中で八葉が語りかける。


『新、今までの戦闘でわかったが……奴に対して早さだけなら、この通常のブランクでもチャージで対抗出来る……それならば、まだいけるな?』


「ああ、アンリミテッドになるんじゃなきゃしばらくはな……だけど掠っただけであれじゃ、油断は出来ない」


『無論だ。それに私達の役目は、わかっているだろう?』


「グレイバーがデュラハンを倒すまでの時間稼ぎ……だろ? わかってるさ。だからこそ、アンリミテッドにもなってないだろ」


 デュラハンとブライを二手に分け、今倒す事が難しいブライを前に一方が時間を稼ぎ、他方がデュラハンを倒す……グレイバーの提案に乗ったブランクは、こうして単身ブライの攻撃を耐え続けていた。


「おいっ! 何をブツブツ喋ってやがるっ!」


 怒りのオーラはそのままに、ブライがアンダースローの様に腕を回転させる。巨大な手でコンクリートを簡単に掬い取ると、前方のブランク目掛けてそのまま投げつけた。


『新っ!』


「応っ、チャージッ!」


 眼前の岩塊を素早く避けるブランク。その顔面にブライのラリアットが迫る。

 コンクリートにブランクの視界が塞がった一瞬で、一気に飛び込んで来たのだ。


「ラァァッ!」


「しまっ……がっアアアッ!!」


 剛腕を、咄嗟に両腕でガードするブランク。しかし、その余りの衝撃に大きく吹き飛び、コンクリートを掘り返していく。


『無事か、新っ!?』


「つつ……何とかな……っ!」


 立ち上がるブランク。そこへブライがショルダータックルの姿勢で激突する。避ける事もままならず、直撃を受けブランクが紙切れの様に軽々飛ばされた。


「がはっ!」


 道路へ打ち付けられ、ブランクが仰向けに倒れる。ブライは近づき見下ろすように真上に立つと、タックルでヒビ割れたブランクの胸部装甲を、その脚で踏みつけた。


「グッ……!」


「けっ! つまんねえ戦いしやがって……あぁ、つまんねえ! つまんねえ! つまんねえ!!」


 ブライが何度も何度もブランクの胸を踏み、憂さを晴らすように蹴り飛ばした。ゴロゴロと転がり止まると、全身の装甲に大小様々な亀裂を走らせながら、ヨロリとブランクが立ち上がる。


「何だ、まだ立てたのか? とっとと死ねば楽になれるのになぁ」


「……お前は……」


「ああ? 何だって?」


「お前は……神魔じゃない。人間のはずだ。そのお前が何故人を殺す!」


 震える腕で構えるブランク。その様を見て腕組みをしたブライが鼻を鳴らす。


「簡単な事だ、俺が強くなるのに、それが一番手っ取り早いのさ。おっと、人間のくせに罪悪感は無いのか、なんてクサイ台詞はやめてくれよ。俺はな、ブランク……神魔を喰らい魔人となった時以前の記憶が無いのさ」


「なんだと……?」


「神魔を喰った代償らしい、が別にどうでもいい事だ。テメェは俺の過去をいくらか知っていそうだが、俺にとって今の俺が全てだ」


「そうか……よくわかった。虹枝を潰して人を守る為には、やっぱりお前も倒さなきゃならない相手だって事がな!」


「フンッ、そんなボロボロのお前に、この俺を倒す事なんて出来るもんかよ!」


 ブランクに向かい、腰を落とし再度ショルダータックルの体制を取るブライ。ブランクも構えるものの、フラつく脚で立つだけで精一杯だ。


『新っ!』


「ああ……これはちと厳しいな……」


『違うぞ、デュラハンの臭いが消えた!』


「何っ、グレイバーがやったのか!?」


 突然、八葉から知らされたグレイバーの勝利に、ブランクが驚きの声をあげる。その時、ブランクの声に応えるように、高速道路の向こうからグレイバーが猛スピードで駆けて来た。


「エクセスチャージッ!」


 グレイバーはそのままブランクの脇を走り抜け、ブライに光るランスを突き立てた。

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