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高速道の端、腕組みをし闇を見つめるように仁王立ちのまま動かないブライの後方で、カチャリと金属音が鳴った。
「誰かと思えば、テメェか……」
背後を振り返りもせず、ブライが呟く。
「デュラハンはどうした? 今さっきテメェを探しに出たはずだが……」
「さてな、会ってないぜ」
ブライの言葉に、音の主であるブランクが首を振って応える。その姿はアンリミテッドフォームではなく、通常の青いブランクだ。
「何だ? 虹枝幹部のブライ様ともあろうお前が、配下の神魔が居なければ、怖くて俺とは戦えないのか?」
安い挑発だ……と、ブランクが内心で自嘲する。ブライが逆上し冷静さを失えばと思ったが、案の定ブライは大して気にもせず、頭を傾けコキリと首を鳴らす。
「はんっ、まさかな。さっきもそうだったろう? 元よりあんな雑魚の力なんて俺には必要じゃねえ。ただ、使いっ走りも出来ねえ愚図だと再認識しただけだ」
「そうか。じゃあ問題無いな……さっきの再開といこうか、ブライッ!」
叫び駆け出すブランク。ブライはブランクを受け止めるように両腕を大きく広げた。
「俺の力を知って、あのまま逃げなかったのだけは評価してやるぜ、ブランクッ!」
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一方、その頃。
ブランク捜索を命じられたデュラハンは、夜の街を一人彷徨っていた。
「むぅ……あの爆発を考えると、吾輩の計算ではこの辺りに落ちたと思われるが……奴め、一体どこに……」
存在しない首を左右に振り、ブランクを探すが一向に見当たらない。その時、左手に握ったブラックギアがカチャリと小さな音を立てる。
改めて手中のギアを意識した瞬間、デュラハンは自身の心に、新たな力への欲望がムクムクと湧き上がってくるのを感じた。
神魔としての本能とも言える魂への渇望を、しかしデュラハンは無理矢理抑えつける。
「いかんいかん、今はまずブライ様の御命令を守らねば……人間はその後喰らえばいい」
「ここか、やっと見つけたぞ!」
再びブランクを探し始めたデュラハンを、呼び止める声がする。足を止めて見れば、ただの小さな人間の子供が、デュラハンの巨体を見上げるように立っていた。
「やれやれ……何だね、君は? 吾輩は今大事な用事で忙し……っ!」
デュラハンが動きを止める。今必死に沈めたはずの本能が、甘くデュラハンに囁きかけた。
「そうであるな……ブランクを探す事が最優先ではあるが……こんな子供一人なら、すぐ済ませば……」
ブツブツと呟きながら、手にした大剣を構えるデュラハン。しかし少年━━智秋は、動じる事なく左腕に巻かれたグレイブギアを掲げた。
「何を言っているか知らないけど、その気になったようで何より。だったらこっちも……変身っ!」
智秋の声に応えるようにギアが輝く。次の瞬間、発生した白光が智秋とデュラハンを包み込んだ。
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「成る程……それならいけるかもしれないな」
ブランクとグレイバー、二人それぞれの戦いが始まる少し前、智秋の提案を聞いた新が頷き肯定する。
「それじゃあ、先ずは二手に分かれましょう。さっきの八葉さんの話だと、今なら向こうも分かれているようですし好都合です。……あっ、でもそれだと、僕が新さん達と離れて一人で戦う事になっちゃうから、ダメですかね?」
新が以前出した条件の一つ、『一人では戦わない』を思い出し、智秋がウーンと考え込む。だが、新は首を振って否定した。
「いや、距離があるとはいえ、ギアの通信も出来るし、何かあればすぐに合流するさ。それに……智秋はあの椿の特訓、クリアしたんだろう?」
「は、はい!」
智秋の嬉しそうな返事に、新も微笑み返しながら、少年の胸を拳で軽くポンと叩く。
「なら任せた。けど、ブライの方は俺が行く」
「で、でも、新さんのその体じゃあ……」
「ははは、大丈夫さ。俺は智秋より実戦経験が多いし、何よりブライとも既に一度戦っている。そういう意味でも君より適任なのさ」
強がる新だったが、いくら三郎太の餅茶で回復したとは言え、今の彼が万全で無い事は誰の目にも明らかだった。その姿を黙って見ていた八葉が、フウと小さく息を吐く。
「ふふん、分かってやれ、智秋。新は奴に負けた事が悔しいのさ」
チラリと笑う八葉を見て、新が肩をすくめる。
「まっ、そういう事でいいさ。智秋もそれで良いかな?」
その表情から心配気な様子は消えなかったが、新の言葉に渋々智秋は頷いた。
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光が収まり、デュラハンが叫ぶ。
「くっ、まさか……その姿はっ!」
デュラハンの眼前に居るのは、先程までの触れれば簡単に折れそうな、脆弱な人間の子供では無かった。
白い金属装甲で全身を覆った戦士はデュラハンを指差し声高く叫ぶ。
「そう、お前達神魔の悉く、叩いて倒して葬りさる……僕こそが神魔の墓標、グレイバー! 覚悟しろ、デュラハン。ここがお前の見る最期の景色だ!」
「やはり、やはり貴様も神魔狩り……忌々しいブランクの仲間か! ならばブライ様のお手を煩わせぬよう、吾輩がこの場で打ち倒すのみ!」
そう言うと、デュラハンは構えたままの大剣をグレイバーへと一直線に振り下ろした。




