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「っ! ケルピー・ソウルコネクトッ! ハイ・チャージッ!!」
自身へと迫る超高圧の水流に、ブランクが両手を向けると、青く輝く光がその両手から放たれ、水流の向きを捻じ曲げる。水流は反転し、青龍の脳天に当たるとその頭蓋を砕いた。
「よしっ……うぐっ!」
青龍の攻撃を防ぐ事に集中した隙に、茶龍が岩の様な甲殻でブランクの腹部を突き上げ、その長い首でブランクに絡みついた。
「しまっ……!」
力の限りを出し、拘束を解こうとするブランク。しかし、茶龍の堅牢な身体は裂ける事なく尚締め上げる。
「ハァッ!」
ギシギシと装甲を締めていた力が急に緩む。見れば士郎が、頭部に生え揃った、全てを噛み砕く神狼の牙で、茶龍の首の端を噛み切っていた。
「大丈夫か!? ブランク!」
「お前もな……士郎」
二人の視線の先、斬り捨てた赤龍と黄龍の首は既に再生し、青龍と茶龍の傷も治りかけている。
更に残った二翼もグニグニと変形し、鋭い刃の鱗と角を持つ鋼色の龍と、羽毛に覆われ渦巻く風を纏う白龍へと変わった。
「刃に……風か。ちっ、まさか異なる六つの異能持ちとはな……」
「こいつは、二人バラバラに場当たりで戦っても仕方ないな。士郎、付け焼き刃だが、コンビネーションで一気に攻めるぞ! ハイ・チャージッ!!」
「……ああ、そうだなっ! ハァァッ!!」
青と黒の光で全身を包み、ブランクと士郎がアガルテに飛びかかる。対するアガルテは、二人を迎え入れるように悠然と手を広げ、六龍を次々と操った。
「はっ!」
ブランクの居た場所を超高温の焔が包み込む。既に移動していたブランクは、眼前の鋼龍へと光に覆われた拳を打ち込む。
「グォォォ……」
金属音を響かせ刃の鱗が散る。それを空中で手に取ると、士郎が投げナイフの要領で次々と投げつけた。
鋼龍の破片達は、真っ直ぐ黄龍の脳天に突き刺さる。今まさに電撃を放とうとスパークしていた黄龍の二本角だったが、間に刺さった破片が電流のコントロールを乱したのか、一際大きなスパークを発し盛大に爆発した。
「……! オーク・ソウルコネクトッ! ハイチャージッ!!」
鋼龍を殴りとばしたブランクが、何かに気付き、黄色く光る拳で大地を叩く。瞬間的に地面から生じた何本もの巨大な刃に、空中の士郎目掛け放たれた白龍の風刃達がぶつかる。
風から生じた刃は、ブランクの刃を次々と砕きながら弱まった後に、小さな渦となって消えた。
着地した士郎は、すぐさま茶龍に飛びつき、その首を両腕で抱きしめるように捕らえる。
「アル! サン!」
「はいな、兄様っ!」
「……行きます!」
士郎の呼びかけに応え、アルとサンが五つの口を開け黒い焔を龍へと吐き出す。
超高温の焔に晒され、岩のような茶龍の甲殻も見る見るうちに赤熱化していく。
「ケルピー・ソウルコネクトッ、ハイチャージッ!」
再び発射された、青龍の水流を受け流すブランク。水流の向きを調整し、赤く光りシュウシュウと焦げ臭い煙をあげる茶龍へと注ぎ込む。凄まじい量の水蒸気を発しながら、急激に冷却された茶龍の甲殻がバキバキと音を立てヒビ割れた。
「オラァッ!」
脆くなった茶龍の首を、士郎が両腕をひねり捻じ切る。
その士郎を、上空から茶龍ごと突き刺す様に真っ直ぐ降下する鋼龍の横っ面を、ハイチャージしたブランクの蹴りが貫いた。
「士郎っ!」
「応っ!」
空中でブランクが士郎へ金属筒を放り投げる。
士郎が受け取り、力を流し込むとブランクのそれより幅広な、青龍刀に似た黒い刃が形成された。
その一部始終を確認する事もせず、着地したブランクが再び跳ぶ。その先には、まだ健在な赤龍と白龍、そして青龍が居る。
「アラクネ・ソウルコネクトッ! ハイチャージッ!!」
振り上げたブランクの両腕、その指先から何本もの蜘蛛糸が放出される。それらはまるで、それぞれが意思を持つ様に三龍に絡みつく。そのまま腕を引くブランクの動作に連動してキツく締まり、一本の太い柱の様にまとめあげた。
「オォォォッッッ!!」
青龍刀を振りかぶった士郎が高く跳び、落下の勢いを乗せ一気に振り下ろす。三つまとめて切断され、落下した首は地に着く前に灰となり崩れ散った。
「ブランク、今だ!」
「ああ、決めるぞ! エクセス・チャージッ!!」
六龍を失ったアガルテに向かい、光を纏ったブランクと、自身の焔で燃え上がる士郎が揃って跳ぶ。
「バイツ・フィニッシャーッッッ!!」
「グレイプニル・ブレイクッッ!!」
ブランクと士郎、二人の超エネルギーがアガルテへと突き刺さった。




