↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国時代に冒険ギルド設立します  作者: 不思議な人
二章 東北編
24/24

二十二話 なんでもお任せ

すみません。

なぜか配信予定の日付がズレてたみたいです。

猫影と鶴賀は歩いた。

もちろん馬もいるのだが、今は別の人に貸し出し中である。

なので、歩き続けた。ダラダラとまではしていないが、のんびりと歩いて南部領を目指していた。


「なぁ鶴賀。今、どれくらい進んだ?」


猫影は鶴賀に聞いた。すると、


「まだ6歩目です」


後ろを振り向くと先ほど別れた森田達が見える。


猫影達はあの集会から1日後南部領を目指し始めた。

距離的問題ではないが、東北の戦況やその他諸々を聞きたいので、早めの出発にした。


時間はある。村に寄って資源を貯めながら少しずつ進むとしよう。


「と、思ってたけど。思った以上に暇なんだよな」


「まぁ、そういうものですよ」


「はぁ…イヤホンでもあれば、音楽が。いや、スマホぶっ壊したんだわ」


不便な世界に、猫影は嘆く。

スマホ自体はあるが、思い出したくもないあの作戦の時に壊してしまったらしく、画面はぼろぼろで使えたものではない。


「大丈夫!春くんには私って存在があるんだから!」


「はいはい。退屈しなさそうな旅になりそうで何より」


無駄に高いテンションの彼女 篠原虎子

一体なにがそんなに彼女を興奮させているのか皆目見当もつかない。


「にしても、流石に冷えますなぁ」


「春日寒すぎて、さすがに冬着買ったもんな。クソ高かったけど」


「あれの人数分は流石に答えましたな…」


今の時期は真冬と言ってもいい所ら辺だろう。

春日に居た、自称 占い師は明日は雪が降るとまで言っていた。信憑もなければ、証拠もないが。


「雪か…」


猫影はことごとく運がない男だ。

無論、雪にまで苦い思い出が連想される。


「はぁ…雪か」


「何かあったんです?」


ため息を吐き、苦い思い出を脳裏に蘇らせていると、鶴賀が質問して来た。


「いやぁ。中3の修学旅行のスノボで、滑ってる最中にスノボが割れちゃってね。そのまま大怪我」


「やっぱ春くんって、運ないよね」


それは毎日思う。なぜこうも自分はついてないのか、やはりお祓いにでも行くべきだったのだろうか。


「はぁ…」


「まぁ大丈夫。こうやってまた3人で並べてるんだから。それだけでも幸運だよ」


「それも、そうか?」


そもそも、そんな幸運は求めてはなかった。

あの事件が終わればそれまで。

それは、鶴賀は大学受験

俺や篠原は中学生というのもあり、現世で出会うのは無理だという結論になったからだ。


確かに、こうやって並んで歩けてはいるが。これを幸運とまでは思っていない。

本当に幸運だったら、もう1人 否 もう5人は隣に居たはずだ。


「それにこんな世界にすら…はぁ。やめよ」


直すつもりはないが、全てにおいて悲観的になるのは猫影自身も良くない所だと自覚している。

愚痴愚痴言ったところで、何にも変わらないのもわかっている。


「んで、今何歩」


「100歩行ったところでしょうか」


「まだそんだけってか、よく数えてるな」


「暇つぶしですよ」


多分、本意じゃない。

鶴賀とは長くいるので、それくらいのことはわかる。

この感じは、「あなたとは長いから、また聞かれることぐらい想定済み」と言ったところだろうか。

自分で勝手に考えといて、やかましい思考だなと思う。


――――――――――――――


春日を歩いて20里ほど。

早くも宿泊ができそうな町が見えて来た。


もっとこじんまりとした村は何個も見たが、宿泊には25人以上も泊まれるほどの広さが必要であるので、素通りして来た。


「今日はここら辺か」


すでに日は沈みつつあり、次の町がどこなのか全くわかってないので、これ以上進むのは少し気が引ける


「とりあえず、ここに1泊。隙間時間で金稼ぎ?」


「が、よいでしょうな」


ひとえに金稼ぎと言っても大したことをするわけではない。はずだ。多分


「草むしりとかだったら楽なんだけど」


さっそく、町の悩みを聞きに行くとしよう。


「すんませーん」


町の住民にここの村長の居場所を聞くと、大きめの民家へ案内された。

そこは何か寂しい雰囲気を漂わせており、わざとなのか、屋根や壁にはところどころコケやカビがあった。


「…なんか、あったよな。これ」


コケはまだしも、カビを放置することはないだろう。

町はそれなりに栄えていたので、手入れができないほど貧乏なところでもない、と言ったら失礼に値するだろうか


「えぇと。すんませーん」


猫影は少し大きめの横開きの扉を叩き家主を呼ぶ。

すると、中からドタドタと慌ただしい音が聞こえて来た。そして


「お客さん!いらっしゃい!」


「なのです!」


勢いよく扉を開き、まさに元気満々と言った幼女2人が出迎えてくれた。


――――――――――――――


「すみません。うちの孫が…」


「あぁ…いえ」


あのガールズに出迎えられ少し戸惑っていると、奥からさらにそれなりに歳の行った男が1人姿を出し、そのまま流れで猫影はこの一家の居間にいる。


「それで、何か御用が」


「あぁと。大人数で泊まれる宿を探してまして」


「大人数となると」


「だいたい25人…」


そのあまりの人数に驚いたのか、薄い目を少し大きく開いた。

それもそうだ。普通、この時代では宿に泊まる人数ではない。相場は野営だ。

もちろん当初は野営のつもりではいた。

その方がトラブルも起きにくいと思っていたからだ。

しかしそれを伝えると、欲にガメツイ日本人達はやれ野営はやだ。やれ宿に泊まれ。と結局クレームの浴び憎悪。苦渋の決断ではあったが、宿を探すことになったのだ。


「ありそうですかね」


「あるにはあるかと…しかし……」


できればその不吉な含みのある言い方はやめてほしい今日この頃である。


「とりあえず、場所はお教えします。事情は家主からお聞きください…」


そう言い、暫定村長さんは深々と頭を下げた。

予想通り、どうやら訳アリのようだ。


そのまま猫影達は暫定村長に連れて行かれるがまま歩くこと数分。

多分、この町で一番大きいであろう建物が出て来た。


「はえぇ…」


飾り付けられた装飾は建物を彩り、いかにもな高級ホテルを醸し出している。

そう、旅館ではなく、ホテル感を


「なんというか洋風ですな」


「まだ、キリストって普及してないよな?」


そんな感想にふけていると、中から1人。

女将らしき女が出てきて


「いらっしゃいませ。ご利用人数は、何名で」


「えぇ…1、2……27?」


数え直すと計27人であった。いつも思うが、多い。

すると、暫定女将は


「アンタァ!!事件ヨォ!」


と大声を出し、颯爽とどこかへ走り去ってしまった。

大人数の団体宿泊が事件なのか、そもそも宿泊するのが事件なのか。

そんなつまらない疑問を頭に浮かべる。


「えぇと。村長さん…これって」


「さっきの方先ほど帰りましたぞ」


「えぇ…」


無責任にもほどがあるような気がする。


「まぁ泊まれるならなんでもいいかぁ…ぉ」


すると、中から先ほどの女将ともう1人男が出て来た。彼が、さっき叫ばれてた人物なのだろうか。


「すみません…どうぞ中へ」


すごく気まずそうな感じで、中に案内された。


現代のように電気はないので、光はロウソクと薄暗くなった頼りない外からの光のみ。

季節も相まって肌寒く、気味の悪い雰囲気がバンバン漂って来た。


「ねこ、かげ?さんと、少しお話させてもらえないでしょうか」


すると男は唐突に止まり、そう言う。


「…俺?」


「はい…」


理解した。と思う。

察するにお金の相談だろう。そう思うことにしよう。


そのまま猫影は他の人達をおいて、奥の部屋に連れて行かれた。


「…すみません。呼び出してしまって」


男含め2人とも机を挟んでソファに座り、男は深々と頭を下げた。


「いえいえ…それで要件はお金のことです?」


「まぁ…そうですね」


「予想的中!」と心の中でガッツポーズをする。


「それで1人いくらですかね」


「1人、銅銭10貫ほどですね」


「……あぁ。そんなもん……って高いわ!」


一瞬納得してしまいそうになったが、明らかに高すぎる。思わずソファを立ちツッコんでしまった。

ちなみに、1貫とは銅銭1000枚 現代通貨にすると50〜100万円ほどになる。


「ば、バレましたか」


「バレましたかじゃねぇよ!完全にぼったくりじゃねぇか!」


立ったまま、男に指を刺してさらにツッコむ。

男は頭をかきながら「えへへ」と笑う。

こちらは全然えへへではない。今夜の安心安全な睡眠ができるかは彼にかかっているのだから。


「……笑い事じゃないですよね…」


「……」


「すみません……27人を泊めれるほど、僕たちもお金がないのです」


「それは死活問題ではないのか」と、かなり疑問に思う。


「……」


「それでも泊めさせてもらわないと困ります。出来れば定価で…」


「…ですよね」


家主には申し訳ないが、こちらは客としてこの宿に来ている。サービスは提供してもらいたい。

ぼったくりは無しで


「…何すれば、いいんですか」


何をすれば泊めてもらえるかを猫影は男に聞いた。

これは、「お金は要らないから別を当たれ」と言われる。そんな感じがしたから先手を打ったまでだ。


「なにを…?」


「こちらも後がないんですよ。なので、なんとしてでもこの宿に泊まりたい。だから、お金を払うことと他に何をすればいいんですか」


猫影はいつもより多く息を吐きながらもう一度同じことを言う。


「……」


男は下を向き、無言で考えた。


この宿の不気味差だ。きっと何か頼みたいことはあるはず。ないなら、お金なんてそこまでいらない。と思っている。


「甘い考えなんかな…」


猫影は小声で呟いた。男には聞こえない程度で


「ぁ。では、あれを…」


数分後にやっと答えは出た。

そこまでなかったものなのだろうか。


その後男から、人を呼んでほしいと言われ。

猫影は皆の元へ戻り、事情を話す。

そして10数人連れて


「これって明日じゃダメなのかな…」


日が完全に沈み、暗く不気味差を増した墓地に来ていた。


「確かになんでもするって言ったけど、なんで墓地?」


「怖いのですか?」


「俺にプライドはないからハッキリ言うが怖いね」


鶴賀からの質問にあっさり本心を答え、猫影は懐にしまってある大切なものを握りしめて男へついて行く。

すると


「すみません。事情も話さず…実を言うとここの清掃をお願いしたく…」


「でもここ、敷地外じゃ」


「いえ、敷地内なのです。なので毎度毎度、維持費や清掃の費用でお金が無くなり…」


「それ、どうなのよ…立地とか他にも」


「そうなりますよね…今では後悔してます。ですが、これが妻との夢でしたので…」


その言葉で猫影は喉が詰まった。

そんなことを言われては反論しずらいではないか。


「それに、恩人の墓もありますので…安易に離れにくく…」


さらに喉が詰まった。もう声が出るか怪しい

そこで気づいた。彼も自分と同じなのではないかと。


「もしかして、現代人なのですか?」


「ぇ。」


図星だったのか、目を大きく開きこちらを見る。

そして目を細め


「…はい。ちょうど5年前に妻と共に」


5年。それはひとえに長すぎるとは言えないが、現代人の心を蝕むには十分と言えるほどの時間だ。


「…とりあえず、作業しながらお話でもしましょうか」


「……!ありがとうございます!」


このまま5年分の思い出を立ちっぱなしで話すのは非効率的なので、手を動かしながら作業をしよう。そう思っただけだ.


「今思うと懐かしい記憶です。あの頃から、僕らの夢は変わらずホテルの経営でした」


「なぜ夢に?」


ふと思った。別にこの人の夢を軽視するつもりはサラサラないのだが、ホテルの経営が夢なのは少し珍しいと感じたからだ。


「人のスッキリとした顔を見るのが好きで。もし、ストレスから解放された様な、そんなスッキリとした顔で自分の経営してる宿から出て行ってもらえたらなぁって思いましてね」


「…いい夢ですね」


猫影は雑草をむしりながら、本心からそう思った。


人の幸せそうな顔を見るのが好き。とてもいい性格をしているではないか


「それで、妻とは、20年前ほどに出会ったんです。僕の夢物語を目を輝かせながら聞いてくれましてね。」


「ちなみに、プロポーズとかはどちらから?」


「情けない話ですが、彼女の方からなんですよね。『あなたの夢を支えさせてほしい』と」


いい話だ。思わず涙が出てしまいそうになるがグッと堪えた。

そんな恋愛、いつか璃奈とも…


「ですが、さっきも言った通り5年前ここに来て、宿を経営するところまでは行けたのですが、和と洋のハーフはどうやらウケが悪く…」


「経営困難と」


「はい…少し前は皆様みたいに僕以外の現代人の方々が来ていたのですが、その方々も今はどこにいるのか…」


洋と和のハーフ。確かに現代の宿には結構ありそうな形式ではあるが、この時代は洋がまだ普及してなく、村の人からすると身元不明の男が経営する宿では、確かに受け入れ難いものがあるのだろう。


「…僕らと来ますか?」


「ぇ?」


「金が出来るアテはあります。うまく行くかは別として…」


猫影は男にそう言った。

夢を諦めろではない。諦めないために、提案したのだ。


「……」


男は黙って考えてしまった。

まぁ無理もない


「……やめておきます」


それは少し意外な返答だった。

猫影自身としては、加入も拒否も別にどちらでも良かったが、流れ的に伸ばした手を取るのかと思っていた。


「妻のそばに居てあげたいので」


男は猫影の方を向き、微笑みながらそう答えた。

あぁそうか。そうなのか。

彼は夢を叶えたい。確かにそれは彼の1番目の望みだったのだろう。しかし、他の大切なものを失う確率が高い道を選ぶほど、2番目や3番目は小さなものではなかったのだ。


「…多分遅いですが、ご結婚おめでとうございます」


猫影は顔を合わせず、ただ墓石を洗いながら答えた。


「ありがとうございます」


顔は見てないが、その顔は確かにスッキリした顔をしていたと思っている.

――――――――――――――


墓場の清掃を終え、後日猫影らは例の宿の前に居た。


「とても良い宿でした」


猫影はオーナーの手を取りながらそう言った。


「こちらこそありがとうございました」


それだけの短い言葉を交わし、また猫影らは南部領に向け、足を進め始めた。軽快に足軽に。


それは最高級とまでは言わないし、ひとえに完璧だとも言えない宿であった。

それでも最高の宿であったと言えるだろう。


「あの人の名前、聞くの忘れてたなぁ」


猫影はふと、小声で呟く。

後悔してるようでしてない、もどかしい感情に耽っていた。


「猫影殿。良いのですか?」


「なにが」


「お金ですよ。定価の3倍支払ってましたので」


「まぁ、いいんじゃねぇか?金は稼ぎゃ良い」


後悔しても仕方がない。

今は進み続けよう。自分の夢を叶える為に。

そろそろ書き溜めてた分がなくなってしまう……


次回は火曜日に配信することにします。

以降は通常に戻すつもりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。