56話 『据え膳食わぬは男の恥』
青春した...くは無いけど、恋愛はしたいなぁ...
ただし性格の悪い方とはお付き合いになれません。
(トラウマ)
セアルに逃げ場を防がれた俺は、一体何をどうするか考えていた。と言うか頭の中が真っ白だ。
まぁいいか、考えるな感じろだ。
なるようになるだろう。
とりあえず風呂に入った俺は、いつも以上に丁寧に体を洗っていた。いや、いつも丁寧に洗っているのだが、今日はいつもより心を込めてと言うかって誰に言い訳してるんだか...
そんな事を考えていたら風呂の扉が開いた。
開いてしまった。
あっ…(察し)
案の定、そこに居たのはエルだ。
タオルで体を隠しているのだが、顔を赤くしている。
ぶっちゃけ可愛い。もう俺はダメかもしれない。
自分の汚染度に絶望しながらエルに話しかけた。
「えーと、一応言っておくが、ここは男風呂だぞ?」
「う、うむ...」
「そ、そうか...」
「う、うむ...」
ふと、アニメの主人公が鼻血を出して気絶するシーンを思い出したのだが、俺もそうなりそうだ。まぁ、この頑丈過ぎる体のお陰でならないのだが。
そのまま気まずい沈黙が続いた。
「え、えーと、主...」
「な、なんだ?」
「背中を...背中を流すのじゃっ!」
「お、おう。頼む。」
「う、うむ!任せておけ!」
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「...にしてもお主はいい身体をしておるな。」
「ん?そうか?」
確かに2年前からやたらと腹筋やら背筋やら色々な筋肉がついてきて身長も伸びた。だが、ステータス関係の影響だろうと思っていたので放置した。
「我も人の身体などあまり見た事が無いから分からないのじゃが...昔に挑んできた人間達くらいはあると思うのじゃ。」
「へぇ...ん?何で直接見た訳でも無いのに分かるんだ?」
「ああ、それはじゃな。我に挑んできた人間達の大半が我の爪で攻撃したら着ていた鎧が弾け飛んでいたからじゃな。恐らく攻撃無力化の魔法でもエンチャントされていたのじゃろう。我の攻撃に耐えきれなくて弾けたのじゃ。そ、その...経験がある訳じゃないぞ?」
「あ、ああ。そうか、それならいいんだ。」
しまった。変な事聞いちまった。
にしても竜って貞操観念あるんだな...
もうちょっとオープンだと思っていた。
あ、でも最初の頃のエルは割とオープンだったような...
と思っていると、表情から察したのか
「あー、主と会った頃はその...色々と知らなかったからの...」
「おいおい、それは嘘だろう...」
襲うって言ったらいいって言ったじゃねぇか。
「えっと、母上から天井のシミを数えていたら終わるって聞かされておったから...」
「あー、そうか...」
マジかよ、今の時代でそんなセリフ吐く母親なんて聞いた事すらないぞ。ああ、ここは異世界だったな。
「それで、誰から聞いたんだ?」
「それはじゃな...セアルから...」
「ああー...納得した。」
そこからか...何か色々と筒抜けだとは思ったんだ。そうか、エルが色々と相談とかしていたんだな...
「と、所でお主...」
「ん?」
「前の方を洗いた...」
「いやそれは大丈夫だ!問題無い!」
理性が持たないわ。
「むむっ。そうか。......これではセアルと練った計画が...」
後半は小声でしたが、バッチリと聞こえている...
だが、済まんエルよ。それはダメだ。
「さて、俺もお前の背中を流すよ。」
「ふぇっ!?そ、そうか!?」
「動揺し過ぎだろう。背中を流すだけだぞ?」
「ど、動揺なぞしてないのじゃ!」
「あー、分かった分かった。良いから背中を向けろ。」
「なんじゃその投げやりな言い方は...ブツブツ...」
と言いながらもちゃんと背中を向けてきた。
「じゃあ洗うぞ?」
「うむ、どんと来るのじゃ!」
そんなに緊張することじゃないだろうに。
そう思って背中を洗うと...
「ひゃん!」
えっ、何この可愛い悲鳴。
「えっと、大丈夫か?」
「う、うむ、ちょっとびっくりしただけじゃ。続けてくれ」
「ああ」
と言ってもう一度背中を洗うと
「くっ...」
と明らかに我慢をしていた。
「なぁ、そんなに辛いなら手で洗うか?」
「う...うむ。頼む」
と言って試してみた。
「んっ...くっ...」
「あー、やっぱりこっちもくすぐったいか?」
「あ、いや、そうじゃないのじゃが...」
「ん?」
「その...な、なんでもないのじゃ!」
「あー、とりあえずどっちの方がいいんだ?」
「うむ...手の方がいいのじゃ」
「ああ、分かった」
終始色々と危なかったが、何とか洗い終わった。
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その後、2人で風呂に入って上がった俺達は、他愛のない会話をしようとしては直ぐに会話が途切れ、そしてまた他愛の無い会話をして途切れる。と言う遣り取りを繰り返していた。
やっぱ緊張するな。こればっかりはステータスも関係無いか。
魔力=精神力って意味なら何とかなるものだと思っているのだが、そうじゃないのか?
いや、グロ耐性や忌避感何かは無くなってる、と思う。
思えばこっちに来て、コボルトに始まり、結構な生き物を殺しているが生憎と気持ち悪くなったり、忌避感を覚えたりして吐いたことすらない。
なんて聞くと俺が薄情で冷酷な人間に思えるかもしれないが、実際に吐いてないんだから仕方が無い。
そもそも吐けと言って吐けるものでも無いしな。
まぁ、そんな事があったから魔力=精神力何だと思っていたのだが、それとこれは別物か?
なんて事をぼーっと考えていたら
「の、のぅ。主...?」
「ん?どうした?」
「あの...その...そろそろ。ほれ、良い時間じゃなー」
あー、もう9時か...確かにいい時間だろう。
「あ、あー。うむ、そうだな。そろそろ...行くか?」
俺は覚悟を決めた。
「う...うむ...」
そして、エルは顔を赤くしてそう言った。
今日、資格試験ですわ(白目)




