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16話『楽をしたい』


朝目を覚ますと、抱き着いたまま寝ているエルが居た。


「そういえば、こいつが居たな」


起こすのも可哀想だし、寝かせておくか。


さて、俺は飯を作るか。

確かに前に作ったオークベーコンがあるな。

それと卵を焼いて、エッグベーコンにしよう。

あとは味噌汁だな。昨日の魚のアラから出汁を取って味噌汁を作るか...


─────────────────────


さてと、出来た。いつも通りエルを起こすか。

というかここ2、3日同じことしてないか?

こういうのはやってもらいたいがなるべく自分ではやりたくは無いんだけどな...その内自動料理機でも創るか?いや、それだとスキル補正を受けないから味が落ちるか...?召喚とかで何か料理の出来るやつを召喚するか?それなら楽が出来そうだな。あとでスキル覚えよう。それより今は飯だ。


「おーい、飯だぞー!」


すると俺の部屋から音がして...


「おはようなのじゃ...」


寝ぼけたエルが起きてきた。


「おう、おはよう。所で何で俺の部屋で寝てたんだ?」


「む?それは主の匂いを嗅いでると落ち着くから来たのじゃ」


「全く、次からは来るなよ?」


「えぇー連れないの〜」


「それよりさっさと飯食うぞ?」


「むぅ、わかったのじゃ」


─────────────────────


朝飯を食べた俺は、召喚をしてみた。

ちなみにエルは二度寝に行った。

まずはイメージ、呼び出したいやつの特徴を考える。真面目でしっかり者で料理が出来る。家政婦みたいな奴がいいな。出来れば男よりは女がいいな。毎朝起きてすぐ野郎の面は見たくない。それよりは女の方がいい。と言っても性格のいい奴に限るってやつだな。

よし、イメージはこれでいい、後は魔力を集める。すると...


ピロン♪召喚魔法を習得しました。

このスキルは上限まで強化されて付与されます。


「お、出た。」


光の柱が出て、次の瞬間そこに居たのは

大学生くらいの見た目の銀髪で白い羽の生えた...


「天使?」


えーと、天使って出てきて大丈夫なやつか?面倒事にならないか...?


「失礼、貴方が私を召喚したんですか?」


「ああ、そうだ。」


「なるほど、ではよろしくお願いします。

私は天使のセアルと申します。私は料理や家事、掃除を嗜んでいますので、お役に立てると思います。」


「そうか、よろしくな。ところで天使って召喚しても良かったのか?」


「えぇ、召喚される側には拒否権がありますので、嫌だと思ったら基本的には拒否する事が出来ます。」


「そうか、ちなみに召喚された側って扱い的にはどうなるんだ?」


「そうですね人や契約によっても異なりますが、基本的には護衛や召使いになりますね。ですが、雇用に近い形なのでもちろん対価は発生します。私達天使も飲まず食わずでは生きれませんから。」


「ふむ、隷属では無くて雇用なんだな?じゃあ契約の内容はどんなことを書いてあるんだ?」


「いえ、人によっては隷属を求める者も居ますよ。契約内容も人によって異なりますが、基本的には契約期間、禁則事項を書きます。護衛ならば指定した期間まで召喚した者を守ること、召使いならば言われた事を出来る範囲でやること等ですね。そして、召喚した者を攻撃しない事。ということがあります。」


「ちなみにその禁則事項を破ったらどうなる?」


「いえ、そもそも破ることが出来ないです。」


「ふむ、そうか...」


そこは隷属みたいだな...


「その契約は紙に書くのか?」


「いえ、契約は口頭で唱え、両者の合意が取れれば契約内容が記された書類が出てきます。」


「そうか、わかった。」


さて、ではどんな契約にしようか。

契約期間はこいつと相談しよう。

内容の方だが、まずは召喚者に対して危害を加えることの禁止。

次に仕事内容だな。と言っても料理と家事しかないが。掃除とか要らなくなったんだよな...昨日の夜に検証で光魔法の綺麗な状態を維持する魔法を付与したら掃除要らずになってしまった。

さて、報酬はどうするかな。衣食住の保証と料理のレシピでいいか?まぁ、これも要相談だな。


「ある程度考えた。あとはお前の希望を聞くだけだ。」


「はい、まず私の希望する契約期間は様子見の1週間、それで私に合っていたら2年ほどを希望しています。」


「ああ、俺はそれで構わない。」


「ありがとうございます。では次に報酬のお話なのですが...何か対価となり得るものはありますか?」


「ふむ、対価になるかは分からんが、衣食住の保証、そして料理のレシピ。後はまぁ、魔力をくれとか言うなら渡せるが?それ以外に欲しいものがあるなら言ってくれ。」


「なるほど、衣食住の保証にレシピですか。

ちなみに料理のレシピとはどのくらいあり、そしてどのような物ですか?」


「そうだな。料理のレシピは数えたことが無いから何とも言えないが、少なくとも100は保証しよう。どんな物って言われたらそうだな。」


難しい質問だ...昨日の余った辛口カレーでも出すか。


「こういう物もある。」


亜空間から寸胴を出した俺は、そのままカレーをよそって出した。


「これは...見たことが無い料理ですね…

食べてみてもよろしいですか?」


「ああ、その為に出したんだ。辛くてもいいなら食べてみろ」


「はい、分かりました。それでは貰いますね。」


ぱくっ、ぱくぱく、ぱくぱくぱく!


「口に合ったか?」


「はい!とても美味しいです!」


「そうか、そいつは良かった。」


─────────────────────


「あ...し、失礼しました。とてもおいしかったです。」


「口に合ったならいいんだ。

それよりも契約内容の確認をしてもいいか?」


「はい。」


「まず、お前に頼みたい仕事は料理、そして家事だな。掃除はしなくていい」


「はい、分かりました。しかし、掃除はしなくていいのですか?」


「ああ、この家には掃除は必要無いんだ。常に綺麗な状態を維持するようになっているからな。」


「そ、それは凄いですね。塔にも無かった技術です!人間の魔法技術はここまで進んだんですね!」


「いや、これは多分俺だけだぞ?」


「えっ?では貴方は凄い魔法使いの方なのですね。」


「凄いのかどうかは分からんが、魔法は使えるな。」


「そう言えば、私は貴方の名前すら聞いていませんでした。貴方の名前は何と言うのですか?」


「ああ、そうだったな。俺は不死川 夜凪だ。

まぁ、ヤナギでもシナズでも好きに呼んでくれ。」


「はい、分かりました。では貴方は仕事、もしくは何をされている方なのですか?」


「そうだな、強いて言うなら開拓者?それとも世捨て人かな?」


「はぁ、それは一体どういう意味ですか?」


「それにはまずはこの場所から話さないといけないな。この場所は魔の森だ。そこで俺ともう1人?いやもう1竜と暮らしている。と言ってもここ3日くらいからだがな。」


「へ?」


「ん?どうかしたか?」


「えぇと私の聞き間違いでは無ければここがあの魔の森の中ですか?そして竜と暮らしているのですか?」


「ああ」


「え!?そんな事出来るわけ無いですよ!!」


「ふむ、まぁとりあえずそこの窓から外を見てみろ。」


「えっ?」


「いいから見てみろ。」


「は、はい。」


そして窓の外の景色を見たセアルは...


「えっ!?街がある?そんな筈は!?」


「ちなみにちゃんとここは魔の森の中だぞ。城門から外に出たらすぐに魔の森だからな。それとも見に行くか?」


「は、はい!見せて貰えますか?」


「わかった、途中で色々と案内しながら見せてやる。」


「お願いします」


─────────────────────


全てを案内した後、セアルは虚ろな目をしていた。


「信じられない...魔の森にこんな非常識な街を造るなんて...夢でも見ているのかしら?」


と独り言を行っている。


「そろそろいいか?」


「えっ、あ、はい!」


「契約止めておこうか?無理してまでやることは無いぞ?」


まぁ、その時はここの場所であった事全ての記憶を消しておくがな。バレると面倒事になるかも知れんからな。


「いえ、やります!料理のレシピはとても興味深いですし、好待遇の仕事をやらないのは天使の恥なので!」


「そうか?別に無理はしなくてもいいんだが…」


「やらせて下さい!」


そう言って頭を下げてきた。


「いや、そこまでしなくてもいいから。頭上げろよ。」


「はい、ありがとうございます」


「じゃあ契約内容の確認を再度するぞ?」


「はい」


「お前の仕事は料理、そして家事だ。」


「はい」


「禁則事項は俺と同居人の火竜に危害を加えないこと。物を故意に壊さないこと、物を盗まないこと。契約期間が終了してもこの場所の事を一切誰にも話さない、教えない、書面にも残さないことだ。」


「は、はい!」


「あとは辞めたくなったらすぐに言うこと。」


「はい」


「報酬は、料理のレシピ、そして衣食住の保証だ。」


「はい、それでいいです。」


「契約期間は1週間」


「はい、お試しでお願いします。1週間経ったら契約の更新するか辞めるか決めますね。」


「ああ、こんな感じでいいだろう。合意するか?」


「合意します。」


すると契約書類が現れた。


「これでいいんだな?」


「はい、これで契約は成立しました。これからよろしくお願いします。旦那様。」


旦那様ね、別に俺はエルと夫婦でも(つがい)でも無いんだがな...


「ああ」


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