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第2話 マイハーレム No.7 高橋みゆき

 女と最後まで行けば死ぬ可能性がある……。


 齢《よわい》十五にして、とんだ業《かるま》を背負ってしまった。


 だからと言って、俺の人生から女性が排除されることはなかった。


 なぜか知らないけれど、不思議な出会いがたくさん生まれてしまうんだ。


 通りすがりの女性が落としたハンカチを拾ったら、なぜかそのまま映画を見ていたこともある。


 電車で毎日一緒の車両に乗る女となぜか会話になって、そのままボディーガードとして家に送ったこともある。


 大衆イタリアンレストランで友達と飯を食ってたら、なぜか知らない女と仲良くなっていたこともある。


 その後その女の彼氏とかいう爆裂ヤンキーにボコボコにされたんだが、俺が悪かったのかはわからない。


 何? 余計な出会いを増やさなければいいって?


 そこが問題なんだよ。


 俺は幼い頃から、他人に親切にする両親を見て育ってきたし、それをかっこいい生き方だと思っちまったんだ。


 まぁ、うちの母ちゃんが、公園で一人ぼっちで泣いてる子供を家に連れて帰ってきて通報された事件なんかを考えると、良いことばかりじゃないが。


 それでも、誰かが落としたハンカチは拾うし、電車で痴漢にあってる子がいたら助けるし、隣の女が俺にスープをこぼしてきても熱くないふりをするさ。


 射爆リスクがあるだけで、俺は女にモテること自体は気分がいいんだ。


 当たり前だろ。 俺は可愛い子が好きだし、可愛い子も俺が好きだ。


 そんなこんなで仲良くなっちまったらそりゃ行くよな。


 デート。


 一緒に飯を食ったり、公園に行ったり、映画を見たりさ。


 ……。


 俺はその度に、男の部分が出ないよう、努力している。


 朝起きて一発。


 家を出る前に一発。


 昼飯を食って一発。


 夕食前に一発。


 俺の悲しみを理解してくれるのはクリ◯ゾン先生だけだ。


 いつだって先生は俺に佐◯姫子を供給してくれる。


 涼しい顔してデートしている男がクリ◯ゾン先生のお世話になっているとはつゆ知らず。


 女たちは自分に男の欲求を向けてこない俺にもっと惚れていく。


 よく聞かれるんだよな。


「タカシって性欲ないの?」って。


 だから俺は答えるんだ。


「まぁ、他のやつと比べたことないからわかんねーや」ってな。


 嘘だよばーーーーか!


 成人男性10人とどすけべ綱引きファイティングしたら俺が勝つわ!


 ダボが!


 こっちは命懸けで賢者モードを貫いてんだよ!


 顔が可愛いからって何を言っても許されると思うなよ……。


 まあいい。


 高校時代まではまあ、それでよかった。


 いくら俺が無駄にフラグを立ててしまうと言っても、所詮田舎だからな。人口がそもそもすくねーんだ。


 出会いの場と言っても、学校、電車の中、遊びに行った先……。


 その程度だ。


 だからよかった。


 問題は大学入学を機に上京してからだ。


 俺はそこそこ頭が良くてな、国立の一番上は落ちちまったんだが、私立で一番偏差値の高いと言われている大学に入学したんだ。


 仮に「高田大学の政治経済学部」としておこう。


 高田大学の学生ってだけでモテるんよ。


 他大生に。


 頭の悪い女達が、わざわざ青田刈りするために、インカレサークルに入ってくるくらい。


 なんなら、イケメンじゃなくても、運動できなくても、普通に他大生の女子とコミュニケーションが取れる水準なら、彼女には困らない。


 高田大学を卒業して、普通に就職して、普通に仕事してりゃあ、大体の奴は三十代で年収1000万くらいは超えてくるわけだからな。


 普通のやつでもそれよ?


『ハーレムの呪い』にかかっている俺ともなれば、そりゃもう大変よ。


 いや、ほら。


 俺は真面目でさ、講義は遅刻せずに一番前の席でノートを取ってるし、終わった後に清書してる。


 だから、「ノートを見せてくれ」ってまた人が集まる。


 俺はそういう利用のされ方も嫌いじゃないから快く貸すだろ?


 そうなると、お礼にとかなんとか言っていつの間にかまた女の子と食事に行っている。


 そんなデートばかりしてて金に困らないのかって?


 いや、運がいいのか悪いのか……俺は大学生にしてはそこそこ金を持っているんだ。


 別に御曹司とかの資産家階層とかそういう水準じゃない。


 一般サラリーマンの平均月収くらいが毎月入ってくる程度だ。


 いや、別に悪いことは何もしてないしギャンブルとかでもない。


 俺が趣味で作ってた料理のレシピサイトのアフィリエイト収入が結構あってな。


 大学生活はバイトしなくても困らない程度というか、これがバイトみたいなもんだな。


 しかも、そのせいで税制度とか、確定申告とか、そういうことも多少詳しくなっちまった。


 だから、他の同級生からしたら、ちょっと大人っぽく見えるのかもな。


 ……はぁ。


 そんなこんなで、大学三年生。


 就職活動はまぁ、したりしなかったりだ。


 趣味で作ってるサイトがあるって言ったろ?


 元々自分のレシピを掲載していたんだが、他の一般人が投稿できる形にして、自分でコンテンツを作りつつ、プラットフォームとしての価値を……。


 いや、本論からズレたな。


 とにかく今大学三年生で、就活はしたりしなかったり。


 せっかく高田大学に入ったわけだし、新卒チケットは使う予定だが、副業可のところ狙いだな。


 法的に副業を禁止することは基本できないんだが、だからといって、それを快く思わない会社で大っぴらに権利を主張しても居心地が悪いだろう。


 そういうのを無視して自己中に生きれたらもう少し楽だったのかもな。


 まぁ、そんな風にはなりたくないけどよ。


 マジで弱点は一つだけ。


 射爆。


 これよ。


 ——ピコン


『授業終わった? サークルまで時間あるから暇だったら一緒にカフェ行かない?』


 ……。


 マイハーレム No.7。


 高橋みゆきからのお誘いだ。


 ……。


 彼女との出会いは、そうだな。


 二年前の暑い夏の日だった。

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