第65話 「えぇぇぇぇぇぇ!?これがダンジョンコア魔石!?」
第65話 えぇぇぇぇぇぇ!?これがダンジョンコア魔石!?
ドゴォォォォン!!
唯:「ぎゃああああああ!?」
景色が吹っ飛んだ。
いや、違う。吹っ飛んでるのは私だ!
ドガァン!!
背中から石壁に激突する。ぐはっ!!
ガリア:「ほれ! どうした唯!」
唯:「まだ始まったばっかりでしょ!」
壁から身体を引っこ抜く。
目の前ではガリアが楽しそうに笑っていた。
くっそぉ……!半年前と変わらず強い!
いや。私が強くなったから分かる。
(ガリア……やっぱり化け物だ!)
でも――。
唯:「クロエ!」
クロエ:「……了解」
ガリアの背後。気配を消していたクロエが飛び出した。
短剣がガリアの背中へ――。
ガリア:「見えておる!」
クロエ:「……っ!」
ガァン!!ガリアの腕が一閃。
クロエの身体が真横へ吹き飛ぶ。
クロエ:「……うぐっ」
ドガァァン!
唯:「クロエー!」
クロエ:「……大丈夫」
瓦礫の中から、クロエがむくっと起き上がった。
丈夫だな!
ガリア:「二人がかりなら、もう少し楽しませてみい!」
唯:「言ったなぁ!」
地面へ手を叩きつける。
唯:「《震撃》!」
ズドォォォン!!
衝撃が地面を走る。
同時に――《振動感知》。
見なくても分かる。ガリアの位置。
足の動き。踏み込む瞬間。
私は横へ跳ぶ。直後。
ガリアの拳が、さっきまで私がいた場所をぶち抜いた。
唯:「そこぉ!」
反撃。当然――。
ガリア:「甘い!」
唯:「うぎゃっ!?」
チュドォォォン!!また吹っ飛ばされた。
◇
ルクレシア:「…………」
エマ:「…………」
少し離れた場所。
エマとルクレシアが並んで戦いを見ていた。
ルクレシア:「エマ」
エマ:「なに?」
ルクレシア:「本当にどういう状況?」
エマ:「大ババ様に占ってもらうために、ガリアさんへ一発入れるんだって」
ルクレシア:「…………なんで?」
エマ:「私にも分かんない」
ドゴォォォン!!
唯:「ぎゃあああ!」
ルクレシア:「…………」
エマ:「唯、頑張ってー!」
◇
もう何回吹っ飛ばされた!?
でも――少しずつ見えてきた。
《振動感知》でガリアを追う。
《震撃》を撃つ。避ける。
攻める。とにかく目立つ。
唯:「ガリアー! こっちこっち!」
ガリア:「囮なのが丸分かりじゃぞ!」
唯:「分かっててもこっち見て!」
ガリア:「そんな囮がおるか!」
いい。それでいい。
ガリアの意識が私に向けば――。
クロエが動ける。
クロエはガリアが放つ魔力へ手を伸ばした。
クロエ:「《魔力喰らい》」
ガリアから溢れた魔力。
その一部を――喰らう。
クロエ:「……っ!」
クロエの身体から魔力が噴き出した。
奪った魔力を、自分の身体へ。
脚へ。腕へ。全身へ。身体強化。
ガリア:「ほう!」
ガリアも気づいた。
ガリア:「ワシの魔力を喰うか!」
クロエ:「……ごちそうさま」
ガリア:「面白い!」
まずい。ガリアがどんどん楽しそうになってる!
唯:「クロエ!」
クロエ:「……いける」
ドンッ!
私が真正面から飛び込む。
《振動感知》を最大まで広げる。
ガリアが私へ向かって踏み込んだ。
ギリギリで避ける。
頬を拳が掠めた。
唯:「《震撃》!」
ドォォォォン!!至近距離。
地面が爆ぜ、土煙が舞い上がる。
ガリア:「こんなもので視界を奪っても無駄じゃ!」
分かってる。ガリアなら、そう言う。
そして――。気配が消えた。
ガリア:「む?」ガリアの背後。
身体強化したクロエが《隠密》から飛び出す。
クロエ:「……もらった」
速い!今までとは全然違う!
短剣がガリアへ迫る。
あと少し。あと――!
ガリア:「惜しいの!」
ヒュンッ!
クロエ:「……っ!」
かわされた。
ガリアが身体を捻り、クロエの短剣が空を切る。
ガリア:「良い奇襲じゃった!」
ガリアが笑う。
ガリア:「じゃが、まだワシには届か――」
唯:「今!」
ガリア:「なに!?」
ガリアが振り返った。
クロエへ意識を向けた、その一瞬。
私はすでに――ガリアの背後にいた。
《隠密》。
クロエが本命?
違う。クロエまで――囮だ!
腕を伸ばす。
ガリア:「ぬっ!?」
ガリアの目が見開かれた。
身体を反らす。
速い。それでも――。
カシュッ。指先に、わずかな感触。
ガリアの頬に。一筋の赤い線が走った。
唯:「…………あ」
クロエ:「…………」
ガリア:「…………」
静かになった。
私の指を見る。
ガリアの頬を見る。
もう一度、指を見る。
唯:「あ……」
唯:「あたった……?」
クロエ:「……当たった」
唯:「あ……あたった!!!!」
やったぁぁぁぁぁ!!
半年前。何度挑んでも。
何度吹き飛ばされても。
一度だって触れられなかった。
そのガリアに――。
本当に、たった1かすりだけ。届いた!
唯:「やった! クロエ! やったぁぁ!」
クロエ:「……ん」
クロエが小さく拳を握る。
クロエ:「……どやぁ」
唯:「なんでクロエがどや顔なの!?」
クロエ:「……二人で入れた一発だから」
唯:「……うん!」
ガリアは頬へ触れた。
指先についた、ほんのわずかな血。
ガリア:「ほう!」
楽しそうに笑った。
唯:「えへへ……」
ガリア:「よし!」
ゴゴゴゴゴゴ……。
唯:「……ん?」
ガリア:「久々に――やるか!」
唯:「やらない!!」
ガリア:「なぜじゃ!?」
唯:「一発入れたから終わり! 占い!」
クロエ:「……目的達成」
ガリア:「ここからが面白いところじゃろうが!」
唯:「私たちはガリアと戦いに来たんじゃないの!」
◇
大ババ様の家へ戻る。
大ババ様:「zzz……zzz……」
唯:「寝てるし!」
私は布団へ駆け寄った。
唯:「大ババ様! 入れた! 一発入れたよ!」
大ババ様:「zzz……zzz……」
唯:「寝ないでー!」
大ババ様:「……んぁ?」
唯:「約束! 占い!」
大ババ様:「あぁ……そうじゃったのぉ……」
大ババ様がゆっくり起き上がる。
唯:「あと、ガリアの恥ずかしい話!」
ガリア:「そっちは忘れろ!」
クロエ:「……重要」
ガリア:「重要ではない!」
大ババ様:「昔のガリアはのぉ……」
大ババ様:「夜になると……一人で便所にも行けんでなぁ……」
唯:「えぇぇぇぇ!?」
クロエ:「……龍王が?」
ガリア:「何百年前の話をしとるんじゃぁぁぁ!」
大ババ様:「ワシの服を掴んで……『大ババぁ、一緒に来てぇ』と……」
ガリア:「やめろぉぉぉぉ!!」
唯:「ガリアが『一緒に来てぇ』!?」
クロエ:「……かわいい」
ガリア:「忘れろ! 今すぐ忘れろ!」
大ババ様:「それでのぉ……」
唯:「それで!?」
クロエ:「……続き」
大ババ様:「zzz……zzz……」
唯:「寝ないでー!」
ガリア:「そこは寝かせろ!!」
◇
唯:「それで、本題!」
これ以上やるとガリアが本気で泣きそうなので、ダンジョンコア魔石について説明した。
唯:「《ダンジョンコア魔石》を探してるの。世界のどこにあるか、占ってほしい!」
大ババ様:「ダンジョンコア……魔石かぁ……」
大ババ様が眠そうな目を細める。
そして、ゆっくりと目を閉じた。
今度は寝てないよね?
大ババ様:「…………」
唯:「…………」
エマ:「…………」
クロエ:「…………」
大ババ様:「zzz……zzz……」
唯:「寝ないでー!」
エマ:「大ババ様、寝ないでー!」
ついにエマまで参加した!
大ババ様:「……んぁ?」
唯:「占い!」
エマ:「ダンジョンコア魔石!」
大ババ様:「せっかちな娘たちじゃのぉ……」
唯:「大ババ様が寝るからだよ!」
大ババ様が大きなあくびをする。
それから――私たちを順番に見た。
大ババ様:「……ん~」
エマ。クロエ。そして――私。
大ババ様:「見えたぞぉ……」
唯:「ほんと!?」
大ババ様:「うむ……」
唯:「どこ!?」
大ババ様が、ゆっくり指を伸ばした。
その指先は――。
大ババ様:「その娘の……そこにあるぞぉ」
唯:「…………へ?」
唯:「私の……?」
自分の腰を見る。そこにあるのは――。
唯:「……これ?」
ガリアからもらった、深紅の魔石。
取り外して、手のひらに乗せる。
唯:「えぇぇぇぇぇぇ!?」
手の中の深紅の魔石を見つめる。
唯:「これがダンジョンコア魔石ーーー!?」
第65話 えぇぇぇぇぇぇ!?これがダンジョンコア魔石!? 完




