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『転生したらコウモリでした。キャピしか言えないけど異世界で生きます。』  作者: AsaHiruYugataYoru
第3章 キャピ! 異世界が思ったより広すぎます!

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第63話 「異世界召喚させないため、魔石全部集めます!」

## 第63話 異世界召喚させないため、魔石全部集めます!


 翌朝。私は自分の部屋のベッドで、ぼーっと天井を見つめていた。

 隣ではエマがまだ眠っている。

 反対側ではクロエが毛布にくるまっていた。


 昨日、ガルドたちと飲んだ帰り。

 イリスと名乗る謎のお姉さんから、いろいろなことを聞いた。


 王国が異世界召喚に成功したこと。

 召喚されたのは四人。


 そのうち三人は、とんでもない能力を持っていたらしい。

 そして――。1人は追放。


 その召喚に使われたのが、私たちが五千枚で売った《静青のダンジョンコア魔石》だったこと。


(…追放………)

 今でも胸が重い。


 私が見つけた魔石。

 もちろん、異世界召喚に使うなんて知らなかった。

 エマもクロエも、私のせいじゃないと言ってくれた。


 それでも。


(もし、また同じことが起きたら……?)


 イリスは言っていた。

 王国が異世界召喚に成功したことで、他の国もダンジョンコア魔石を探し始めている、と。


 一個あれば、また誰かが召喚されるかもしれない。

 二個あれば、二回。

 三個なら――。


(…何個あるんだ!?………)

 私は布団を頭までかぶった。


(いやいやいやいや)

 考えれば考えるほど嫌になってくる。


 私はこの世界が好きだ。

 エマと出会った。

 クロエと出会った。

 ガルドたちとも出会った。

 龍の里のみんなとも出会った。


 そして今は、帰ってこられる家まである。


 でも――。だからって。

 知らない誰かを無理やりこっちへ連れてきていい理由にはならない。


(国に「異世界召喚やめてください!」って言いに行く?)


 …………。


(無理だ)

 そもそも私、王様と知り合いじゃない。

 王国だけ止めても意味がない。


 魔国。獣人国。ヴァンパイア領。

 他の国まで探し始めているらしい。


(私一人で世界中の国にお願いして回るとか……)

 想像してみる。王様の前。


 唯:「異世界召喚は禁止でお願いします!」

 王様っぽい人:「断る」

 唯:「キャピ!」


 ――終了。


(ダメだ)私は寝返りを打った。

 だったら、どうする?


 召喚術をなくす?

 無理。


 ダンジョンコア魔石を壊す?

(……それも怖いな)


 あんな変な魔石だ。

 壊したとき何が起こるか分からない。


 じゃあ――。


「…………」


 私は布団から顔を出した。

(待てよ?)


 召喚には、ダンジョンコア魔石が必要。

 そして各国は、そのダンジョンコア魔石を探している。


 だったら。


(国より先に――)

 私は勢いよく起き上がった。


唯:「私が全部集めればいいんじゃん!」

エマ:「ひゃあっ!?」

 隣で寝ていたエマが飛び起きた。


クロエ:「……うるさい」

 クロエも毛布から顔だけ出す。


エマ:「な、なに? どうしたの?」

唯:「思いついた!」


クロエ:「……朝から嫌な予感がする」

唯:「ひどい!」


 ◇


 朝食を食べながら、唯は二人に説明した。

唯:「つまりね」


 パンを置く。


唯:「ダンジョンコア魔石を、私たちが先に全部回収する!」

エマ:「全部?」

唯:「全部!」


クロエ:「……世界中の?」

唯:「世界中の!」


 クロエがパンをかじる。

クロエ:「……馬鹿なの?」

唯:「なんで!?」

エマ:「あはは……」


 笑われた。

 いや、でも結構いいと思うんだけど。


唯:「だって、私たちが持ってれば異世界召喚に使われないでしょ?」

クロエ:「まあ……それはそうだけど...」


唯:「壊すのは何が起きるか分からないから、とりあえず回収して管理する!」

エマ:「なるほど……」


 エマが少し考える。


エマ:「私は賛成かな」

唯:「エマ!」

エマ:「昨日みたいに唯がずっと落ち込んでるより、その方が唯らしいし」


 うっ。それを言われるとちょっと恥ずかしい。


クロエ:「……私も反対はしない」

唯:「クロエ!」


クロエ:「ただし」


 クロエが唯を見る。


クロエ:「……ダンジョンコア魔石、どこにあるの?」

唯:「…………」

エマ:「…………」

クロエ:「…………」


唯:「キャピ」

クロエ:「そこから?」


 そこからだった。


 ◇


唯:「どうしよう……」

 テーブルに突っ伏す。

 完璧な作戦だと思ったのに。

 肝心のダンジョンコアがどこにあるのか、まったく分からない。


 分かっているのは、私たちがノストのダンジョンで見つけた一個だけ。


唯:「うーん……」

エマ:「あっ」


 突然、エマが声を上げた。


唯:「ん?」

エマ:「いるかも」


唯:「何が?」

エマ:「ダンジョンコアの場所を調べられる人」

唯:「え!?」


 私は勢いよく顔を上げた。


クロエ:「……誰?」

エマ:「龍の里にいる龍巫女」


唯:「ルクレシア?」

エマ:「ううん。私たちが会ったことない人」


 そんな人いたっけ?

 私たちは龍の里に三か月もいた。

 龍巫女たちとも結構仲良くなったと思う。


エマ:「里にいたとき、龍巫女のみんなから聞いたことがあるの」

エマ:「一番長生きしてる獣人族の龍巫女がいるんだって」


唯:「獣人族?」

エマ:「うん。みんなからは《大ババ様》って呼ばれてるみたい」


 大ババ様。

(……すごい名前出てきた)


エマ:「その人、龍巫女の占い術にすごく詳しいんだって」

唯:「占い!」


 それだ!場所が分からないなら占ってもらえばいい!


クロエ:「……そんなに都合よく分かるものなの?」

エマ:「分からない。でも、龍巫女の中でも特別みたいだよ」


唯:「じゃあ会おう!」

エマ:「ただ……」


唯:「ただ?」

エマ:「ずっと寝てるらしい」


唯:「…………」

クロエ:「…………」


唯:「寝てる?」

エマ:「うん」


唯:「ずっと?」

エマ:「ほとんど」


唯:「起こしたら怒られない?」

エマ:「それは……分かんない」


 なんだその人。

 めちゃくちゃ気になる。

 でも、今は他に手掛かりがない。


唯:「よし!」

 私は椅子から立ち上がった。


唯:「ガリアに相談してみよう!」

エマ:「うん!」

クロエ:「……龍の里?」


唯:「今回は、大ババ様に話を聞くだけ。」


 それに今の私たちには――。


唯:「歩いて行く必要もないしね!」


 にやり。クロエが嫌そうな顔をした。


クロエ:「……その顔、嫌」

唯:「龍化すればひとっ飛び!」

エマ:「あ、いいね!」


唯:「エマとクロエは私の背中!」

クロエ:「……私も?」


唯:「もちろん!」

 エマを乗せて飛んだことはある。

 でもクロエを乗せるのは初めてだ。


 今度は三人。そして、ちゃんと帰ってくる。

 この家に。半年前の私には、帰る家なんてなかった。


 でも今は違う。だからこそ。

 少しくらい遠くまで行ってみてもいい。


 ノストの外へ。もう1度、龍の里へ。

 そして、その先へ。

 世界中にあるダンジョンコア魔石を探しに。


唯:「決めた!」


 唯は二人を見る。


唯:「行こう、龍の里へ!」

エマ:「おー!」

クロエ:「……はいはい」


唯:「まずは準備だー!」


 こうして。私たち三人の、少し遠い旅が始まることになった。


第63話 異世界召喚させないため、魔石全部集めます! 完

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