プロローグ
お久しぶりです。新シリーズ始めます。他のシリーズも今さぼり中なので、どちらも頑張ります。
「近寄ってこないで!!」
冷たく光る刃を向け、彼女は睨んだ。
止まない雨。
吹き荒れる風。
コンクリートと錆びた鉄の匂い。
「私は本気だから。今更誤っても許すわけない。」
彼女の言葉が、冷たく心に突き刺さる。
その傷は雨に染みて、痛みを増していった。
「ごめん・・・。もう絶対にしないから・・・カッターをしまって・・」
「無駄って言っているでしょう!?」
雨風が、彼女の言葉をかき消すように、さっきよりも増してひどくなる。
彼女の怒りや憎しみまでも増えていった。
「落ち着いて。」
「大丈夫。」
「刃を戻して・・・。」
その場の誰もが彼女を宥めようとした。
だけど、その行動は無駄にすぎなかった。
「近づいたら・・・刺すから・・・。」
彼女は荒い息を吐きながら、刃を自分の首に向ける。
カッターを掴むその両手は、小刻みに震えていた。
私の中で、彼女は死んでしまった。
私が殺してしまった。彼女を。
ぼやける視界の中。
彼女の体から、パアっと赤い血が飛び散った。
不幸中の幸い。
彼女が切ったのは、頬だった。
「ハンカチ・・・ハンカチを・・・。」
薄暗がりの中、鞄からハンカチを引き出す。
亡くなった祖母の大切な形見。
「近づかないで!!」
「それ以上近づいたら・・・分かってるよね?」
「でも・・・」
「これは脅迫じゃない。私はあなた達に殺されたの。あなた達は、私を殺した罪を一生背負っていかなければならない。心配しないで。ずっと見守っててあげる。あの世でね・・・。」
鋭い刃を自分に向ける彼女の目は、狂気を孕んでいた。
憎しみや怒り、悲しみまでも。
その時。
その場にいる全員が息をのんだ。
ひざまづいた彼女の首は、真紅に染まっていた。




