ばたんきゅ~
「お嬢様っ!お嬢様っ~~~~~!!」
「......あっ」
頭を守るように、腕で顔を覆っていたが、いつまで経っても熱さと痛みは来ない。うっすらと瞼を開けると、対面には息を荒げたエリーゼの姿。......周りを見るがリーゼロッテの姿がなかった。
足元に重みがあり、まさか......。と嫌な予感がよぎって下を見ると、頭から血を流し、紅茶を頭から被っていた自分の主の姿が。
瞬時に、自分を庇ったのだと思うと、悲しさと心配、そして相手に対する怒りで感情がぐちゃぐちゃになる。目の前の相手を糾弾したいところだったが、それどころではなく。
瞳に涙を浮かべながら、ブルーベルは助けを求めた。
★
「なんやっ!なにがあった!......って姫さん!なにがあったんや!」
ブルーベルの鳴き声に最初に気づいたのはお手洗いから帰ってきたディナサンだった。テラス席に戻ると、息を荒げて呆然と立っていたエリーゼと、床に散らばるカップの破片と太い影。泣いているブルーベルと倒れたリーゼロッテを見て、エリーゼがなにかしらしたのだと予想はついた。
しかし、それどころではなかった。まずは、犯人探しをするよりは、リーゼロッテの手当が先だ。ディナサンは、異変に気づいてやってきたシルバーに医者を呼ぶように伝え、今自分ができる限りのことをする。
「アイシャは綺麗な布と水と氷をもってきぃ!ブルーベル、姫さんをベッドに連れていくのを手伝ってくれ!......ああ、でも結構血がでとるさかい、先に手当して様子みた方がええかもしれん」
「わ、私......」
わなわなと肩を震わせるエリーゼは、恐怖に染まった顔でディナサンを見る。視線に気づいたディナサンはギロッとエリーゼを睨む。びくり、と肩を震わせ、視線を逸らしたエリーゼは小さく「ごめんなさい」と誰に向けたかもわからない謝罪の言葉を口にした。
「おい、後で理由聞かせてもらうから逃げんなや。......事と次第によっちゃおまえを許さんからな」




