第65話 M29:大蛇退治
「キラー・モンスター退治に協力して頂けませんか?」
長野信越さん――シンから誘われた。
ここは希望の町にあるお茶の美味しい店、丁度、みんなとこれからの事を話合っている。
「キラー・モンスターって、こっちの町に来る途中、出会った大蛇?」
「あぁ、見たことがあるのですね。話が早いです」
「拙も、このサブも見ておるぞ」
「小拙は未見ですが……」ポロロン♪
キラー・モンスターは、初心者が最初の村から次の町に移動する道に出没する。
初心者にとってはかなり危険になるので、定期的に排除する必要がある。
シンは、このキラー・モンスター退治の依頼を受注したいらしい。
「えっと、わたしたちでいいのかな?」
「ええ、実力的に問題ないかと」
「拙たちだけだと、前衛がいないんじゃが」
「ワイは魔術師だから、前衛は無理」
「分かっとる。サブは虫除けくらいしか使い様がないぞ」
「前衛はエドに頼もう」
「では、明朝第一昼刻の早い時間に、南門前集合でお願いします」
「いいわ! 予定も空いてるし」
エドは快く了承した。
当日、エド、はるっち、サブ、ジョルジュ、そしてわたしが南門前に集合する。
「おはよう!」
「おはようございます。準備に問題なければ出発しましょう」
シンの声でみんな元気に出発する。
希望の町の南門から出て、南側を探索する。
周囲は砂漠が続く。
蛇さんや蜥蜴さんを倒しながら少しずつ進んで行く。
さすがにみんな実力を付けている。
この辺のモンスターでは相手にならない。
初めての村に向かって少しずつ進む。
「見つからないのぅ」
「初めての村と希望の町の間の何処かですから……、出現していることは確かなのですが」
「出現位置は、どうなの?」
「ランダムです」
「村と町の間の何処かということですな」ポロロン♪
「三日ほどある道の何処かに出てるのね。時間かかりそうだわ」
日も傾いた第六昼刻
「今日はこの辺で野宿ですね」
信越さんの声で、みんな野宿準備にかかる。
みんな慣れたもんで、素早くテントを展開し、竃を設置する。
「途中で退治したビッグホーンの肉が沢山あるわ!」
「BBQにしましょう」
「点火!」
用意した炭に火を点ける。
「備長炭?」
「普通の炭を買ったので備長炭ではないと思いますが」
「備長炭と申しますのは」ポロロン♪
ジョルジュの蘊蓄が始まる。相変わらずだなぁ
「紀伊国の商人備中屋長左衛門が造ったことから、備長炭と言われるようになりました」ポロロン♪
「備長という場所があると思ってたわ!」
「吉備国が分かれて、備前、備中、備後になったわけですな」ポロロン♪
「ワイはそーゆーのはダメだわ!」
「蘊蓄の間に肉が焼けましたよ」
「ビールが欲しいところじゃのぅ」
「はるっち、そこは依頼中、控えて!」
「さて、夜の見張りですが、ちょうど六人いますので一刻交代で行きましょう」
「問題ないと思う。順番はどうする?」
「最初は、はるっちさん、そしてサブさん、エドさん、私、ジョルジュさん、ことねさん、ということで如何でしょう?」
「拙が楽のようじゃが、良いのか?」
「そこは、信越さんの優しさですな」ポロロン♪
翌朝、第一昼刻
早めに野宿を畳んで探索を続行する。
「炎の槍!」
サブの魔法攻撃がヨロイトカゲを葬る。
「さすがに強いですね」
「ワイの魔法も威力が上がっとるから」
「サブやん、素敵ですぅ~」
「変わった幻影ですね」
「いつものことじゃ、気にせんで欲しいのぅ」
代り映えのない岩と砂の道が続く。
時には、町に向かう初心者さんと思われるパーティを見掛けるが、概ね平和そうだ。
自分たちも、同じように移動したと思い出す。
第四昼刻の始まった頃
「何か不穏な感じじゃが」
「そろそろ注意が必要ですね」
「そろそろお出ましですか」ポロロン♪
みんな異常を感じているみたいだ。
「急ぎましょう。初心者が襲われているかもしれません」
「居た!」
シンが叫ぶ。
「炎の壁!」
初心者数人が必死でキラー・モンスターに対応している。しかし本当に危うい感じだ。
急いで支援に向かう。
「キラー・モンスターを討伐に来ました。避難して下さい」
シンが大声で冒険者たちに知らせる。
「ありがとうございます」
「無理をせずに下がって!」
私の声で初心者たちが下がったことを確認して、本格的に攻撃を始める。
「あたしが前で敵を抑えるわ!」
「大蛇は地属性、火魔法中心で」
「おっしゃ、ワイはやるで~~」
「サブやん、頑張るですぅ~」
「戦いの歌!」
ジョルジュが高らかに謡う。
「火の加護、火纏い!」
はるっちの支援魔法が飛ぶ!
「赤き矢!」
シンの弓攻撃が始まる。
いよいよ本格的に戦いが始まる。
大蛇は尻尾を大きく振って攻撃してくる。
エドが戦斧でガッチリ受ける。
「以前のおっきな蛙さんより強いわ、みんな注意してね」
「了解、炎の絨毯!」
「ワイの攻撃を喰らえ~~炎の槍!」
「キャー、サブやん素敵ですぅ~~」
何だか煩い幻影が居るけど、攻撃を重ねるしかない。
「回復の歌!」
ジョルジュの支援が続き、こちらが押しているのは間違いない。
でも野次馬が増えて来てるのは気になる。
「二重撃!」
シンの弓攻撃が連続して入る。
「ダメは入ってます。続けて下さい」
第六昼刻に入った頃
さすがの大蛇も傷だらけ、あちこち鱗が剥げて血を流している。
「しぶといなぁ~」
「でもかなり弱って来てます。畳み掛けましょう」
「素早さの歌!」
シンの声に応じてジョルジュの歌が一層高まる。
「おっし、総攻撃!!」
「分かったわ! 連 断!」
「ワイの新魔法を喰らえ~~、炎の波!!」
「拙も全力じゃ、地獄の業火!」
「この際、大サービスだ~」
火炎剤を思いっ切り投げ付ける。
「こっちも負けて居られませんね。連 射!」
シンの連続攻撃、あまり見たことのない矢の連続発射だ。
こちらの攻撃に耐え切れなかったのか、大蛇が激しく痙攣し、地に倒れ込む。
光の粒となって消えて行く。モンスターが大きいと、華やかだ。
「お疲れさま~~」
何か周囲の野次馬から歓声が届いた。
ホントにお疲れさまだわ
「疲れたけど、何とかなったわ」
「みなさん、ほんとにお疲れさまです。これで依頼達成です」
「しっかし、苦労の割にはドロップがショボイで」
「全くじゃ、蛇の肉とかどうやって処理すれば良いのじゃ」
「それでは町に戻るということですな」ポロロン♪
予想以上に大変な依頼だった。




