―第112章― 大切なものを引き連れて新しい一歩を踏み出す為の理恵達の「新章」
高校からの帰り道、私は一面水色に染まり切った青空を見つめながら、ゆったりと歩いていた。
あの朝から1週間後、経過観察期間を終えて、千夏は1年ぶりに退院した。
千夏は晴れ切った表情で、元気になった身体を自慢するように大きく動かしていた。
私達も、無事自分の志望校に受かり、それぞれの未来に向けての歯車が回り始めている。
死神さん。
あなたは、今、何処にいますか。
輪廻転生で生まれつく場所は運で決まるので、もしかしたら意外と近くにいるのかもしれませんね。
隼人は入学前まで負けていた先輩に勝利したり、新しい技を覚えたりと、部活動でも成長を見せながら、進学校の中で中の上の学力を維持して、頑張っています。
飛鷹もスポーツ大会での興奮が忘れられず、サッカー部に入り、過去のトラウマと向き合いながら、フィールドを駆けています。
想空も、長所の好奇心旺盛を生かせる場所で、日々、未知を追い、千夏にあの調子で元気に報告しています。
鈴も、その場に流されずに自分の意見をちゃんと言うことを頑張っていて、委員会の副委員長に自ら立候補してみたそうです。
千夏も、現在は通信制高校に通っていますが、体調がしっかりと安定してきたら全日制高校に行くという事を楽しみに、必死に勉強を頑張っています。
そして、私は相変わらず勉強を頑張りながら、一歩ずつですが、物事に卑屈になる前にちゃんと向き合ってみることを頑張っています。
私達はあなたがくれた時間で一生懸命、自分なりに生きています。
そして、千夏はあなたのお陰で、私達が生きている可能性は限りなく低い100年後、115歳で死ぬ事が確定しています。
それはどんなに現実が苦しくて自殺したくても、この100年間は確実に死ねないという事。
時に残酷で、苦しい。
それでも、千夏は千夏なりに苦しみながら、きっとその人生を一生懸命歩んでいく。
だから、どうかあなたも。
死神さんらしく、最高に神様らしく、人間らしい弱いあなたのまま、一生懸命、生きてください。
いつか、きっとまた会えるであろう日を待ちながら、私も私のまま生きていきます。




