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第一話「占い師が来た」
星が、よく見える夜だった。
美那は、後宮の星読みとして召し上げられた。
二十歳だった。
祖母から、星の読み方を学んでいた。
都では、少し名が知られていた。
後宮に入ったのは、皇后の命だった。
皇后は、星を信じる人だった。
「後宮の吉凶を読ませたい」と言った。
美那に与えられた部屋は、小さかった。
しかし、天窓があった。
夜、天窓から、星が見えた。
それだけで、十分だった。
仕事は、毎月の吉凶を読むことだった。
妃たちの部屋の方角を読むことだった。
縁起の良い日を選ぶことだった。
美那は、それをこなしながら、密かに別のことをしていた。
人を見ることだった。
星だけでなく、人を見ることが、美那の本当の仕事だった。
生まれた日と、顔と、目と、声と、歩き方で、その人の運勢が読めた。
後宮に来て三日目、廊下で男とすれ違った。
官服を着ていた。
しかし、宦官ではなかった。
すれ違った一瞬に、美那はその男を読んだ。
読んで、足を止めた。
珍しい星の下に生まれた人だった。
(第一話 了)




