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防御結界のメンテをクビになったが、僕が消した「一行のコード」のせいで世界が滅びそう。〜今さら土下座されても、バックアップはもう削除済みです〜  作者: 影山ネル
第1章:『システム管理者、ルート権限を剥奪してログアウトする』

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第1話:システム管理者の退職手続き

「――本日をもって、君を王国魔導省から解雇する。明日からは来なくていいぞ、ゼノン」


豪華な装飾が施された執務室に、無能な男の傲慢な声が響いた。

声の主は、新任の魔導防衛省長官にして、王国が誇る『光の勇者』レオンだ。


俺――ゼノンは、手にした魔導端末から顔を上げ、眠たげな目を擦った。


「解雇、ですか。理由は伺っても?」

「フン、わからないのか。君の仕事には『華』がないのだよ」


レオンは鏡で自分の金髪を整えながら、鼻で笑う。


「他の魔導師たちは、ド派手な爆発魔法で魔物を蹴散らし、国民の喝采を浴びている。だが君はどうだ?毎日毎日、薄暗い管理室で数字の羅列を眺めているだけ。君が張っているという『防御結界』とやらも、一度も破られたことがない。つまり、あってもなくても同じということだ」


……なるほど。サーバーが正常に稼働しているときは「何もしない給料泥棒」と罵られ、一度でも止まれば「無能な役立たず」と叩かれる。

前世のインフラエンジニア時代にもよく聞いた、使い古された理屈だ。


「結界が一度も破られていないのは、僕が24時間体制で魔力負荷の分散と、外部からの不正アクセスの遮断を行っているからですよ。僕がメンテナンスを止めれば、この国の防御能力は……」

「黙れ!言い訳は聞き飽きた。君に支払っている高額な保守費用を、私の新しい聖剣の研磨代に回すことに決まったのだ。さあ、さっさと機材をまとめて出ていけ!」


レオンの背後では、取り巻きの魔導師たちが「やっとあの陰気な男がいなくなる」とクスクス笑っている。


彼らは理解していない。

この国の魔法体系は、僕が構築した『共有魔導ライブラリ』の上に成り立っている、脆いパッチワークだということを。


「……わかりました。契約解除ですね」


俺はため息をつき、魔導端末(ターミナル)のコンソールを開いた。


「では、退職手続きを行います。僕が個人的に開発・提供していた『動的防衛モジュール』および『魔力最適化エンジン』はすべて僕の私的所有物です。退職に伴い、これらを現行のシステムからアンインストール、および実行権限の削除(権限剥奪)を行います。よろしいですね?」


「ああ、勝手にしろ!そんなゴミ、誰も使わん!」


レオンはしっしっと手を振った。


俺は無表情のまま、キーボード代わりの魔導文字を叩く。


$ sudo permission-revoke --all --target KINGDOM_SERVER

[Caution] This action will stop all defensive functions. Continue? (y/n)


迷わず、yを入力してエンター。


$ rm -rf /lib/defense/zenon_special_pack

[Success] All libraries deleted. System status: UNSTABLE.


「――手続き、完了しました。今までお世話になりました」


俺は端末を閉じ、一礼して部屋を出た。


「ハッ、強がりやがって。あんな奴がいなくなったところで、何も変わりは――」


背後でレオンが何か言っていたが、最後まで聞こえなかった。

なぜならその瞬間、王宮を包んでいた巨大な防衛結界が、電源を引き抜かれた電球のように”「ブツッ」”と音を立てて消失したからだ。


部屋の外では、警報の鐘が鳴り始めている。


「おっと、ログアウトした後は関知しなのがポリシーなんでね」


俺は混乱の渦に包まれる王宮に背を向け、静かに歩き出した。


さて、これからはバグまみれのコード(世界)を直すのはやめて、自分専用の快適な環境(シェル)でも構築するとしよう。

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