表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巡る世界の中で  作者: ぽんこつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/11

接続

『大きな時代の波という色。それに飲まれたり。混ざったり』

漂う煙の向こう。

鳶色の瞳が翳る。

『それこそカメレオンのように。自らの色さえ変えて。順応したり適応したりする』

煙草を挟んだ手が口を覆う。

白い筋がくゆる。

『それでも、敢えて馴染まなかった色もあるのが歴史の面白いところでしょ? ね、柚葉さん』

ぐっと。

私を射抜く眼差し。

あわただしくなる心臓。

そっと。

顔を背けて。

髪の毛先を指に巻き付ける。

「それって、りょうさんのことですか? それともご先祖様のことですか?」

首を傾けた私。

ちらりと送った画面の向こうで。りょうさんも同じ向きに首を倒していた。

『うーん。どうだろう。でも、柚葉さん……』


ブーッ、ブーッ……

スマホの震動音。

りょうさんが手を伸ばして。

その画面に視線を落とす。

文字を追っているのか。

瞳が動く。

「……彼女さんですか?」

勇んで。

ううん。

振り絞って。

口にしてしまった言葉の行く末。

ぐちゃぐちゃして。

気持ちも。

呼吸も。

鼓動も。

きっと、表情さえも。

ちぐはぐな私。

『ん? 何か?』

「あ、いえ……なんでもないです……」

尻すぼみになる声。

『そう。でも、柚葉さんと話が出来て。本当によかった。ありがとう』

頭を下げるりょうさん。

「いいえ、私の方こそありがとうございます」

私も姿勢をただして。

お辞儀をする。

『そしたら、もう遅いから終わりにしましょう』

「え? あ、はい……」

肩を丸めて。

うつむく私。

アワアワする心。

ピークを迎える心臓。

どうするの……

柚葉。

もう二度と会えないよ。

膝の上の汗ばんだ手を握りしめた。

『……ミャアオン』

おねだりするような。

甘い鳴き声。

また猫って。

それどこじゃなくて……


「あ! あの!」

モニターの中。

りょうさんの姿はもう消えていた。

あっ……

沈む吐息を連れて。

椅子にもたれかかる。

真っ暗なモニターに。

りょうさんの残像が浮かんできて。

頬がゆるむ。

かっこよかったな。

指先でライターをつける仕草を真似してみる。

あっ。

私はスマホを手に取った。

りょうさんとの会話を打ち込む。

その度に。

色々想い起こして。

にやけていた。

でも――

もう会えないんだよね。

一期一会のときめきにしとくしかないか。

スマホを置いて。

冊子のページをめくる。

由緒ある家なのかは分からないけど。

古くは平安時代から連綿と続く家。

それ以前のことは、口伝で伝わっていたみたいで。

今はもう分からない。

コジマよりユナキジマに移りて。

が最初。

ユナキジマは夕凪島の昔の呼び名。

記紀の国産み神話にも登場する。

一番最後のページを見て。

「あっ!」

両手で口を覆う。

上向きの龍の紋様が目に飛び込んできた。

りょうさんのライターに刻印されていたのと似ている。

向きは違うけど。

ああ……

だから、見たことがあったんだ。

そうだ!

龍が手にしている玉に描かれているのは……


お読み下さりありがとうございます。

感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ