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巡る世界の中で  作者: ぽんこつ


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5/5

答え……

どれくらいだろう。

お互いを凝視したまま。

沈黙が流れた。

でも。

りょうさんの視線は私じゃない何か。

別のものを見ているような気がした。

俄然。

りょうさんに興味がわいてきて。

心臓が耳元に居座り続けた。

りょうさんの目尻が下がる。

『いや、俺もなかなかのもんでしょ?』

「え? ああ、はい」

『たまたま、廃社になった神社を調べたことがあってね』

カチン。

銀色のライターに炎が揺れて。

くわえた煙草が触れて。

ジッ。

煙が舞う。

鈍く光るライターに何かの模様が刻まれている。

「りょうさん、それ、なんですか? ライターの模様」

『ん?』

りょうさんは、それを一瞥して。

私に見えるようにかざしてくれた。

モニターに顔を近づける私。

角があって……

下を向いている龍だ。

手に握られた玉に何か書いてあるようにも……

「龍なんだ。素敵なデザインですね」

『そう? ありがとう。これね家紋らしい』

「家紋?」

そう言われたら。

どこかで見たことあるような……

『君の瞳。すごく澄んだ黒なんだね。吸い込まれそうだ』

ビクッとして。

固まる私。

ビリビリと全身の血液が沸騰したみたい。

顔が熱い。

泳ぐ視線が定まらない。

『大丈夫?』

「あ、はい」

あわあわする心。

両手でマグカップを持って。

ミルクティーを流し込む。

ぬるくなった液体が。

鼓動を宥めるように。

喉を伝っていく。

唇を結んで。

そっとコップを置いた。

「りょうさん、女の子みんなに言ってるんでしょ?」

小さな勇気を振り絞って。

胸のつかえを口にして。

収まった鼓動が再起動。

『何を?』

煙が目にしみたのか。

目頭を押さえたりょうさん。

心で。

ため息一つ。

いちいち仕草に見惚れちゃう。

「その、さっきみたいなこと……」

声まで震える私。

『ああ、いや、きれいな瞳だと想っただけだけど。言わない方がいいのか……』

私は両手と首をぶんぶんと振る。

「そういうこと、言われたことないから……嬉しいです」

言いながら。

顔がオーバーヒートしてる。

『そう』

りょうさんは頬をへこませて。

煙草をくわえて。

開いた口から。

漏れそうな煙の塊を吸い込んだ。

「私には、その、すぎた言葉かな……」

視線を落として。

唇を噛みしめる。

両手を腿の間に。

言ってもどうにもならない。

喉を越えそうな。

言葉を必死で飲み込んだ。

お読み下さりありがとうございます。

感謝しております。

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