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尊敬できない



「では、この球体に手を添えて」

「は、はい」

「ほれ、もっとしっかり添えなされ。早うせんと、その柔らかそうな2個の球体を掴むぞ」

「!? そっ、それは」


 一応原型は留めたと思うような挨拶をした私は、そのまま奥の部屋へと案内された。先ほどまで居た教会のような場所とは一変して、ここはまるで世界と引き離された場所って感じ。真っ白な空間の真ん中に、ポツンと黒い球体とそれを支える台がある。

 ちなみに、お借りした上着は着てないし、恥ずかしいからレオンハルト様とルワール様は先ほどソフィーと会った場所でお待ちいただいているわ。結果だけは知りたいって言ってたから、後で呼んでも良いかな。


 それにしても、この大神官様は変態さんなのかしら。

 先ほどから、お尻とか胸とかを触る気満々で両手をワキワキさせて居るところを見せびらかしてくる。怖い。怖すぎる。紳士の「し」の字も感じられないわ……。


「では、目を瞑って」

「……変なところ触らないですか?」

「触って良いなら存分に堪能する」

「ダメです!」

「ほほほ、まあ診断中は触らんから安心せい」


 安心できないのですが、それは。


 私は、「目を瞑らんと触るぞ」と脅してくる大神官様に従い、目を閉じた。

 しばらく身体を硬直させていたけど、一向に触ってくる気配はない。それに、なんだか身体の力が抜けるというか、なんというか。


 多分診断とやらが始まって居るのだと思うけど、とても不思議な感じがする。

 まるで、体内を隅々まで見られている……しかも、大勢の人に。そんな感覚が、全身を駆け巡った。でも、不快という言葉は当てはまらない。そんな不思議な感じ。


「もう良いぞ。やはり、思った通りの結果じゃのう」

「ということは?」


 その時間は、一瞬で過ぎ去った。

 もっと目を瞑っていたかったけど、今度は「触られる」という問題が残っている。それに気づいて、急いで目を開けたわ。でも、目を瞑る前と何が変化しているのかはわからない。相変わらず空間は白いし球体は黒いし、ましてや大神官様が何か持っているということもなさそう。


 大神官様は、腕組みをしながら私の顔を見上げている。


「王子たちを交えて話そうか。ここに連れてきてくれるか?」

「う、上着を羽織ってもよろしいでしょうか?」

「許さん」

「ええ、そんなあ……。診断は終わったので、もう大丈夫では?」

「私が見たい」

「上着を着てきます」

「なっ!? では、一回だけお触りを……!」

「お断りです!!」


 やっぱり、変態さんだ!


 私は、大神官様とは名ばかりの……いえ、多分すごいお方なのだろうけど、変態さんにしか見えないからか尊敬とかそういうのができそうにないわ。まあ、とにかくそんな大神官様に背中を向けて猛ダッシュで2人を呼びに行った。


 幸い、レオンハルト様が、お会いしてすぐ上着をかけてくださったわ。「大神官に触られてないですか」って聞かれたけど……まさか、この正装ってあの人の趣味だったり!?

 よくよく考えたら、ソフィーは胸元の空いてないちょっと違うデザインの服だったし疑ってしまうわ。

 大神官様、要注意人物に認定しましょう。




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