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第64話 無効よ!

 バアアアアアン!


 派手な音を立てて扉に突っ込む。扉はぶっ壊れて俺は中に転がり込んだ。


「いてて…」


 扉を突き破った衝撃から立ち上がると玉座が目の前にあった。どうやら表彰式の真っ最中らしい。


 正面に国王がいてヒースに冠を渡そうとしている。その後ろにトップ選手が控えている。両脇には大臣たちが並んで立っている。ずっと後ろには観客が座っている。かなり広い空間で教会の大聖堂のようなところだ。


 全員の目が俺に集中している。こんなに注目を浴びたのは生まれて初めてかもしれない。


「な、何者だ!」


「であえ!」


 会場の後ろから横からワラワラと兵士たちが出てきた。


「その表彰式は無効よ!」


 急に頭上のキャサリンが大声で言った。


「な、なんだと?」


「早くあの賊をひっ捕らえろ!」


 会場がにわかに騒がしくなる。


「大人しく手を上げてこっちへ来い!」


 兵士たちに槍を突きつけられた。


 俺は両手を上げた。


「そうだ!そのままこっちへ降りて来い!」


 玉座の裏に行くのが畏れ多いのか兵士たちはここまで上がって来ない。


「あんたこのまま捕まる気?」


 キャサリンが耳元で囁く。


「まさか」


 俺は上げた両手をゆっくりと下ろして兵士たちの方へ向けた。


「空気砲!」


 ズバアアアアン!


 ド派手な音を立てて空気砲が発射!


 ワラワラ出てきた兵士たちは空気砲をもろに食らって一斉に将棋倒しになった。


「何をやっている!早く捕まえろ!」


 会場内はパニックになった。


「動かないで!動いたらさっきのやつを魔王にぶっ放すわよ!」


 キャサリンがそう言ったから俺は右手を魔王に向けた。魔王は振り返ってこちらを見ている。


「き、貴様!」


 ヒースは腰の剣に手を伸ばした。


「空気砲!」


 俺はヒースの手に空気砲を飛ばした。


 カラン!


 ヒースは手に空気砲を食らって剣を取り落とした。


「次は魔王を狙うわよ」


 お前が決めるなよ。と言いたいところだがその通りなので黙っていた。


「貴様!自分が何をやっているのか分かっているのか!」


 ヒースが叫ぶ。


「ええ、分かってるわ。それよりもあんたたちのほうがおかしいわ!」


「何!この場を愚弄するか!」


「静まれい!」


 魔王が口を開いた。騒ついていた会場がシンと静まりかえった。


「この場はただの表彰式ではない。次期魔王を決める厳粛な場である。一同静まれい!」


 この会場にいる全員が片膝をつきひざまづいて頭を下げた。


「何をしている。貴様もだ」


 魔王は俺に言った。


「なんでそんな格好しないといけないのよ!」


 キャサリンは傲然と言い放った。


「この魔王に敬意を表す気がないということはこの世界全体に弓を引く気か!」


「ひざまづいてたらその間に捕まっちゃうじゃない。今そんな格好できないわ。それよりこの表彰式は無効よ」


「何を言う!この賊が!」


 大臣の一人が言った。この大臣は獣族のような見た目だ。大臣たちの中には魔族だけではなく獣族と思われる人種もいるようだ。


「フンっ!人の話聞けない奴ばっかりね!これだから野蛮人は嫌なのよ」


「なんだと!」


 キャサリンにバカにされた大臣は鼻をブウブウ鳴らした。


「まあよい。ならば申してみよ、何が無効なのだ」


「まずこのレースは一番多くの女性に精を受け渡せた奴が優勝でしょ。そこにいる奴は40人でしょ。ここにいるウスノロは100とヤッたわ」


 会場がどよめく。100人だと?バカか?あり得ないだろ……。色んな声が聞こえる。


「そしてそこにいる奴らはそもそもこのレースの参加資格がないわ」


「貴様!言うに事欠いて何を言うか!もう許さんぞ!」


 ヒースはもう一度剣を取ろうとした。


「参加資格がないとはどういうことだ」


 魔王が静かに聞いた。


「あんたら竜族なんでしょ」


 会場から悲鳴が上がる。え、嘘でしょ!何言ってるの!何なのあいつ!ヒース様になんてことを!


「これは魔王を決めるレースよ!魔族の王になるのは魔族だけでしょ!竜族にその資格はないはずよ!」


「なんだと!もう我慢できん!証拠もなくデタラメを言いやがって!」


 ヒースが剣を拾ってこちらに駆け出してきた。


「それじゃ、これでも食らいなさい!」


 キャサリンはどこからか笛を取り出してきて思いっきりそれを吹いた。


「お前、力入れすぎだろ!音出てねえよ!」


「うるさいわね!出てるわよ!あんたが聞こえないだけよ!」


 そう言ってさらに笛を目一杯吹く。


「グアアアアア、やめろ……」


 ヒースが急に苦しみ始めた。いや、ヒースだけではない。後ろにいたトップ選手と魔王まで頭を抱えて苦しんでいる。獣族も苦しんでいる。魔族の大臣たちはぽかーんとしている。


「い、一体どうなってんだ?」


 キャサリンは笛を吹くのをやめた。


「これが証拠よ!魔族には聞こえないほどの高音が聞こえるのは竜族と獣族の証よ!化けの皮が剥がれたんだから大人しく観念しなさい!」


 キャサリンが言い終わると同時!


 ドグガガガガン!


 俺の背後からブルドーザーでも突っ込んできたような音がしてメガバーミンが現れた!

 

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