第31話 必殺技!
アズラとメノウがぐんぐん俺に近づいてくる。
「何やってんのよ!もう捕まるわよ!」
イメージが固まった!
俺は両手を上に上げた!
「凝竜巻!」
これまで外した小竜巻たちが集まってくる。それらはアズラとメノウの二人を取り囲む。
集まってきた小竜巻たちは小枝や小石を含んでそれらが擦れ合って火花を散らしている。そして互いに融合し合ってより強力な竜巻に変化し始めた。
「な、なんだ!これは!」
「り、離脱するぞ!」
竜族の二人は何か言っているがもう遅い。
「弾けて!混ざれ!」
俺は両手を下ろした。
火花を散らしながら妖しく踊る竜巻は俺の合図と共に一気に竜族の二人に襲いかかる。
「ウ、ウウオオオオオオオオ!」
獣のような叫び声が上がる。
「ちょ、ちょっと!やり過ぎよ!死んじゃうじゃない!」
キャサリンの叫び声に思わず凝竜巻を解いた。
二人はそのままフラフラと落下していく。俺は二人が地面に激突しないようゆっくり下から風を送った。そして、パスッ、という音を立てて二人が地面に着いた。
「よし、降りよう」
俺は木の上から降りて竜族の二人に近寄った。彼らは気を失っているが命には別条なさそうだ。
「しかしあんた見かけによらずエグいことするのね」
キャサリンは呆れたように言った。
「もっと褒めろよ。よく出来てるだろ」
魔法の練習ではキャサリンの言う通りにやってきた。あの小竜巻と旋風脚もキャサリンの指示によるものだ。
キャサリン曰く、大きな竜巻とかよりもすぐに出せて小さいものの方が使い勝手がいいからという理由で練習させられた。実際効果は抜群だった。
凝竜巻は一人で小竜巻をいくつも作っている時にたまたま思い付いたものだ。小竜巻がうまくコントロール出来ずに家にぶつけてしまいそうになって、一度手を離れたものでも再度操れるのか試したのがキッカケだ。しかし、これほどの威力があるとは思わなかった。
それよりも驚くべきことはキャサリンの勘だ。街へ出かけた帰り道、耳元で俺の命を狙ってる奴が分かったって言ってたけど、本当に竜族だったとはな。何故分かったのか聞いたら、動物的な勘だ、とか言ってたけど、そもそもお前動物じゃねえか。まあ、どうでもいいけど。
「でも作戦成功だな」
実はレースの申し込みをして街から帰った夜、キャサリンは俺の枕元で長いこと話しをしてきた。
この世界に来てからずっと誰かに監視されてるような気がする。
誰だか分からないけれど、振り返ると影は羽でも生えているようにヒラリと飛んで行ってしまったように消えている。
この世界で飛ぶことができるのは竜族だからきっと竜族に違いないと。
そして奴らが俺の命を狙ってるのかもしれない。
しかし奴らは監視しているだけで全然仕掛けてこない。
だから、敢えて仕掛けられやすい状況を作り出そう。
そして、そこで逆にその一方でちゃんと魔法を使いこなせるようになっておかないといざという時、本当に殺されてしまうかもしれない。
だから死にたくなければ本気で私の言うことを聞け。
「あとはこいつらの意識が戻ったら目的とかを聞けばいいんだろ」
「ちょっと黙って」
キャサリンは厳しい表情で言った。
「お、おい……どうした?」
キャサリンは長い前歯で下唇を噛んだ。
「私たち囲まれてる」
「えっ!だ、誰に?」
「決まってるでしょ」
そして、木の陰からいくつもの影がヌッと現れた。20人はいるだろうか。
「気合入れなさいよ」
キャサリンに言われなくても俺のキンタマは縮み上がっている。




