第30話 戦闘開始!
森をかき分けてさらに奥に進む。俺たちは黙って進みながら、周りの音に耳を澄ませている。カサリカサリと落ち葉を踏む音だけが森に響く。
「いい?いち、にの、さんでいくわ」
キャサリンが小声で言った。俺は指で丸を作った。
出来るだけ足音を殺して歩く。歩幅を狭くしてゆっくりと歩く。そして俺たち以外の音に耳を澄ませる。
パサッ。
羽を広げたような音?
カサッ。
木の枝が折れる音?
息を殺して耳を澄ませていると、俺たち以外の音が聞こえる。奴らは確実に近づいている。
「そろそろ来るわ」
俺は指で丸を作る。
「いち」
「にの」
「さん!」
俺は振り返る。
目の前に剣を振るった二つの影!
同時に俺は叫ぶ!
「防陣風!」
ズオオオオオオオ!
俺の体を強烈な竜巻が包む!
二つの影は竜巻に巻き込まれて俺の頭上に吹き上げられた。
「奴ら上よ!追って!」
「旋風脚!」
俺は足元に強力な竜巻を起こして自分の体を木の上まで吹っ飛ばした。
「待て!この野郎!」
二つの影は竜巻から離脱すると木の間を縫って逃げようとする。
「小竜巻!」
小型の竜巻を逃げる影に向かって発射。一人が竜巻を食らってバランスを崩す。
「先に行け!アズラ!」
「おう!あとで待つぞ!メノウ!」
声を掛け合いもう一人は構わず逃げる。
「逃すかよ!」
俺は逃げたもう一人にさらに小竜巻を繰り出す。しかしかわされる。
さらに小竜巻を繰り出す。
さらにかわされる。
かわしたところへ、もう一発発射!
当たった!と思った瞬間、その影から翼が現れてひょいとかわされた。
「やっぱりあいつら竜族よ!」
ピー、ピー、ピー。
風の鳴るような甲高い音がした。奴は空に向かって何か笛のようなものを吹いた。
「下!」
キャサリンが叫ぶ。
メノウと呼ばれた先に小竜巻を食らった奴が、翼を広げ剣を構えてこちらに向かってくる。
俺はそいつに小竜巻を繰り出した。
しかしかわされる。二度目は通用しない。
俺は小竜巻を連射した。二つともかわしやがった。
「ヘタクソ!何やってんのよ!」
「うるせえ!黙ってろ!」
俺は旋風脚を使って笛を吹いたアズラと呼ばれたもう一人の竜族の方を追いかけた。
後ろからもメノウが追ってくる。
俺は旋風脚を横向きに噴射して横っ飛びしながら、両手で小竜巻を繰り出し続けた。しかし奴らには一向に当たらない。
突然前を行くアズラがこちらに向きを変えた。二人で挟み撃ちにする気か。
俺は木の上に止まった。
「何する気!」
「ちょっと黙ってろ!」
俺は目を閉じてイメージを固める。挟み撃ちにあったらこうするしかない!俺は目を開けた。
「よし!行くぞ!」




