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第29話 さらに森の奥へ!

 ペーシャの後ろ姿を見送って俺はキャサリンと森で二人きりになった。森はとても静かで、今のところこの森にモンスターがいるような気配はない。


「さあ、行きましょ」


「どこにだよ」


「モンスターのいるところよ」


 それがどこか分かれば苦労しないんだけどな。


「まあ、森の奥の方に行けばいいんだろ」


 キャサリンはピョンと俺の頭の上に乗った。


「分かってるじゃない。さあ、出発よ!」




 泉の横に細い獣道があったのでそれに沿って進むことにした。出発前にリュックの中にペーシャに教えてもらった薬草と山菜をいくつか入れておいた。


 一時間ほど歩いた。まだモンスターの気配はない。俺たちはちょっと休憩することにした。そのあたりの切株に腰掛けて水筒の水を飲んだ。


「そんなに簡単にモンスターなんか出てこないのね」


「そうだな。まあ、出てこられても困るんだろうけどな」


 そんな呑気な会話をしていた次の瞬間、背後の藪がガサガサという音を立てた。俺は思わず立ち上がり身構えた。


「ん?こんなところで何してるだ?」


 出てきたのは動物の毛皮でできた上着と斧を持った木樵らしきおっさんだった。


「ねえ、この辺にモンスターいない?」


「ひえっ、このリス喋るのかい?おっかねえ」


 おっさんは喋るキャサリンにびっくりして腰を抜かした。


「ねえ、びっくりしてるところ悪いけど、この辺にモンスターいるのしら?」


「あ、ああ、モンスターなんてこの先行けばいくらでも出てくらぁ」


「なあ、どんなモンスターがいるんだ?」


 木樵はこの森に住むモンスターについて教えてくれた。


 まず、B級モンスターのアサルトウルフ。狼の格好をして目が赤く光っている。一匹なら大したことないが大抵集団で襲ってくるらしい。


 次にマッドトレント。こいつは普通の樹木に化けており油断しているところを襲ってくる。


 そして、クレイジーダート。泥の塊が急に人間や動物の形になって襲ってくる。


 その他色々とこの森について教えてもらった。


「しかしまたなんでモンスターのことなんか聞くんだ?おめえら何者だ?」


「通りすがりの貴族だよ。ちょっと調査しててね」


「はあー、貴族ってのはよく分からんことするんだな。この森は竜族の村もあるし気をつけるんだな」


「竜族の村はどの辺にあるんだ?」


「地図あるか?」


「地図は持ってないな」


「ひえっ、森の地図もなしでよくおめえら入ってこれたな。こいつをやろう」


 そして木樵は森の地図をくれた。森の手前のほうにペーシャが教えてくれた泉がある広場があって、そこから伸びている道を今歩いている。この道をずっと進んで右に曲がると竜族の村があって、左に進むとさらに森の奥に滝があるようだ。その滝のあたりによくモンスターが出るらしい。


「ありがとう。色々助かったよ」


「あんまり森の奥には行かないほうがいいべ。危ねえから」




 俺たちは木樵と別れてさらに奥に進む。木樵の言うことをまるで聞いていない。なんと無謀なことをしていると思われるだろう。しかし俺たちにはこうしないといけない理由があった。


 キャサリンが俺の髪の毛の中に潜り込んだ。


「ねえ、聞こえる?」


 キャサリンが小さな声で聞いた。俺は無言で指で丸を作った。


「二匹いるわ。真後ろと真上。作戦通りやるのよ、いい?」


 俺はもう一度指で丸を作った。




 俺たちはさらに森の奥を目指す。

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