4回目の10月21日
ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ……
頭上から電子音が響く。状況に慣れてきた陽介は、のそりと布団から顔を出して停止ボタンをタップする。念のため日付を確認するが、やはり十月二十一日のままだ。
(やっぱり、死んだらくり返すのか……)
陽介はスマートフォンの充電コードを抜き、SNSを見ながらベッドを降りる。わかっていたことだが、内容はこれまでの十月二十一日と同じだ。
スマートフォンを置こうと、陽介は机に目を向ける。そのとき、机の上に見慣れないノートが置いてあることに気づく。
「じゆうちょう」と書かれたそれに驚き、陽介はスマートフォンを机に放り投げる。パラパラとじゆうちょうをめくり、前回の十月二十一日に書き込んだページを見る。
「消えてない!!」
それは間違いなく陽介が書いたもので、火事で燃えた形跡もなく鮮明に残っている。
陽介は無意識に、じゆうちょうの端をぎゅっと握る。
(ここに一日の行動を書けば、そのうち死なない道が見つかるかも……?)
陽介の心に、一筋の光が宿る。パズルや推理の類は苦手な陽介では、書いたところで状況をまとめられないかもしれない。けれど、やみくもに走って同じ失敗をするよりはマシだと思った。
陽介はさっそく、前回の十月二十一日のことを書きとめる。火元はわからないため、「不審火」と書いておいた。
(あと、真っ暗な夢のことも書いとくか。父さんと姉ちゃんだったよな)
二人の言葉を、覚えている限り同じ言葉で書く。書き漏らしがないことを確認して、陽介はじゆうちょうを閉じる。
陽介は清々しい気持ちで窓に向かい、カーテンを開けて朝日を浴びる。
(なんでこうなったとか、なんでオレだけとか、思わないわけじゃないけど……。そんなこと言っても始まらないもんな)
陽介は拳を握って覚悟を決める。ループを認める覚悟を、そして、必ず十月二十一日から脱出するという覚悟を。
「……よし」
(とりあえず、今日はどうするかな……。部活休んで帰るか)
そう考えながら、陽介はぽりぽりと腹を掻いて部屋を出る。嗅ぎ慣れたミートボールの匂いに、今から昼休みが楽しみに思えてきた。
結局この日はいつもどおり授業を受け、最初の十月二十一日と同じ交差点で意識が暗転した。




