ラブ心
部屋の用意が出来たからとピンクマンとレノックスに案内され廊下を歩いているんだけど、質問攻めにあっている。
「ナナミは恋人いる?」
「いません」
「ならナナミがこの世界に来たのは僕と出会う為だったのかもしれないね」
レノックスってば凄い、初対面でこんなセリフを言えるなんて……あっ、ハンスも出会った時何か凄いこと言っていた。
この国の男性、軽いのか女性を口説くのが礼儀なのか。
冗談と受け取って冗談で返して良いのか。返答に迷っていると蒼大がレノックスに向かって手を向け制止した。
「七海が返事に困ってるから冗談はほどほどに頼む」
蒼大!ありがとう!
感謝しているとレノックスは不思議そうな表情。
「冗談のつもりはないんだけど。君達の国では素敵な人にアプローチはしないのかい?」
「初対面ではそうしない」
「この世界は素敵な人には初対面でも素敵だと言うよ。ソウタも美しい顔をしているから多分屋敷のメイド達からアプローチ合戦が始まると思う」
「マジかよ。そー言うの勘弁してくれ……」
アプローチか。ちょっと、いやだいぶ嫌だなぁ。想像しただけでモヤモヤ。
「じゃあメイド達に注意をしておくよ」
「頼む」
私からも頼みます!
案内された部屋内はさすがとしか言えないほど豪華な部屋。天蓋付きの大きなベッドが中央にどーんと置いてあり、赤い絨毯の上には高そうな花柄のソファー。飾り彫りされたテーブル。
壁に掛けられた絵画、縦長の大きな窓に白いバルコニー。
本当にお姫様にでもなった気分。
隣の蒼大の部屋も同じ作りだった。
豪華な部屋にテンションは上がったけど今日から蒼大と別々のベッドで寝るんだと思うと少し、ううん、凄く寂しい。
予想通り1人のベッドは広過ぎて眠れない。
背中に感じる蒼大の存在感が無いと落ち着かない。
何をしていた訳でも、ひっついて寝ていた訳でも無いのに。
ベッドだけじゃなくて部屋まで広いから寂しさ倍増。
はぁとため息を吐いてベッドに腰掛けると縦長の窓の向こうにある綺麗な月が目についた。
森の中では2人で見た月、綺麗だねって感動した夜空。2人で見たからか星なんて怖いくらいに綺麗だった。
青白い月に誘われるようにバルコニーに出る。
「七海?」
名を呼ばれ驚いて隣のバルコニーを見ると、蒼大も驚いた顔をしてバルコニーに立っていた。
「蒼大もまだ起きてたの?」
「まぁな、七海も眠れないのか?」
「うん……なんだかベッドが凄く広く感じちゃって」
「……俺も」
それは蒼大も私がいないと寂しいって思ってくれてるって事なのかな。そうだといいな。
「寂しいよね」
本音を溢した途端、蒼大はバルコニーをダッシュして私の部屋のバルコニーに飛び移った。
バルコニー自体そこまで遠くは無いけど、ヒヤヒヤのドキドキと蒼大の行動のドキドキが合わさって最高潮にドキドキしてる!
蒼大は目の前に立つと優しい顔してそっと私の髪を撫でた。
「これで寂しくないな」
寂しくないけど、こんなの勘違いしちゃうし好きにならない方が無理だよ。
好き。




