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夢の中のイケボさん

 

「おい、おーい!なな……イヤ……あ〜、とにかく起きろ!」


 ん?真っ暗……私寝てるのかな?

 さっきから聞き慣れない男の人の声が聞こえてくる気がするけど……


「おいって!いい加減起きろっつの。さっさと起きないとやっちゃうぞこの野郎」


 一気に近くなった声が脳に響く。言っている言葉は物騒だけどなかなかのイケボだわ。


 もしかして私に言ってる?でも知らない人の声だし夢だよね。


 イケボさん、悪いけど私はまだ眠りたいのです。心の中で答えていると聞こえて来る声が更に大きくなった。


「起きろって、マジわけわかんねー事になってんだってば!」


 ……やっぱ私に言ってるみたい。

 はぁ。いくらイケボだろうが夢の中で起こされる夢ホント嫌い。どうして夢の中でも起きないといけないの?


「つか起きただろ?眉間に皺よってんぞ?ハ・ヤ・ク目を開けろ!」


 くう。しつこい!

 根負けして声の主を確認する為瞳を開いてみる。


 飛び込んで来た光の眩しさに目を細め見ると、寝ている私の顔を覗き込んでいる金色に近い茶髪頭のドヤンキーの姿が目に入って来た。


 コンビニに住んでいるのかってくらいバイト帰りに見る顔。


 関わりのない私ですら名前を知っている、地元で超有名な同じ歳の不良男子。


 蒼大(ソウタ)だった。


 蒼大は中学も高校も別だけど、中学の時に女子達が写真を共有して「蒼大イケメンすぎる!」と騒いでいたので知っている。


 しかも中3の時中学を卒業したら蒼大が芸能界入りする噂があって。


 芸能人になる前にナマ蒼大を目に焼き付けておきたいって言う友達に連れられて待ち伏せに付き合わされた事が何度もある。


 隣の中学の校門には私の友達以外にも沢山の女子が蒼大目当てで集まっていて大賑わい。何のお祭りかと思ったわ。


 まさに地元のアイドルってやつよ。


 校門から出てきた蒼大に群がるファンは凄かった。勿論私の友達もその輪に入ってキャーキャー言って大興奮。


 初めてその光景を見た時、漫画じゃなくて現実でもあるんだなってある意味私も興奮したわ。


 キャーキャー騒がれている張本人、蒼大は顔を歪ませ「あーうぜー」って声に出していたのに皆お構いなしだった。


 むしろうぜーって言われたらキャーって歓声が上がると言う凄い世界。


 半端ないモテっぷりの彼は確か家が凄くお金持ち。んで、背が高くてイケメンでヤンキー。


 でも女嫌いで寄って来る女子を冷たくあしらうらしい。逆にそれが過熱する原因にもなっていたみたいだけど。


 そして今、蒼大の特徴にイケボもプラスされたわ。纏めるとモテ要素を詰め込んだような人って事。


 当時同中に好きな人がいた私は蒼大を取り囲む女子の群れに入る気にはならず、少し離れたところから見学してたなぁ。


 だから蒼大の存在を知ってはいるけど全く関わりが無いって言う。


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