↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で女嫌いのイケメンに甘やかされています  作者: ハラペコWASABI
恋愛編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/54

【プロローグ】光の中へ

蒼大そうたーーー!」


 ライトに照らされた異世界のスタジアム。客席を埋め尽くす観客の叫びが地響きのように響いている。


 私はベンチから立ち上がり、喉が潰れるほど叫んでいた。高校野球の監督を目指していた私が、なぜ異世界で野球チームを率いることになったのか――


 すべては、あの雨の日に始まった。


 19時02分。従業員出入り口のラックから小川七海(オガワナナミ)と書かれたタイムカードを抜き取り、打刻する。


 どんよりした曇り空の下、いつものルートを急ぎ足で歩いていると、ふと頬が濡れた。拭って空を見上げると、街灯に照らされた雨が銀色の筋となり、はらはらと光りながら落ちてくる。

 綺麗だけど今は10月。共通テストまで残り三ヶ月、ここで体調を崩すわけにはいかない。


 そう思った瞬間、雨は一気に牙を剥いた。


 ザアっと音を立て、地面を叩き始める。大粒の雨は顔に当たると痛いくらいで、目を開けていられない。


 足は自然と全速力になっていた。視界が悪い夜道を、目を細めながら全力疾走——我ながら危ないと分かっていたけど、早く屋根の下に飛び込みたくて止まれない。


 そしてついに、滲む視界の奥にコンビニの看板が光った。


 ラストスパート。駐車場を駆け抜けて中に飛び込むだけ——のはずだった。


 夏の虫が光に飛び込むように、看板だけを見ていた私は気づかなかった。


 この土砂降りの中、駐車場の隅でひとり、傘も差さずにヤンキー座りをしている男がいた事に。

 なぜ雨宿りもせずここに?という疑問が脳裏をよぎる間もなく、勢い余ってつまずいてしまった私の身体は彼にクリーンヒット。


 鈍い音と共に、私の全体重が彼へ叩きつけられた。凄まじい衝撃。彼を押し倒すような形で地面に倒れ込んでしまった。


「痛って」


 下敷きになった彼が低くうめく。

 反射的に謝ろうと顔を上げた、その刹那。


 眩い光が視界を白く染めた。アスファルトを震わせる重たいタイヤの振動と、耳をつんざくエンジン音。スローモーションのように世界が引き伸ばされて感じる。


 でも、この状態でどうしろと?!


 逃げられない!このまま死んでしまう——そう思った時、倒れ込んだ彼と目が合った。

 雨に濡れた髪の間から覗く鋭い瞳。

 逃げるどころか、まるで庇うように力強く腕を伸ばしてきた彼の手が、私を抱き寄せた瞬間。


 迫り来るトラックの白い光を塗り潰すように、倒れている彼が赤く発光した。

 次の瞬間、熱を帯びた光が私達を包み込む。


 え……?


 疑問が脳裏をよぎるのと同時に、私の意識は赤い光の中に完全に飲み込まれた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。