プロローグ
・色々読んでいるうちにVRのメタ話を書いてみたくなりました。
フォウ・ハルサメ。
それが俺の名前だ。
適当に付けたことを後悔はしていない。
いや、名を付けた人間を恨んではいないと表現すべきだったな。
俺の中には、村雨春樹─ゼロ・ハルサメ─の記憶が大量に残っている。まるで自分のことのように。
意識していないと、ゼロがやったことと、自分がやったことがついつい混じりあってしまう。
まあいい。
この名前は、奴からダビングで産み出された4番目のゴーストってことだ。ちなみに、3体の兄貴分はアイン、ツヴァイ、ドライと名付けていた。
3体分の名前を勢いで入力してから4が分からなかった、その瞬間の感情の記憶も俺の中には残っている。
フォウが男の名前で何が悪い!なんて呟いて一人でニヤニヤしていたゼロのことも。
適当でいいから、って言われても急には浮かばないタイプなんですよ、後から変更できるんですよね?
何回まで変更できるんですか?
テンパるとむしろ細かいことが気になる性格である奴の感情の起伏も、まるで自分のことのように思い出されて胸がドキドキしてくる。
ハルサメは…言わなくても分かるな。
一人の時間帯があると、フォウは誰かに語りかけ、説明するような形で思いを巡らせることが多い。
それは、自分が村雨という人間とは違う存在であることを自分に言い聞かせるための儀式でもあった。
フォウが「意識を取り戻し」た時、そこはぼんやりとした薄明かりに包まれた淡いベージュ一色の世界だった。何処だ、と思う間もなく次の瞬間には自分がいつも作業を行っていた端末の前に座っていることに気が付いた。
「ガイダンスや確認作業を行うので端末に向かってください」
端末から音声が出力されている。
薄暗くて手元がよく見えないが、普通にブラインドタッチで名前や住所等の個人情報を入力していく。
このバイトに入るときに一通り入力したよな、と思いつつ。
採用試験の際と同じ設問で、簡単な作文が求められている。
記憶が定かでないのだが、こんなような内容で書いたんじゃなかったか?と頭を捻りながら再現していく。
志望動機、趣味、家族構成、よく利用するネットのサービス…
入力フォームの枠は割と大きく、普段文章を書き慣れていない人間なら結構時間を食いそうだな、でも他の人たちもいいペースでキーを叩いているな、などど考えていたのを思い出す。
そういえば、他の人たちがいないな。
ていうかこの部屋なんだろな。
疑問は湧くが目の前に作業があるのでとりあえずそこに没頭しておく。自分の指先すらよく見えない。
逃避ともいうのかもしれない。
しばらく入力作業をこなしていると、唐突に端末から音声アナウンスが流れてくる。
「ゴーストイメージの正常な構築を確認しました。識覚解像度制限を解除します。続いてあなたをフォウ・ハルサメと認証するためのシークエンスに入ります」
ぼんやりしていた感覚が鮮明になり、ごく単純な表現のゲームのコンソールのようなホログラムに取り囲まれていることに気付く。
気が付いたら、俺はゴーストだった。
設定やプロットは書きながら考えてます。
感想等でアドバイスいただければ、上手いこと活用していきたいと思ってますので、お気軽にどうぞよろしくお願いいたします。




