表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロマンヌの癒し日記  作者: ほか
第2話 フランス女王の秘めたる初恋
20/89

13 燃えたお話の行方

 「そうか。そんなことがあったのか」

ワイングラスを合わせながら、エルネストがロジェに言いました。”スピルト”でことが解決したパーティーのときのことです。

 「悪かったな。力になれなくて」

 「謝る顔が既に面白そうだけどな」

 ロジェはジト目です。

 「でも、あの『解放の港』って話って、結局どういう終わり方したんだろ」

 ロジェが言うのは、カトリーヌ達と一緒に途中までお芝居をした、あの本のことです。

 「その話の結末なら、オレが知ってる」

 エルネストも、お芝居の話は、ロマンヌとレアから聞いていました。

 「へ? なんでお前が」

 「結局主人公は、想い人とは結ばれず、外国へ逃げるんだ。そこで出会った新たな人と恋に落ちる。そこで物語は終わる」

 「へー」

 ロジェは感心して聞いていました。

 「なんか気になったんだ。あの本、途中から破られてて、結末がわからなかったからさ」

 「そうだろうな」

 エルネストは頷きました。全てわかっているという風です。

 「あれは昔、焚書になった本だから」

 「えっ、マジかよ」

 ロジェはまず驚きましたが、

 「でもなんでそんな目に遭ったんだ?民衆に読ませちゃ悪い内容には思えねーけど」

 そう言うと、エルネストはふっと寂しそうに微笑みました。

 「焚書というのは、えてしてそういうものだ」

 「ふーん……」

 ロジェはまだ納得がいかなそうな顔をしています。

 「待てよエルネスト、お前なんで焚書のことなんか知ってるんだ」

 「それは」

 エルネストは得意の涼やかな笑みを浮かべました。

 「いいじゃないか。謎がひとつぐらい残っても」


 「フフフ。そりゃ知ってるわよね、あの本のこと、あなたは。だって、かつての……ううん、今もずっと想い続けてる女性の、最後の著作だもんね」

 「ひとりでなに言ってるの?イデア」

 「わっ。……びっくりするじゃない、も~」

 イデアは慌てて心臓を押さえ込みました。ロマンヌはそんなイデアを見て、くすくすと笑いました。

 「妖精さんも、驚かされたり、するんだ」

 「……あんた、だんだん性格悪くなってきてない?」

 まぁいいわ、とイデアは髪を跳ね除けました。

 「それくらい、自信がついてきてるってことね。今回は女王も皇太子もダブルで傷をいやしたみたいだし。文句なしで合格ね。……悔しいけど」

 「やった!」

 ロマンヌは拍手をしました。頑張ったパパやママに、そして自分自身に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ