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妖怪 Wantchu  作者: ユウソン


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8/16

第六話 時を超えて。

僕は今日、仕事が終わった後にその足で実家に帰ってきてた。

と言っても、僕の住んでいる所と実家は近くで、そんなに大袈裟な移動では無い。

「いただきます。」

お母さんが作ってくれたカレーを食べる。

美味しい。同じ材料でも何故かお母さんの作る料理の方が美味しく感じるのは何故なのだろう?

前に一度隠し味でもあるのかと聞いてみたが、お母さんも、よくわかっておらず、

「んー。愛情?」

と、言われて、少しだけ納得した様な気がする。

お父さんは、テレビを見ながら黙々とカレーを口に運び、妹はスマホを触りながらカレーを食べる。


「ちょっとアンタ行儀悪いわね。携帯しまいなさいよ。」

お母さんが言う。


「え〜。お父さんのテレビ見ながらと何が違うのよ〜。」

妹は不満そうな顔で答えた。


僕は一人暮らしなので、この食卓を囲むという習慣が無い。実家に帰ってくるとたまにあるこの習慣が好きだ。何だか落ち着くのだ。


「そういえば、お土産ありがとうね?美味しかったわ。」

お母さんは僕にお礼を言った。

京都に行った時に最後に買ったきんつばの事だ。


「次は、抹茶のバームクーヘンが良いな。」

妹は僕に寄り掛かりながら言った。


「文句言わないの。お兄ちゃん食べづらいでしょ。離れなさい。」


「文句じゃ無いもん。かわいい妹からのお願いだよ。ね〜?」


「分かったよ。覚えてたらね。」

そうして僕は妹の額に手を当て押し返す。


「それにしても、最近顔色良いわね。なんか良い事あったの?」

お母さんはそう言ってカレーを口に運んだ。

(良い事か。たくさんあったなぁ。)

そうは思ったが、果たして話しても良いのかどうか。

僕は一度聞いてみる事にした。


「猫神様って知ってる?」

そう聞くと、お母さんと妹は顔を合わせて、僕を見て首を傾げた。

「さあ?変な宗教?」

妹が聞いてきた。

「いや、違うよ。なんか何と言うか…。」

どう説明したら良いのだろうか。

そう悩んでいたら、お父さんが言った。


「飯食ってからで良いんじゃ無いか?」


確かに、せっかくのご馳走が冷めてしまう。

そう思って、「後でね」と言い僕たちはまずご飯をいただく事にした。


食後に冷蔵庫からアイスを出して食べる頃には先ほどの話も忘れてしまっていた。

お父さんが突然立ち上がってカーテンを開ける。

「ありゃ。雨だ。」

そう呟いた。

「え〜?嘘〜。」

僕はそう言いながら窓の外を見る。

結構しっかりと雨が降っていて、粒もそこそこ大きい。

「自転車後ろに積め。送ってってやる。」

お父さんはそう言って車の鍵を渡してきた。

僕は玄関を開けて、家の駐車場へ行き、カーポートの下に止まっている大きめの車の鍵を開ける。

トランクを開けた。

トランクにはお父さんの仕事で使う、建築関係の道具があったが、自転車は何とか入りそうだ。

僕は道具を少し移動させて、玄関先に停めてあった自転車を積んだ。

家に戻ると、お父さんは換気扇の下でタバコを吸っていた。

「今日泊まっていけば良いじゃ無い。」

お母さんはそう言ったが、僕は汚れた作業着を着ていて、、着替えが無いので断った。

「ちょっと待ってろ。もう少しで吸い終わるから。」

そう言って換気扇に向かってお父さんは煙を吐いた。


タバコの火を消し、準備をしながら、

「先に車乗ってろ」と言って父は上着を取りに行き服を着替える。

僕はお母さんと妹にまた来ると声を掛けて玄関を出た。

助手席に乗り、外を見る。

(結構、雨強いなぁ。)

お父さんが乗り込んできてエンジンをかける。

「忘れもん無いか?」

そう聞いてきたので、ポケットを触り、カバンの中を確認する。

「うん。大丈夫だよ。」

そうして出発した。

家を出てすぐにお父さんは少し長めの手帳の様なものを渡してきた。

「何?コレ?」

僕は手帳を受け取りながら聞いた。


「じいちゃんの手帳だ。」

僕は手帳を開く。

中は、色んなことが書いてあったが、何か特別な事が書いてあるわけじゃなく、お爺ちゃんの字である程度埋め尽くされていた。

「え、コレどうすれば良いの?」

僕は困惑しながらお父さんに聞いた。

すると意外な話が聞けた。


「昔、俺が小学生ぐらいの頃に近所の猫に石投げて遊んでた時期があってな、たまたま親父おじいちゃんにバレてしこたま叱られたんだ。拳骨なんて2、3発くらったかな?」


僕のお爺ちゃんとお婆ちゃんは、僕が中学生の時に亡くなってしまったが、とても優しく、お父さんやお母さんに対しても、そんなに厳しい一面は見せた事がないので驚いた。


「びっくりしただろ?俺が親父おじいちゃんに殴られたのは…あとは、おおばあちゃんをババアと呼んだ時のこの2回だけだ。」


(なるほど。それはお父さんが悪いな。)


「話を戻そうか。それでな、その時にいわれたんだよ。《猫神様になんて事するんだ!!》ってな。」


「え!?」

僕はお父さんを二度見した。


「その手帳のどっかに、猫神様って字が書いてあった気がする。俺よりお前が持ってた方が良いと思ってな。」


僕は手帳を開いて中身を見てみたが、薄暗くて、よく分からなかったので、家に帰ってから開く事にした。


「猫神様って何なんだ?」

お父さんは興味深々で聞いてきた。

しかし僕もはっきりした事が分からないので、


「よく分からないらしいよ?」

そう答えるのであった。

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