【改良ダリアン暦1年105月5日】プロジェクト ダンジョン その2
「火と水は、実は仲が良いんだよ。」
◇
フローレス先生、意外なことをおっしゃる。
「火と水が相性が悪いと言うのは占星術の話であって、事実は少し違う。火は水を連れて来るんだよ。実際、ある程度大きな火山の近くには、必ずと言っていいくらい湖があるだろう?」
確かに。
「火山国の日本人の君なら、今の一言で、片手に余るくらいの事例を思い浮かべられるはずだ。」
富士山と富士五湖、男体山と中禅寺湖、磐梯山と猪苗代湖……取り敢えず3つはすぐに思いついた。片手で足りたけど。
「火山の山体は雨水が浸透しやすく、それが地下の不透水層の上を流れて麓で湧水になって湧き出す。まさに火が連れて来た水だよ。」
なるほどね。
「だから、あの穴の先には不透水層の上に乗った氷の層があるはずだ。それを探しに行きたい。」
となると、探査の道具が要ると。
「その通りだ。水資源探査用の小型のドローンが欲しい!オプロン君と一緒に作ってくれないか。」
わかりました。
◇
まあ、概ね予想通りの話だったわけで、僕らはまたドローンを作ることになった。機体は勿論オプロンさんが作る。それに搭載する測定機器やソフトを用意するのは僕だ。そんじゃまたやりますか。
◇
「この間作った内殻固定ワイアの巡視用のやつをベースにしましょう。」
あの丸いやつね。
「で、探査の前にまずは測量かけましょう。中の地形が分かってないと、危なくて歩けませんからね。」
それ。僕もそう思ってた。
「まずはアンテニフェラ・システムを飛ばして測量データを作りましょう。」
◇
「アンテニフェラ・システム」というのは、以前僕とオプロンさんが作った自律式の自動測量システムのことで、移動式の基地局と3機のドローンが動いて詳細な測量データを作るものだ。一度起動させると、予定の地点に到達するかこちらが終了の指示を出すまで、自動で3Dの地形データを作成し続ける。
その後、地形データを読ませた探査用ドローンを飛ばして、氷層の位置や厚さなんかを推測する。そこまでできたら、最後は人間が歩いていって、地震探査やボーリング等を行って、詳細を把握する。結局最後は人力なのである。だから測量が重要なのだ。
「探査用ドローンは基本的に有線にして、電池や測定器本体は別置きにしましょう。」
賛成。
◇
さて、方針が固まった所でフローレス先生に報告してOKをもらう。
ダンジョン探査用システム、制作開始だ。
え?システムの名前?
「冒険者」に決まってるでしょ。




