五話目
「あ!優月せんぱーい!こっちでーす!」
集合場所の駅に着くと、水雫ちゃんが私に向かって大きな声をあげながら手を振ってくる。私はそれを見てクスリと笑って、手を振り返す。どうやら私が最後みたい。他のみんなは既に揃っていたからね。
「ごめんね、皆。待たせちゃった?」
「いや、問題ないぜ。約束の五分前だからな」
「こっちが早くに着いたってのもあるけど、ほとんどさっき着いた奴が多い」
「そうですわね。ですので、然程待っておりませんわ」
「なら良かったよ」
私達は駅のホールで話し合いながら券売機に向かっていく。
「それにしても優月ってどうしたらそんな可愛くなれるの?羨ましいよ〜!このこの〜!」
「わっ!?ちょ、ちょっと亜美ちゃん!?」
私は券売機で切符を買ったあと、亜美ちゃんに頬をプニプニされる。私は少し頬を染めつつ亜美ちゃんに抗議する。
「ほらほら、2人とも。そんなことしてたら乗り遅れちゃうよ?」
そんな私達のことを見かねてか癒音ちゃんが高等部の一部の人にしかしない話し方で話す。
やっぱりこっちの話し方と学校とかでの話し方だと雰囲気が全く違うね!まぁ、私が言える立場だとは思ってないけど……。
「「はーい」」
私達は癒音ちゃんに言われて返事を返した。他の皆は私達がじゃれ合っている間に改札の中に入っていた。
「優月せんぱーい!亜美せんぱーい!そんな事してると置いていきますよー!」
「今行くから!」
私達は中から声を上げて言ってくる水雫ちゃんに声を返しながら改札を通って中に入っていく。私と亜美ちゃんは切符を、癒音ちゃんはカードを使って入る。
「それじゃあ階段登って来るまで待機だな」
「そうですわね」
私達はエスカレーターを使って踊り子に1度上がり島式ホームの2・3番ホームに入る。私達は上にある電子掲示板で時間を確認する。
「そこまで待つ必要がないな」
「あぁ。思った以上にすぐ来るみたいだ」
「そうですね。それじゃあ待ってる間どうします?軽く決めておきます?向こうでのこと」
「どっちでもいいんじゃない?」
「だったら私はあまり参加出来ないかなぁ・・・。去年のこと分からないし・・・」
癒音ちゃんの周りの雰囲気が少しどんよりとする。私と零夜はジト目で水雫ちゃんのことを見つめる。すると、水雫ちゃんは慌てて弁明するように癒音ちゃんに言う。
「あぁ!そういう意味で言ったんじゃなくて・・・!あの、えっと、今のうちに決めといたらって思って・・・・!」
「・・・・・・アハハっ!それくらい分かってるよ。ちょっと揶揄ってみたかっただけだよ」
「・・・はぁ。やっぱりね」
私はため息をつきながら呆れの声で発する。癒音ちゃんって人を揶揄うのが好きだからね・・・。私達の一部では有名な話だけどなかなか知られてないものなんだね。
「やっぱりって・・・優月先輩は知ってたんですか!?」
「俺達の間では有名な話だからな。俺達は知ってるもんだと思ってた」
「えぇ〜!?」
「・・・・・・音坂も何かとそういうノリは乗ることが多いよな」
「な、ナンノコトカナ〜」
橋本くんと藤宮くんが私の事をジト目で見てくる。私は視線を逸らして口笛を吹く。
そんなことをしているとホームアナウンスが流れて、すぐに電車が駅に着く。私達は雑談をしながら電車の中に入る。
「やっぱりと言えばいいのかな?都会と違って田舎だから全然座れるね」
「そうだな。まぁ、ありがたく座らせてもらうか」
私達は横に一列に全員で座る。亜美ちゃんが言った通り席はガラガラで、私達9人が横一列で座れるくらい空いていた。9人って言うのは先輩が来てないから。
(まぁ、受験生だし仕方ないよね)
それから約50分程、私達は電車に揺られて進んで行く。いくら席が空いていて人が少ないとしても人がいないわけじゃないからそれぞれが好きなように過ごしていた。だから、必然的に会話は無くなっていたね。
それから50分程揺られて隣の市・・・・・・県庁所在地の駅に着く。私達は寝ていた一部のメンバーを起こして電車から降りる。
「それじゃあここからアミューズメント施設に行くかぁ。まぁ、離れてるからバスを使ってだが」
「そうだね。それじゃあバス停にゴー!」
「えっ!?ちょ、ちょっと癒音ちゃん!?」
癒音ちゃんがすぐに動いて行ったから私達も急いで後を追って改札を抜ける。




