四十四話目
私と癒音ちゃんは璃空ちゃんの後ろに着いて行ってる。私と癒音ちゃんはさっきまで短距離走に出てたから彼女達の両親の場所を知らないから。唯一、場所を知っている璃空ちゃんの後ろに着いてくしかない。
私達は璃空ちゃんのあとについて行って、着いたところは第二体育館横の通路。そこに何組かの保護者や学生が集まっている。
璃空ちゃんはその間をスルスルと通っていって、私達も置いてかれないようにあとに続く。あとについて行って、止まった場所は第二体育館の奥側の扉。そこに着いたら癒音ちゃんが驚いたように声を上げた。
「お父さん!お母さん!それに宮葉さんまで!?」
「????」
「宮葉さんは家に仕えてる執事の方です」
私が癒音ちゃんが呼んだ最後の人に対して誰かと思っていると、璃空ちゃんが後ろからコッソリと耳打ちして教えてくれた。私は教えてくれた璃空ちゃんに感謝の言葉を返して理解する。
癒音ちゃんの前に座っている2人の男女。癒音ちゃんが呼んだ、琴吹家の両親にして社長。そして、その1歩下がった後ろに佇んでいるのが教えてくれた執事の宮葉さん。
「お疲れ、癒音。そして・・・」
「柊月・・・?」「衣知花・・・?」
「「お父さん?お母さん?」」
癒音ちゃんと璃空ちゃんのお父さんとお母さんが私のことを見て他の誰かの名前を呼んだ。癒音ちゃんと璃空ちゃんはそんな両親のことを不思議に見てる。
「え?いえ、私は優月ですけど・・・・?」
「あ、あぁ。悪いね、親友にとても似ていてね・・・」
「ごめんなさい。私の方も亡くなった親友にあまりにも似てたもので・・・」
「い、いえ大丈夫です・・・」
私は2人から謝られて少し・・・いや、結構困惑する。相手は大企業の現社長と副社長だから。ただ、私は呼ばれた2人の名前に心当たりがあったけど気のせいだと思って頭の隅に追いやった。
「でも・・・どうして私のことを呼んで・・・・?」
私が不思議に思っていたことを聞く。すると、2人が答えるのではなく後ろに仕えていた宮葉さんが前に出てきて教えてくれた。
「失礼。それは私が。音坂様、旦那様方は癒音お嬢様から話を聞き、是非一度話題に上がる音坂様にご会いしたいと仰ったため、璃空お嬢様に言伝を頼んでこちらに連れてきてもらったのです」
「そ、そうですか・・・。それと私のことは別に様付けじゃなくても・・・」
「いえ、そういう訳には行きません。私からしたら貴方様はお客様でもありますし、癒音お嬢様の数少ない学友でもございますから」
「わ、分かりました・・・」
私は困惑しながらも執事だから仕方ないと蟠りを残しながらも納得する。あまり納得は出来てないけど。私に説明し終わると宮葉さんは癒音ちゃん達の両親の後ろに下がった。
「さてと、改めてだが、2人の父の理音だ。呼び方は呼びたいようにしてくれ。それと部活では癒音が迷惑をかけてないだろうか?」
「私は癒音と璃空の母の桜空です。娘がお世話になってます」
「い、いえ・・・。娘さんには私も助かってる部分もあって迷惑なんてとんでもない・・・!」
大企業の社長ともあって私は話す言葉も固くなる。一学生が普通は生きていて話すことはないから余計に緊張とか諸々でどうしても固くなる。
「そうかそうか。そう言ってくれるとありがたい」
「い、いえ・・・。さっきも言いましたけど助かってる部分も多いので・・・」
「まぁ、もし2人になにかあったらなんでも私に行ってきてね」
「は、はい・・・」
やっぱり少し話しても緊張は解けない。それに、普通の服に見えるけどそういったオーラが見えて少し怖い。
「・・・・・・やっぱりお父さん達が怖い?」
「ッ!?」
私は癒音ちゃんに心を見透かされたため驚いて口をパクパクさせる。そんな私を見て癒音ちゃんはクスクスと笑う。
「まぁ、仕方ないよ。お父さん達、この場でさえ会社での雰囲気抜かないからね〜」
癒音ちゃんはジト目で理音さんと桜空さんのことを見ている。ジト目で見られた2人はサッと顔を逸らした。宮葉さんは後ろで目を瞑って我関せずといった様子だ。
「この場には沢山保護者や生徒がいるんだから少しくらい気を抜いて会社の雰囲気はやめて欲しいんだけどね。いくら言ってもやめないから。ね?」
「そうですね。呼んだくせにこれだと先が思いやられるよ。それこそ、私達が付き合ったりしたら・・・怖い怖い」
「実の親だよね!?中々な言い草じゃない!?」
私は娘である癒音ちゃんと璃空ちゃんの言い方に驚く。両親である理音さんと桜空さんはそんな2人の言葉に苦笑い。
「癒音達の言うことも分かるけど、どうしてもしているとね。勝手にそういう雰囲気になってしまってね・・・。音坂さんには申し訳ない」
「い、いえ・・・。し、仕方ないと思いますよ・・・?」
「・・・なんで疑問形?」
「・・・なんとなく?」
私は癒音ちゃんに言われて頭を傾げながら返した。私達は2人揃って頭を傾げている。そんな私達のことがおかしかったのか、宮葉さん以外が笑った。
「どうやら仲はいいみたいね」
「は、はい!」
「そんな緊張しなくてもいいのだけど・・・」
「ごめんなさい、今すぐには絶対無理です。普通に生きていて企業の社長と話すことなんて中々ないですし、それが大企業となれば余計にです」
私が早口で答えると、癒音ちゃんと璃空ちゃんが横から口を挟む。
「早口ですね。そこまでお母さんに対して言えるのならこっちでもやっていけたり・・・?」
「中々図太いと思うよ、お母さんに対してそこまで言えるなら」
「癒音ちゃん!?璃空ちゃん!?それどういう意味!?」
私が癒音ちゃんと璃空ちゃんに意図を聞いているとさっきまで何も反応が無かった宮葉さんが唐突に笑った。私は不思議に思ってみる。
「失礼。お嬢様方とここまで打ち解けてる人は中々居なかったもので。これからもお嬢様方と仲良くして貰えると私からしても嬉しく思います」
「・・・・はい!」
宮葉さんが言っている間、癒音ちゃんと璃空ちゃんが止めに入っているけど宮葉さんはそれを無視して私に言ってきた。私はそれに対して当たり前だけど、決意するよう元気よく答えた。
「ていうか、そんなこと言われる2人って・・・・友達居なかった?」
「いや、居たよ!?けど、やっぱり企業の子だからか居るって言っても企業の子ばかりで。だから中々踏み込むこともできなくて・・・」
「あ〜、なるほどね。なら仕方ないね。そう言われるのも」
癒音ちゃんは私に教えてくれる。. 璃空ちゃんは顔を真っ赤にして宮葉さんのことを見ている。多分羞恥なんだろうね。
「と、そろそろ私出番だから向こうに戻るね。お父さんとお母さんは?」
「もちろん行くよ。それじゃあね、癒音。音坂さんもまたいつか」
「は、はい!」
私達はグラウンドの方に向かっていく理音さん達のことを見送る。1番後ろに宮葉さんもついて行って、私と癒音ちゃんはこの場に残った。




