四十二話目
私達はあの後、亜未ちゃんから声をかけられるまで少し放心してた。亜未ちゃんから声をかけられてお互いに放心状態から意識を戻す。
「・・・・・・どうする?罰ゲーム的なやつ」
「・・・一旦みんなが終わるまで待とっか。それで決めようよ」
「・・・そうだね」
私達はお互いに顔を見合わせてからどうするか話し合う。後ろでは亜未ちゃんが少し不安そうに私達のことを見てきている。私達がそこまで険悪な雰囲気にならなくって良かったといった風に安堵している。
「次は由理子ちゃんだね。勝てるかな・・・」
私は不安な目で走者の方を見る。由理子ちゃん達の順番の人達が横に並んで待っている。ピストルを鳴らす人が右腕を上げる。
それと同時に由理子ちゃん達が走る体勢に入った。私達はそれを見届ける。ピストルが鳴った。各自、それぞれ飛び出した。私達は結果の行く末を見届ける。
「負けそう・・・」
「まぁ、陸上部の子がいるから仕方ないんじゃない?」
「そうだよ優月。だから3着以内ならいいんじゃないかな?」
「それもそっか」
私達は由理子ちゃんの結果を見届けた。由理子ちゃんは3着。由理子ちゃんは走り終えた後、退場門からでて私達のところに歩いてくる。私達のところに来た由理子ちゃんは私と癒音ちゃんのことを見て言った。
「千波弥ちゃんの言ったとおり同着になりましたわね」
「そういえば確かに・・・・・・」
「言われてみれば千波弥ちゃんはそう予想してたね・・・」
「そう考えたら千波弥ちゃん・・・当てたことになるね・・・・・・」
私達が話していると次の組が走り出すピストルの音が聞こえた。私達はそっちの方に視線を移した。グラウンドの方を見てみると、既に千波弥が他の走者から結構離れて先頭を走っていた。
「千波弥のヤツ、余裕の走りだね」
「そうだね、亜未ちゃん。それにあの走りからしたらそこまで本気で走ってなさそうだし」
「あれで!?」
癒音ちゃんが驚いたようで声を上げた。私はそんな癒音ちゃんの言葉を肯定するように深く頷く。それを見た亜美ちゃんが私に聞いてくる。
「それも幼馴染だからの言葉?」
「まぁ、そうだね。千波弥ちゃんと零夜くんとは腐っても幼馴染だからね。なんとなく二人が私のことを分かるように、私も二人の考えは分かるから」
「さすが幼馴染。やっぱり分かるものなんだね」
「・・・・・・そうですね。それこそ幼馴染じゃないですけど癒音ちゃんは妹さんの考えとか分かりませんの?」
由理子ちゃんが癒音ちゃんの方を向いて不思議そうに頭を傾げて癒音ちゃんに聞く。癒音ちゃんは首を横に振って否定する。
「私の妹が中等部で何て言われてるか知ってて言ってる?」
「確か『天災』だったっけ?天才とかけて」
「そう。私も比較的覚えとかはいい方だけどあの子には負けるから。しかも、家族の皆でさえあの子の考えが分からないんだから。いくら姉妹といえど全くといっていいほど分からないよ」
「なるほどね・・・」
私達は癒音ちゃんの言葉を聞いてなんとなくそうだよねといった雰囲気が流れる。すると、その場に口を挟んで来た人物がいた。
「・・・・・・なに?この雰囲気」
「千波弥ちゃん。えっと・・・・・・」
「・・・なにがあったかはあえて聞かないわ」
「うん・・・そうしてくれると助かるね・・・。ところで1着?」
「えぇ。本気で走る必要がなくて良かったわ」
千波弥ちゃんは笑顔でそう答えた。その笑顔を見て私は千波弥と一緒に走っていた子に同情した。千波弥にとっては楽だっただろうけど、一緒に走っていた子達は気の毒だね。なんせいくら走っても距離は縮まらなかっただろうから。
私達は揃って戻っていく。その途中で詩雨先輩と水雫ちゃんが私達に声をかけてくる。私達とはいえ、主に私と癒音ちゃんみたいだけどね。
「皆お疲れ。優月ちゃんと癒音ちゃんは昨日から続けて目立ってるね?」
「お疲れ様です。優月先輩、癒音先輩・・・・・・狙ってますか?」
「「狙ってないよ!?」」
私と癒音ちゃんは水雫ちゃんが言ってきたことに対して口をそろえて、一言一句一緒に否定した。水雫ちゃんは本当かなといった目線で私と癒音ちゃんのことを見つめてくる。
「まぁまぁ。けど、2人はそう思われても仕方ないけどね。私も見ていて思うけど2人はこの2日間驚愕される中心にいるからね」
「たまたまです!!」
「そうですよ!!」
私達は詩雨先輩から言われて一瞬目を逸らしたけどすぐに言い返した。私が強く否定すると、癒音ちゃんもそれに乗って言う。
「分かってるよ」
「だったらいいですけど・・・・・・」
私はそう言われてしぶしぶ引き下がる。私達はその後少し話し合って別れた。
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では次回の話しでお会いしましょう!




