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十七話目





「釣れませんね〜」

「そうだね。でもまぁ・・・・こんなにも人がいるし仕方ないんじゃないかな、水雫ちゃん」

「そうですわ。といっても、去年よりも引きがわるい気がしますわね・・・」


由理子ちゃんが水雫ちゃんを宥める。それでも水雫ちゃんは引き下がらない。


「で、でもぉ・・・」

「私達は貸し切りにしているわけじゃないんだからね?」

「そこは分かってますよぉ・・・。けど、ここまで釣れないとは思わないじゃないですか」


水雫ちゃんは竿の先、その先の堀を見る。堀には水が溜まっていて、浅瀬・・・・・・見えるところにお魚がいるのが見える。


「それは言わないお約束ですわよ」

「だとしてもアソコに見えてるのに釣れないってなると・・・ハァ・・・」


水雫ちゃんは息を吐くと同時に肩も下げる。私と由理子ちゃんはそんな水雫ちゃんのことを見て、2人で顔を見合せてから苦笑い。


すると、水雫ちゃんの竿が引っ張られ始める。


「えっ!?ちょっ・・・!?今ぁ!?」

「あらあら。タイミングがよろしいことで・・・」

「タイミングが良いで合ってるのかな・・・?まぁ、水雫ちゃん。お魚の方から来てくれてよかったでしょ?」


水雫ちゃんが慌てて釣り竿を掴んで、引っ張り上げている中、私達は煽りなのか、褒め言葉なのかよく分からない言葉を告げる。


「ちょっ、先輩達、煽ってませんか!?それ!!」

「さぁね〜」

「どうでしょうか」

「このっ・・・・・・先輩らぁぁ!!」


釣り上げようとしながら突っかかってくる水雫ちゃんに私達は誤魔化すようにクスクスと笑う。


「器用だね〜」

「釣り上げつつ、私達に迫ってきていますからね」

「ほんとっ・・・・・・!ヤナ先輩達だぁぁ!!」


水雫ちゃんはそう言いながら釣り上げる。陸に上げられた魚は元気よく跳ねる。私は水雫ちゃんに釣った魚を持ち上げて、水雫ちゃん自身の近くに持っていくように伝える。


「えぇ・・・。コイツをですかぁ?まぁ、良いですけど・・・」


水雫ちゃんは釣った魚を指さしながら、聞いて釣り糸を持つ。そして、彼女は近くに持っていく。


「ほら、撮るよ〜」

「えっ!?ちょ、優月先輩!?」


───パシャッ。


「もう撮っちゃった」

「えぇ・・・。分かってたらちゃんとしたのに・・・」

「読めなかった水雫ちゃんが悪いね」

「ブーブー」


水雫ちゃんが頬をふくらませて私にブーイングをする。私はそれを笑って流す。









あれから釣り体験をしていたメンバーが終わり、魚を1つのバケツに纏めて持ち帰っている。私達は戻りながらこれらをどう調理するか話し合ってる。


「やっぱり定番だけど普通に塩焼きかな?」

「おろして天ぷらにするのもアリですね」

「あとはムニエルとかもあるよー」


上から順に私、由理子ちゃん、亜未ちゃんで言い合う。私達はこれらを捌くことができるから、調理方法等は一任されている。


それもあって私達は調理方法を話し合っている。といっても、私達以外にも何人かは捌けるけど。ただ今年は私達なだけであって、来年になったらまた変わる。


「ところで光樹先輩、重たくないんですか?」

「これくらい問題ないな。これよりも重いもの持ってたこともあるし・・・・・・鍛えてるしな」

「そうそう。最悪コイツに力仕事は丸投げしていいんだからな」


私達の少し前の方では水雫ちゃんと藤宮くん達が話し合っている。私達、女子の代わりに藤宮くんが魚を一纏めにしたバケツを運んでくれている。


私達はコテージには戻らず、外にある洗い場に持っていく。零夜が先に戻ってまな板や包丁を持ってきてくれていた。


「ありがとう、零夜くん」

「助かりましたわ」

「ありがとね〜」


私達、調理を担当する3人がそれぞれコテージに帰っていく零夜に向かって言う。零夜はそれに対して右手を上げ、手を振り返す。


それを確認して、バケツを運んでくれた藤宮くんにもお礼を言って私達は取り掛かろうとする。すると、私達と一緒に釣りの方に来ていた中等部の子達が懇請してくる。私達はそれに返答して、早速取り掛かる。


「私、塩焼きの方をやりますね」

「優月ー、ムニエルは面倒だしおろして天ぷらにしよー」

「分かったよ。それじゃあどうする?どっちを多めにする?」

「塩焼きを多めにしたほうがよろしいかと。天ぷらにするってなるとおろす。おろした分で少し増えるはずですから」

「だね。だから、だいたい6、7割は塩焼きでいいんじゃない?」

「それじゃあそれでいこっか」


私達は決めたらテキパキと行動に移る。魚をまな板に乗せて、抵抗している魚を処理する。そして、全ての魚の下処理を行う。


まず下処理として、ウロコ、エラ、内蔵を取り除く。そして、汚れを洗って水気をしっかりと拭き取る。


「やっぱり臭いがつきますわね・・・」

「あとでなにかしないといけないなぁ」

「そうだね。まぁ、まだ幸いなのがポリ手袋しているからそこまで手につかなさそうっていう事だけど・・・」


私達は臭いのことを気にしながら作業を続ける。私と亜未ちゃんは油が飛び跳ねるのを気をつけながら焼き上がるのを待つ。


焼き上がると、少ししたら皆がやってきた。塩焼きの方も終えていたようですぐに食べれる状態になっていた。








私はチャチャッと食べ終えて遠巻きで皆の食べている様子を見ている。そうしていると、伶奈先生がやってきた。


「やっぱり君は離れてるんだね」

「先生も知ってるでしょ?その理由(わけ)は」

「まぁね〜。でも・・・本当にそれでいいの?」

「・・・・・・いいんですよ。私が・・・僕が決めたことですから」

「・・・だったら私は何も言わないし、言えないよ。ただ、これだけは言わせて」


私は不思議に思い、首をかしげて伶奈先生のことを見る。伶奈先生の目には悲哀って言えばいいのかな・・・そんな感情が見えた。


「?」

「君が決めたならそれでいいけど、だけど、それでも“後悔しない生き方を”」

「後悔しない・・・?」

「今は分からなくていいよ。いつかきっと・・・・・・分かる日がくるから」


伶奈先生は真剣に私の事を見つめて言ってくる。私はその目に全て見透かされているような気がして意心地が、気分が悪くなる。すると、亜未ちゃんが、集まっている方から私のことを呼ぶ。


「優月ー!こっち来なよー!」


私は先生を見つめ返す。


「・・・・・・だといいですね。今行くー!」


私は先生に言い返して、亜未ちゃんに声を返しながら走って向かっていく。








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